347:『Carl Zeiss Milvus 21mm F2.8』
2016年04月19日
絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:1600 / 使用機材:Nikon D4S +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZF.2
高い解像力で人気のカールツァイスの一眼レフ用レンズが、デジタルカメラに最適化された新設計で生まれ変わりました。
「Milvus」シリーズとしてリリースされた6種類のレンズはいずれも「Otus」レンズに似た高級感ある仕上がりで、描写も「Otus」に匹敵するのではと期待してしまいます。
今回はその中でも最初に発売される『Milvus 21mm F2.8』の撮影に行ってきました。さっそくその描写をご覧ください。
優れたコントラスト再現性を謳う新レンズは、ファーストカットから透明感高い綺麗な描写を見せてくれました。
滝の裏に設けられた穴から青空と流れ落ちる水を捉えたカットですが、明暗差に関わらず水滴を綺麗に捉えているのが分かります。
また防塵防滴性が向上した「Milvus」なら水しぶき舞うシーンでも安心です。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon D4S +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZF.2
目の前に広がる景色をより広く捉えてくれる21mmレンズですが、最短22cmの接写が可能なレンズは手元の被写体も綺麗に捉えてくれます。
木漏れ日がスポットライトの様に差し込む千両の実。やわらかなボケ味と広い画角が周囲の光をバランスよく取り入れたことで、高級感を纏ったような仕上がりになりました。
マクロレンズとは少し異なる仕上りは画角同様、活躍の幅広さも感じることができます。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/40秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon D4S +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZF.2
絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/10秒 / ISO:400 / 使用機材:Nikon D4S +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZF.2
人間工学に基づきブレを軽減することを意識してデザインされた本レンズ。実際にスローシャッターで撮影したところ、確かに安定した撮影ができました。
手振れ補正機能に頼るのではなく、デザインでカバーするあたりに画質優先主義という主張を感じることができます。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon D4S +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZF.2
絞り開放で生じた周辺光量落ちも21mmの画角を考えれば大人しめ。広い画角の中でメインの被写体を程よく引き立ててくれます。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/60秒 / ISO:400 / 使用機材:Nikon D4S +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZF.2
こちらは蒸気機関車の運転席。天井に開いた明かり取り窓から光が差し込むだけの薄暗い場所でしたがコントラスト高く捉え、現役機関車ならではの重厚感を伝えています。
露出をプラスに補正しなければほぼ真っ暗なシーンでしたが、黒つぶれも白トビもないバランスのよい描写からは、ダイナミクレンジの広いカメラとの相性の良さも感じました。単にシャープなだけではなく、年期や温もりをも伝える素晴らしい質感描写です。
絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/750秒 / ISO:100 / 使用機材:Canon EOS 5DsR +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZE
続いてはボディを『Canon EOS 5DsR』へ変更し試写をしてきました。まずは川辺に咲く満開の菜の花を明るいイメージの写真に。撮影しながらこのまま眠ってしまいたいと思える気持ちのいい場所でした。ツァイスレンズの代名詞とも言える高コントラストで色乗りの良い描写は、逆光+ハイキーという厳しい条件でもしっかりと被写体のイメージを写し出します。また、T*コーティングも新しくなったということで写真のような位置に太陽が入っても周辺の画が破綻していないことに驚きました。
絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/350秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5DsR +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZE
同じF5.6でも被写体が変わると印象が違いますね。超広角21mmということもあって被写界深度は深く、全域で高い解像力を発揮しています。
絞り:F8 / シャッタースピード:1/90秒 / ISO:100 / 使用機材:Canon EOS 5DsR +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZE
コントラストと解像度が生み出す質量と言ったらいいでしょうか、描写に深みと重みを感じられます。
絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/350秒 / ISO:100 / 使用機材:Canon EOS 5DsR +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZE
続いてはモノクロームでの現像。シャドウ部の力強い黒が写真全体を引き締めてます。昔からツァイスの広角レンズは歪みが少ないと評判でしたが、本レンズの特徴としてもそのことが言えます。直線で作られた人工物を撮ると目立つディストーションもうまく抑えこみ、見るものに自然な空間の広がりを感じさせてくれるレンズに仕上がっています。
絞り:F8 / シャッタースピード:1/180秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5DsR +CarlZeiss Milvus 21mm F2.8 ZE
コントラストが生み出す美しいシルエット。本レンズはマニュアルフォーカスの仕様なのですが、少し絞り込んで被写体との距離が開けばパンフォーカスになりますのでピント合わせが非常に楽だと感じました。樹脂製のフォーカスリングのタッチも絶妙で、微妙な力加減も全てレンズ側に伝えてくれます。
ディスタゴン設計の13群16枚の大きなレンズはガラスの塊を持ったかのようなズシリとした質感ですが、大きなピントリングと鏡筒部くびれがホールドしやすく、使い勝手よく撮影できました。
キレのある描写に加え色乗りも素晴らしく、ツァイスブランドの根強い人気を改めて体感することができました。
現在リリースされているものを含め、今後ラインアップを増やしていくと発表されている「Milvus」シリーズ。他のモデルも発売が楽しみになる素晴らしい仕上がりです。
Photo by MAP CAMERA Staff
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