昨月、どどっと新製品が発売されたサムヤンレンズシリーズ。今回のKasyapaでは、発売された中でも一際目を引くレンズ『SAMYANG XP 85mm F1.2』をご紹介いたします。
本レンズは超高画素・8K動画に対応したプレミアムレンズ。このレンズの焦点距離とF値を見て、キヤノンユーザーの方ならきっと『Canon EF85mm F1.2L II USM』を連想されたことでしょう。筆者も例に漏れず、そのうちの一人です。
開放でどんな写りを魅せてくれるのかが気になって居ても経ってもいられず、冒頭から早速F1.2での撮影です!…どうですか?このボケ味。そしてこんなに明るいレンズなのに、“F1.2”なのに、ピント面がふわふわとフィルターがかかったように滲むこともなくしっかりと写っているのには驚きでした。
「良い意味で、F1.2のレンズらしくない」これが私のファーストインプレッションです。
今回の撮影機材は小型・軽量な『Canon EOS 6D』。ボディの方がレンズよりも軽いので安定感に対する懸念もありましたが、撮影の際に煩わしさを感じることはありませんでした。手のひらにフィットする滑らかなレンズフォルムのおかげでしょうか。
本レンズは有難いことにこのスペックのレンズにしてはかなり価格がリーズナブルなので、プロの方はもちろんのこと、アマチュアの方でも手の出しやすいレンズとなっています。
中望遠レンズとの相性抜群の、ヌケの良い描写が目を引きます。
…実はこのレンズ『EF85mm F1.2L II USM』よりも最短撮影距離が15cmほど短い80cmとなっているので、ギリギリではありますがこんな風にテーブルフォトを楽しむことも可能です。
このレンズのように明るいレンズの場合、フォーカスポイントがアテにならないこともあるとよく耳にしますが、意外と命中率は高くわざわざライブビューでピント拡大をして撮影をせずともしっかりとピントを合わせることが出来ました。操作のしやすいピントリングのおかげもあるかもしれませんね。
さて、ふたたびF1.2で撮影です。吸い込まれるようなボケ味とはまさにこのこと。吸い込まれるどころか、飲み込まれていきそうなくらいです。
マニュアルフォーカスだから動きものは向いてない…なんてことはありません。気持ちよさそうに毛づくろいをする猫もこの通り。動物が逃げるか逃げないか、絶妙な距離感を撮ることができるレンズ。それが中望遠レンズなのです。
ところで、拡大をしてみて初めて気づきましたが、猫の舌ってこんなふうになっているんですね。
奥行き感の演出は見事なもので、前ボケを入れることでそれがより一層際立ちます。
夕暮れ時、ランニングをする少年たちに優しい西日が降りそそいでいるところを撮影しました。
ゴースト・フレアがよく抑えられているので、逆光下での撮影でも大いに活躍してくれるレンズです。
とある展示に行った際の一枚です。無数の数字が天井から吊り下げられていて、私以外にもたくさんの人たちが数字にカメラを向けていました。
数字の間から覗くライトの光が強く、ゴーストが出ないか少し心配になりましたがとりこし苦労だったようですね。先ほどの夕暮れ時の撮影同様、しっかりとフレア・ゴーストを抑えてくれています。
クリスマスは終わりましたが、大体のイルミネーションはバレンタインの時期である2月半ばまで点灯しています。この写真は六本木のけやき坂で撮影をした1枚なのですが、ショーウインドウに写りこんだイルミネーションが良いアクセントになってくれました。
こちらはイルミネーションを室内から撮影した1枚。手前の棚にピントを合わせているので背景のイルミネーションが綺麗な玉ボケとなっています。なかなか薄暗い場所での撮影であったのにも関わらず、ISO100で撮れるのはさすが大口径レンズと言ったところでしょうか。
『SAMYANG XP 85mm F1.2』いかがでしたでしょうか。
上の写真をご覧いただくと分かるように、大きな前玉が印象的です。また、鏡筒はアルミ合金で作られているため堅牢性も申し分ありません。多くを語らない、シンプルなレンズデザインも魅力的ですね。
開放からしっかりと解像し、マニュアルフォーカスレンズとしての使い心地も抜群の本レンズ。現状キヤノンマウントでしか展開がありませんが、この写りの良さからしてぜひ他のマウントにも対応してもらいたいレンズだと感じました。
明るい中望遠レンズをお探しのキヤノンユーザーの方、ぜひこのレンズも一度試してみてください!
Photo by MAP CAMERA Staff