使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF35mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:Velvia
FUJIFILM X-E3
久々にXシリーズの名機が帰ってきました。今回のKasyapaは9/28発売の新機種『FUJIFILM X-E3』のご紹介です。
『X-E』はフジフイルムのXシリーズを語る上で重要な機種と言っていいでしょう。今や多くのユーザーが愛用するXシリーズですが、その創成期を支えたのが『X-Pro1』と『X-E1』でした。『X-E1』はフラッグシップである『X-Pro1』の画質性能を引き継ぎながら、よりライトに使えるカメラとして人気機種に。この『X-E1』からXシリーズに足を踏み入れた方も多いのではないでしょうか。
それから「X-Trans CMOS Ⅱ」と「EXRプロセッサーⅡ」をいち早く搭載した『X-E2』へと進化、Xシリーズ初の像面位相差AFを採用し当時世界最速のAFスピードを実現させた機種でした。
そして今回の『X-E3』。
『X-Pro2』『X-T2』に採用されている「X-Trans CMOS Ⅲ」と「X-Processor Pro」を搭載し、改良された最新のコンティニアンスAFアルゴリズムが採用されています。つまり、今までXシリーズに使われてきた技術の全てを搭載してきたのが『X-E』なのです。
そして『X-E3』はそれだけではありません、タッチパネル操作やフルAUTOモード、画像転送にBluetoothによるワイヤレス通信を採用することで利便性も向上。ベテランからビギナーまで本格的な撮影を楽しめる一台に仕上がっているのが特徴です。
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF35mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:クラシッククローム
錆びついた“だるま船”越しに見えるベイブリッジ。解像力はさすが「X-Trans CMOS Ⅲ」。2400万画素ながら色分解に優れたカラーフィルター配列とローパスレス設計により3600万画素級の解像力を誇ります。そしてフジフイルム独自の色表現であるクラシッククロームの渋い色合いも被写体にマッチしています。
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF50mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:PROVIA
撮影の日は9月末とは思えない暑さでした。港に駐車してあったトラックの下で寝そべる猫を発見、そろりと近づいて撮影です。この時はカメラの高さを地面まで下げ、背面液晶のタッチシャッターを使用しました。這いつくばってカメラを構える私に「何やってんの」という表情です。
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF50mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:Velvia
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF35mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:PROVIA
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF35mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:PROVIA
木の高いところに風船が引っかかっていました。それをアクセントに入れ、『XF35mm F2 R WR』の開放でパシャリ。少し右上にフリンジが出ていますが、F2開放で木の葉をここまで写し出すとはさすがです。これはレンズ・カメラ共に解像性能が優れている証拠ですね。そしてXシリーズのカメラはハイキーでの色表現が美しいです。
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF50mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:クラシッククローム
より小さく。そして、シンプルに。
『X-E3』がキャッチコピーとして掲げている“MINIMALISM -ミニマリズム-”。日本のプロダクトが最も得意とする『より小さく、より使いやすく、より高性能に。』をXシリーズで体現させたのが『X-E3』といえます。どのくらいの大きさかというと、なんと『X100F』より小型。それでいてレンズ交換ができるのですから、このカメラをXシリーズの理想サイズとしていた方も多かったのではないでしょうか。
以前、Xシリーズの開発責任者であるフジフイルム・上野氏にインタビューした際、「X-Pro1を出した時、もっと小さければいいのに、という声も多くいただいた」と話されていました。この『X-E3』はその声に対し、フジフイルムが出した一つ答えなのではないかと思います。
『X-Pro2』が選んだように操作性やバランスを考えると小型化だけが正解ではないと思いますが、やはりカメラが小さくなることで広がる利便性や、カメラを持ち運ぶ時の“気持ち”、そういったのが変わると思います。いい写真を撮る、一度だけのチャンスを撮る、それにはカメラの小型化は重要な要素の一つです。
そして『X-E3』がさらに一歩進んだ点がもう一つ、シンプルになった操作系です。背面のボタンは少なくなり、十字キーは廃止されました。それによって使いづらくなったかというと、そのようなことは一切ありません。追加になったフォーカスレバーが実質十字キーと同じ役目を果たし、タッチパネル操作によって、むしろ使いやすさは向上しています。
これは個人的な意見なのですが、今のカメラはボタンが多すぎるように感じていて、撮影中にそんなに設定変える?と少し疑問に思っていました。その点、『X-E3』のような「マイナスの美学」には大賛成。「洗練された使いやすさ」は便利を増やすことではなく、減らすことで生まれる事だと思っています。
絞り:F2/ シャッタースピード:1/280秒 / ISO:200
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF35mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:クラシッククローム
小型でレスポンスのいい『X-E3』は、やはりスナップで実力を発揮してくれるカメラだと感じました。カメラとして目立たない大きさはストリートはもちろん、旅先でのスナップなどで、その場の空気感を壊さず写真に収めてくれるはずです。
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF23mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:Velvia
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF50mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:Velvia
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF35mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:Velvia
ハッとするようなコントラストと色彩を表現してくれるVelviaモード。『X-E3』を含め、Xシリーズのフィルムシミュレーションは作品にそのまま活かせる完成されたカラープリセットです。
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF50mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:Velvia
花の蜜を吸う蝶を捉えた一枚。今回『XF50mm F2 R WR』を初めて使用したのですが、これもいいレンズです。解像力とボケの美しさは申し分なしです。また小型な『X-E3』によく似合います。
使用機材:FUJIFILM X-E3 + XF50mm F2 R WR / フィルムシミュレーション:Velvia
ザ・Velvia!って感じを受ける飽和しそうな赤。一般的なプリセットでいう「ビビッド」なのですが、『X-E3』は他のカメラで感じるPOPな印象はなく、リバーサルフィルムのVelviaと同じように色の強さを見せる表現として作品に使えます。
高性能だからこそ、ユーザーを選ばない余裕がある。
小さくて軽く、使い易いカメラなのに、出てくる写真は完璧。それが『FUJIFILM X-E3』を使用して受けた印象でした。
今回の撮影ではレンズに『XF23mm F2 R WR』・『XF35mm F2 R WR』・『XF50mm F2 R WR』の三兄弟を持って行ったのですが、普段使っているトートバッグに全て納まるコンパクトさ。これはスナップに理想のシステムだと思いました。
今回使用しませんでしたが、マウントアダプターにライカMマウントのレンズを付けての相性もすごく良さそうです。例えがライカになってしまいますが、『X-Pro2』がM5のサイズ感なら『X-E3』はM3といったところでしょうか、Lズマロン35mmF3.5を付けてACROSモードで撮影したら楽しいだろうなと妄想してしまいました。
操作が簡単であったり、AUTOモードがあったりすると「ビギナー向け」というイメージがあると思います。しかし『X-E3』はビギナーにも使える本格派カメラといった感じで、カメラ好きなら誰しもが満足できる一台だと思います。
写真が好き、カメラが好き、その両方を叶えてくれる理想のカメラが『X-E3』です。ぜひこのカメラを手に、日常の中にある思い出を写真に残してください。
Photo by MAP CAMERA Staff