使用機材:SONY α9 + Tokina FiRIN 20mmF2 FE AF
Tokina FíRIN 20mmF2 FE AF
2017年初めにトキナー初のフルサイズEマウントレンズとして登場した『FiRIN 20mm F2 FE MF』。昔から広角レンズを得意とするトキナー製ということもあり、その描写力は流石と思ったのを覚えています。このレンズは名前に“MF”と記されている通りマニュアルフォーカスのレンズでしたが、α7系ユーザーからすれば「こういうアプローチもある」と違和感なく受け止めていました。 しかしAFを望む声もおそらく多かったのでしょう、待望のAFレンズとして生まれ変わった新しいFiRINが今年の4月遂に登場しました。今回のKasyapaは『Tokina FiRIN 20mm F2 FE AF』をご紹介いたします。
まずFiRINのMFとAFで何が違うのかということに触れておきましょう。一番重要な写りに関しては、光学設計は共通なので描写性能は同一。ボケ味に影響する絞り羽の枚数も同じ9枚ですが、MFレンズは絞り環があったのに対し、AFレンズはそれがありません。他のAFレンズと同様にカメラ側での操作を前提に作られている仕様です。重量はAFレンズの方が26g軽い464g。フードの形状は角型から花形へと変わりました。大口径広角レンズ特有のレンズ前群が異様に大きいという印象はありませんが、トキナーレンズ全般に言える金属鏡筒のどっしりとした重量感があり、手の平から堅牢性と質の高さを感じ取ることができるレンズです。
使用機材:SONY α9 + Tokina FiRIN 20mmF2 FE AF
写りの良さはMFレンズの時から感じていた通り“流石”の一言。中央部の解像力はもちろんのこと、周辺部の像の流れや解像力の低下が非常に少ないのが特長です。このようなフラットな超広角画質はセンサーフォーマットの小さいカメラの方が得意なイメージですが、それをフルサイズミラーレスで実現させてきた事に驚きです。SONY純正やZEISSの後から発売してきただけのことはある、優れた描写性能を持ったレンズだと言えるでしょう。
使用機材:SONY α9 + Tokina FiRIN 20mmF2 FE AF
AFスピードは、スッと無音で合わせるタイプではなく、フォーカスレンズの動きを感じてピントを合わせる印象です。ファストハイブリッドAFにも対応しており、カメラ設定のAF機能にも全て対応しています。また、オートフォーカスでピントを合わせた後の手動でのピントの微調整も可能なのも嬉しいポイントです。
使用機材:SONY α9 + Tokina FiRIN 20mmF2 FE AF
使用機材:SONY α9 + Tokina FiRIN 20mmF2 FE AF
文句なしに良く写る、FE最高峰の広角単焦点レンズ。
開放F2ということもあり、ボケ味を出しながらも安定感のある描写が魅力の本レンズ。撮影した各写真を見ながら「良く写っているなぁ」と思わず声を漏らしてしまいました。フルサイズに対応した大口径広角単焦点レンズでありながら小型化と高解像力を両立させた『Tokina FiRIN 20mm F2 FE AF』、広角レンズではパンフォーカス気味で撮影をすることが多い私ですが、開放で撮影すれば周りの情景が分かりつつも程よく溶けるボケなので、広角ポートレートにもぴったりのレンズだと感じます。
背景の木漏れ日が玉ボケとなり、写真のいいアクセントになりました。開放で玉ボケを狙ったポートレート撮影なども面白いかもしれません。
絞り:F4.5 / シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:100使用機材:SONY α9 + Tokina FiRIN 20mmF2 FE AF
少し逆光気味の強い日差しの中で撮影しましたが、高コントラストかつクリアな描写力です。
使用機材:SONY α9 + Tokina FiRIN 20mmF2 FE AF
開放で近接撮影をすると広角レンズとは思えない深いボケ味を楽しめます。しかしながらピントを合わせたサボテンの棘は、鋭さを感じるほどの解像力です。
使用機材:SONY α9 + Tokina FiRIN 20mmF2 FE AF
使用機材:SONY α9 + Tokina FiRIN 20mmF2 FE AF
植物越しに逆光で撮影した一枚。ここまで強い光を抑えている性能に驚きました。ネガティブな条件でもしっかりと写真が撮れる本レンズの実力は本物だと言えます。
Eマウント単焦点派にベストな選択肢。
『Tokina FiRIN 20mm F2 FE AF』の描写は広角レンズ特有の歪みやクセを感じることが少なく、四隅までキッチリ構図を考えながら作画できることに加え、解像力とボケ味も非常に優秀です。数多い広角レンズの中でもトップクラスの描写性を持つレンズだと感じました。
機材をコンパクトに抑えつつも写りは妥協したくない方、特に単焦点レンズを中心にカメラシステムを組んでいる方におススメしたい1本です。広角単焦点という特性上 万能ではありませんが、距離と絞りを意識することで様々なバリエーションの写真が撮れるレンズです。広角レンズを得意とするトキナーらしい、素晴らしい1本でした。
Photo by MAP CAMERA Staff