TAMRON20mm F2.8 DiIII OSD M1:2
タムロンの『20mm F2.8 DiIII OSD M1:2』をご紹介します。当レンズは同24mm、同35mmとともに発表された「寄れる」広角単焦点レンズシリーズです。24mm、35mmの2本が先に発売され、20mmの当レンズが満を持してこの度リリースされました。タムロンはそれぞれの焦点距離について、「超広角の世界を本格的に楽しめる20mm」、「広角撮影を始めるのに適した24mm」、「気軽にスナップ撮影を楽しめるオールマイティーな35mm」と位置付けています。共通の特長はハーフマクロ。3本のスペックは似ていますが、3本のうち最も「広角」で最も「寄れる」という、シリーズの特長を尖らせた1本が20mmの当レンズなのです。ある意味、一番このシリーズらしいレンズかもしれません。そんなシリーズを代表する当レンズで撮影してきました。
「寄れる」ことが売りのひとつであるこのレンズ。早速、最短撮影距離0.11mで近接撮影してみました。レンズ先から5cmでもピントが合うという驚異的な距離感です。超広角レンズはその特性からボケ味を得にくいのですが、近づいて撮影したことによりご覧のとおり背景を大きくボカすことができました。ただの超広角ではない、「寄れる」超広角レンズのポテンシャルの高さがうかがえます。
ジャコビアン様式の意匠が素晴らしい階段です。左手には開口部の大きな窓があるのですが、その窓から降り注ぐ光が木に反射している様子がわかります。
金唐革紙(きんからかわし)の壁紙は、まるで彫刻のように立体的です。当レンズは壁紙の凹凸や光沢を見事に捉えてくれました。図柄の全容を見てみると、エンゼルが鹿やウサギの狩りをしている様子が描かれています。
20mmの超広角ですから、2つの建物を無理なくフレームに収めることができました。広々とした芝生の庭も20mmらしい描写です。右手に見える黒っぽい建物はビリヤード場。
F13まで絞ると、きれいな光芒ができました。当レンズは絞り羽が7枚なので、14本の光線が出ています。光芒はファインダーを覗いた際にも見えるので、光がよい具合になるよう角度や位置を調整して撮影しました。
寄れる超広角ハーフマクロ
筆者はタムロンの広角シリーズの24mm、35mmのKasyapaも担当しました。とことん寄れるところ、F2.8という申し分ない明るさ、軽量・コンパクト、コストパフォーマンスに優れる点は3本とも共通です。各所感を比較しますと、24mmと35mmは描写がやや似た傾向にありましたが、この20mmは一線を画すと感じました。広い画角を活かした印象的な写真を撮ることができますし、多くの方が持っているであろう標準ズームと焦点距離が被りません。超広角の世界に一歩踏み出そうと思ったときに、魅力に溢れる一品です。 描写性能、扱いやすさ、価格。撮影者が求める実用性の全てを叶えてくれると言っても過言ではないレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff