待望のNikon Z用のズームレンズ『Nikon NIKKOR Z 24-200mm F4-6.3 VR』がついに発売されました。今までフルフレームに対応したZマウントレンズは『Nikon NIKKOR Z 85mm F1.8 S』が最も長い焦点距離だったため、望遠域をカバーできるレンズを待ち侘びていたユーザーも多かったのではないでしょうか。約570gという軽量さに5段分の手ブレ補正を搭載した8.3倍の高倍率ズームレンズなのですが「高倍率だから画質はそれなり」なんて事はもう言えない時代がきた気がします。それでは早速写りをご覧ください。
マグノナイトブラックが鈍く光るMercedes-AMG G 63。この日は曇天だったため、光量は僅か。絞り込んでいるとはいえ高倍率ズームレンズでここまで解像感高く、質感描写まで完璧にこなしてしまうとは、撮影を始めて間もないタイミングでこの画が撮れたのでもう興奮です。期待値がグンと上がりました。
最近の梅雨続きで、すっかりローライトの虜になってしまいました。コントラストがしっかりしているおかげでメリハリのついた画が撮れます。木目の美しいグランドピアノは、まるでなにかの物語の主人公かのような佇まい。階段下から撮影したのですが、見上げる視点も演出に一役買ったかと思います。
蒸し蒸しする日が続くので、公園では子供達が楽しそうに水遊びをしていました。水しぶきなどシャッタースピードが必要なシーンでは、高感度耐性のある『Nikon Z6』と臨機応変にズーミングできる『Nikon NIKKOR Z 24-200mm F4-6.3 VR』の組み合わせは最強のコンビ。それにしても、水に濡れた肌の質感など写りの良さを度々実感します。
広角24mm側での撮影。さすがに被写体との距離が遠いため目を見張るような解像感まではありませんが、雲の輪郭や光の捉え方、歪みを感じない直線など、とても高倍率ズームとは思えない描写力です。また、広角24mmスタートの高倍率ズームの中では本レンズの軽量さもポイント。『Nikon Z6』と『Nikon NIKKOR Z 24-200mm F4-6.3 VR』の重量を合わせても約1.2kgほどですから「トラベルレンズの新スタンダード」という謳い文句はまさしくその通りだと感じます。
雨上がりの葉っぱの世界をテレ端の開放絞りで撮影。望遠側では0.7mまで接写が可能なので想像以上にボケ味を生かした撮影が可能です。雨上がりの植物の瑞々しさもしっかり描写できていると思います。
135mmでの開放絞りです。ざらりとした木目の質感、彫られた装飾の立体感など、もう何度も繰り返しになってしまいますが本当によく写ります。単焦点レンズで撮りました、と言われても筆者は素直に信じてしまいます。それにしても『Nikon Z6』の高感度のノイズレスな画も素晴らしいです。
撮影時に感じた、あの時のシンとした空気感まで写しだしているかのようです。射しこんだ僅かな光の捉え方にゾクっとしてしまいました。撮影者の想いをそのまま表現してくれる本レンズ。ここまで信頼できる高倍率ズームは初めての経験です。5段相当の手ブレ補正もとても効果があるように感じます。
高倍率、高画質、高性能
本来、高倍率ズームの存在意義とは何本かのレンズ焦点距離を1本でカバーすることができ、機材を減らせる事だと思いますが、この『Nikon NIKKOR Z 24-200mm F4-6.3 VR』を使用して第一に感じたのは「便利」ではなく、「本格的な作品作りができる描写力」です。カタログでは旅行に最適なレンズとして紹介をしていますが、その利便性だけを謳うには非常に勿体無いと感じました。
もちろん携帯性にも優れており、カバンに収納する際にもズームロックボタンがあるので安心して携帯出来ます。このレンズ一本と単焦点レンズを持ち歩くだけならリュックサイズのカメラバッグも必要ないですし、肩、首に掛けっぱなしでも疲れを感じることはないでしょう。薄暗い室内などはカメラの高感度頼りになってしまいますが、日中の屋外撮影なら本レンズだけで作品撮りをこなせる実力を持ち合わせています。他マウントユーザーが羨むような素晴らしい描写性を持つ一本でした。
Photo by MAP CAMERA Staff