超広角レンズ『LAOWA 11mm F4.5 FF RL』をご紹介します。11mmという焦点距離で写せる範囲はなんと126度。魚眼レンズのように曲線を描くことなく、とても広い景色をあるがままに収めることができます。最短距離が19cmと短いのも魅力。広い範囲を写せるレンズはその分被写体ひとつひとつが小さくなりがちですが、当レンズは寄れるので大きく写したいものは大きく写せるという選択肢があるのです。これは撮影の幅を広げる意味でとても重要なことなので、広角レンズの性能で筆者がまずチェックするポイントでもあります。そんな当レンズを持って、街を歩いてきました。
冒頭の写真は、広い室内空間一面に映されたプロジェクションマッピング。11mmの超広角ですから、自分を取り囲む広範囲の極色彩を写しとることができました。中央の石の台の上にあるのはパラボラッチョという大きな植物です。
お気に入りの河原で風を感じながら撮った気持ちの良い一枚。風になびくススキを手前に配置して、その奥には太陽がキラキラと反射する水面、そして対岸の様子や橋梁に至るまで精細に描くことができました。当レンズは美しい光芒を生成できるのも特長のひとつ。絞り羽根が5枚なので10点の光芒ができています。
クリスマスのリースが飾られるシーズンです。近くにあるリースは大きく、奥にある建物は小さくという風に、超広角の特性を活かして主役と周辺環境をキャッチーに表現。
手水舎に綺麗な花が浮かんでいました。短い撮影距離も得意とする当レンズですから、マクロレンズのようにグッと寄って撮影。背景が思いのほかよくボケてくれました。日が傾く時間帯の空を優しく感じられる写真になりました。
雲の質感を大切にしつつ、ジェットコースターのレールとロープウェイをシルエット気味に撮影。当レンズは小型・軽量なのでレジャーシーンでも邪魔になることがありません。またロープウェイの狭いゴンドラ内のような後ろに引けない場所でも広く写せるので、みんなの楽しい思い出を残すことができます。
水槽に泳ぐカラフルな魚たち。実はこの撮影、ちょっぴり苦労しました。固定のフードに切り込みがあるため、水槽のガラスにレンズを押し付けてもフードの隙間から光が入ってガラスに反射してしまいます。それを防ぐために片腕で周囲を覆って光を遮断しながら、もう一方の手で置きピンでシャッターを切りました。写る範囲が広いので魚がバランスのよい位置に来てくれるのを待つ根気も必要でした。しかしまるで水槽の中にカメラを入れて撮ったかのような広がりのある写真は何にも代えがたく、多少の苦労があってもやはりこのレンズを選びたくなります。
参道が和風のイルミネーションで飾られていました。イルミネーションは夜しか楽しめないことが多いですが、こちらの飾りは生花を組み合わせており、昼間に見ても綺麗でとても良かったです。中央の竹の毬の部分を拡大してみるとその生花が綺麗なのはもちろんのこと、非常にシャープな画質であることがわかります。これは非球面レンズと特殊低分散レンズの採用により歪みや色収差が抑えられているためであり、当レンズの特長のひとつです。
そびえ立つビルを見上げます。近い場所から大きなビルを写せるのは超広角の特権。横断歩道を手前に入れながらビルを煽る構図でビルの迫力を強調しました。
ビルと木の融合が不思議な感じがしてシャッターを切りました。コンクリートやガラスに有機物が合わさると途端に印象が和らぎます。
巨大なジャンクションを背景に、タクシーを透かして撮りました。この写真でも光芒が美しく生成されています。超広角レンズなので頭上と正面を同時に撮影することができるのも面白いです。
驚愕の汎用性の高さを誇る11mm超広角
焦点距離11mmの126度という画角は圧倒的でした。魚眼レンズには魚眼レンズの良さがありますが、湾曲することなく広く写せるレンズはより汎用性が高く、様々なシーンで活躍すると感じました。広い場所でも狭い場所でも目に入るまま写せる上に小型・軽量なので、旅行に持って行くのもよいでしょう。超広角レンズは被写界深度を深くしやすいので、シャッターチャンスを逃したくないスナップ撮影にも向いていると言えます。最短撮影距離が短いため、主役と脇役を決めて画をデフォルメ化させるような創造的な表現も可能です。予想以上に使い勝手のいい楽しめるレンズです。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff