α7シリーズユーザーが待ちわびた、フルサイズEマウント対応の中望遠単焦点レンズがついに発売となりました。その名も「FE 85mm F1.4 GM」。
Gレンズなら馴染みがありますが、GMレンズとは初耳。それもそのはず、このレンズは新しく設計された「G Master」ラインのレンズなのです。
G Masterレンズは、新開発の超高度非球面XAレンズを採用することにより、より美しいボケ感を得られるようになりました。
レンズ鏡胴に光るオレンジ色のロゴに込められた想いとはいかなるものか、早速試写へと向かいました。
水面に反射した光が、きらきらと美しい玉ボケとなっています。まるで吸い込まれていくようなとろけるボケは、さすがG Masterレンズと言わざるを得ません。
解像感とボケ味が両立した写りが今までのGレンズの特徴でしたが、進化した「G Master」レンズは、静止画のみならず動画でも解像感とボケ味を最高度に両立した写りを見せてくれるとのこと。 ソニーが「最高峰の交換レンズ」と謳うだけはあります。
花壇に植えられたたくさんのチューリップ。85mm F1.4は被写界深度も浅くてピントが合いづらいイメージがあったのですが、『FE 85mm F1.4 GM』は2つの位置検出センサーを用いることでそれを解消。より高精度なフォーカスレンズ位置の検知・駆動制御を行うことで、高いAF精度を実現しています。
ほとばしる水しぶきの一粒一粒も、逃さず描写してくれています。
G Masterレンズは防塵・防滴に配慮した設計になっているので、水場でも安心して使うことができますね。
また、個人的にとても良いなと思ったのが、レンズフードの先端がゴムでカバーされているということ。写真を撮りながら歩いているとレンズフードが当たってしまうことが多々ありますが、先端にゴムが付いていることによって、衝撃を吸収してくれることはもちろん建物の壁や床に傷がつくことも防いでくれます。
ポートレートレンズというとボケ味と開放描写が注目されがちですが、少し絞った画もとても良くクリアでシャープな写り味です。建物のざらりとした質感表現といい、 手前の木が解像しつつもふわりとボケている所なんかは本当に見事です。
柔らかな光を拾ってくれるレンズです。画角がうまく使えるなら室内撮りでも実力を発揮してくれそうですね。
愛娘のポートレート。拡大すると驚くほど解像しているのですが、1枚の写真として見ると角のない柔らかさすら感じる描写表現は流石です。ミノルタ時代から85mmはポートレートレンズとして高い評価を得てきましたからね。その流れを汲む『FE 85mm F1.4 GM』は歴代最高性能の85mmと呼べる1本でしょう。
絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/400秒 / ISO:100/ 使用機材:SONY α7RII ボディ+SONY FE 85mm F1.4 GM
ナノARコーティングが施されているため、ヌケの良いクリアな描写を楽しむことができます。 こちらはショーウインドウ越しでの撮影になりますが、その存在を感じさせません。
前ボケも後ボケも美しいレンズなので絞り開放での撮影が楽しくなります。それでいてフォーカス部の解像度は最高レベルと言っていいほどの描写を見せてくれます。
ボケを生かし、タイプライターの一部分にスポットライトを当てたようなカット。写真の中の一部分だけにピントを合わせて表現するのは85mm F1.4の独壇場と言ってもいいかもしれません。
春風そよぐ中、日向ぼっこ中のカモメたち。
この日はとても天気がよく、日中は汗ばむほど日の光が強かったのですが、白トビすることなくカモメの羽がしっかりと写っています。
葉っぱの艶感、花びらのしとやかな質感、そして柔らかく美しい背景のボケ。 開放でこれだけしっかりと写ってくれるのならば大満足と言っていいでしょう。
ちなみに、このレンズの最短撮影距離はAFで85cm、MFで80cmと、MFでの撮影で最短撮影距離が5cm短くなります。このツバキの花もMFでギリギリまで寄って撮影をしました。そうすることでより大きなボケ味を得ることができます。α7RIIならMFでもピントリングを回せば勝手にピント拡大してくれるので、ピント合わせも比較的容易です。
『FE 85mm F1.4 GM』と、同日発売の『FE 24-70mm F2.8 GM』、そして今後発売となる『FE70-200mm F2.8GM』。ソニーのFEレンズも明るい単焦点やズームレンズのラインナップがどんどんと増えてきました。
Photo by MAP CAMERA Staff