タムロンからは先日『SP 70-200mm F2.8 Di VC USD G2』が発売されたことが記憶に新しいですが、今回のKasyapaではその後まもなく発売されたAPS-C機専用レンズ『TAMRON 10-24mm F3.5-4.5 DiII VC HLD』をご紹介いたします。
『SP AF10-24mm F/3.5-4.5 Di II LD Aspherical [IF]』からおよそ8年ぶりのリニューアルとなる本レンズ。リニューアルを心待ちにしていた方も多いのではないでしょうか。
リニューアルしたタムロンの広角ズームの性能を確かめるべく、『Canon EOS 80D』に装着して早速撮影へと出かけてきました。
まずは広角側の写りを堪能しよう!ということで、ズームリングを10mm(35mm判換算で16mm)に合わせてビルをアオリ撮影。広角レンズならではの迫力のある写りに加えて、クリアな描写が気持ちいいですね。周辺部も流れることなくしっかりと写しだしてくれているのも嬉しいポイントです。
レンズの構成は9群12枚から11群16枚になり、新開発の大口径非球面レンズをはじめとする特殊レンズを計4枚使用しています。
諸収差が効果的に補正されており、広角レンズで特に気になる周辺部分の歪みも程よく抑えられています。
望遠側は換算で38mmなので、標準レンズとして使うことが出来るのもメリットの1つ。
望遠側のF値がF4.5と少々暗いのが気がかりでしたが、実際に撮影をしてみるとそのネガティブなイメージはどこへやら。上の写真のようにボケの美しさを生かした撮影を楽しむことも可能です。
ボケ味もうるさくなく、タムロンらしい優しい写りが魅力的です。
前モデルには無かった手ブレ補正機構『VC』が本レンズには搭載されています。4段分もの手ブレ補正ということで、室内での撮影はもちろん、夜間の手持ち撮影でも大いに活躍してくれることでしょう。
ちなみにこちらの写真は、お昼に食べたスズキのムニエルの赤ワインソース掛け。窓際の席でちょうどよくお日様の光が料理を照らしてくれていたので、すぐに食べたいとはやる気持ちを抑えながら最短距離までぐぐっと寄って撮影をしました。風景全体を捉えるだけでなく、テーブルフォトもばっちりこなしてくれます。
新モーター「HLD」が搭載されたのはこのレンズが初めて。駆動力に優れているとメーカーサイトにも書いてあるように、AFは驚くほどスムーズです。小型・軽量なので駆動力だけでなく機動力にも長けているのが嬉しいですね。
広角~標準域の撮影が手軽に楽しめるので、旅行のお供にぴったりのレンズです。
シャドウからハイライトにかけての滑らかな描写がたまりません。白トビも黒ツブレもすることなく風景全体を切り取ってくれています。
花壇に植わっていた花を真上から広角で。ぐわっと迫りくるようなカットが撮れました。
広角レンズだとどうしても周辺減光が目立ちがちですが、本レンズでは開放で撮影をしても周辺減光はほとんど見られませんでした。
ビルに反射した強い光をものともしない安心の逆光耐性!前モデルでも評価の高かった逆光耐性ですが、その性能の素晴らしさはしっかりと継承されているようです。
工事現場を上から広角で撮影してみると、なんだかミニチュアのように見えてきますね。(笑)
ここからいったいどんな形に出来上がるのか想像もつきませんが、工事の過程を見るのが面白くて、撮影が終わった後もついついじっと眺めてしまいました。
広角レンズは最短撮影距離が短いせいもあってか、ファインダーを覗きながら撮影をしていると知らず知らずのうちに被写体に近寄ってしまいがち…。水辺での撮影は特に注意が必要なのですが、本レンズは各所に防滴用のシーリングが施されている簡易防塵防滴構造を採用しているため、安心して撮影を楽しむことが出来ます。
ちなみに、防塵防滴に加えて防汚コートも施されているので撥水・撥油性にも優れています。お手入れも楽ちんな親切設計ですね。
路肩に咲いていた草花を捉えた1枚。左奥のピンク色はチューリップです。街中の木々が暖かい光を受けて嬉しそうに咲き始めているのを見ると、春がもうすぐそこまで来ていることを実感させられます。
ピンポイントで花を捉えるのも、辺り一面に咲き誇る花畑を写すのも、どちらも出来てしまうのがこのレンズの良い所。まさにこれからの季節にぴったりの1本なのではないでしょうか。
途中寄った水族館で撮影した1枚です。つぶらな瞳がかわいいですね。
動物園の場合は望遠レンズが活躍しますが、水族館はどちらかというと広角~標準域が活躍するイメージです。
…それにしても、トカゲの質感もそうですが木の質感表現が特に素晴らしいですね。とてもガラス越しに撮影した1枚とは思えません。
誰もいない会議室。天井の明暗のグラデーションがお気に入りの1枚です。静粛な雰囲気が画面越しに伝わってくるようです。
『TAMRON 10-24mm F3.5-4.5 DiII VC HLD』いかがでしたでしょうか。
マウント部分にはルミナスゴールドカラーのブランドリングがあしらわれていますが、New SPシリーズはこのリングが太く、それ以外のレンズは細いとのこと。前モデルと比べてより高級感のある洗練されたデザインが魅力的です。
このレンズを1日通して使用してみて思ったのは、「広角~標準域までカバーをするレンズは1本持っておくとかなり便利なのでは?」ということ。
「いまさら何を…」というくらい当たり前のことなのかもしれませんが、実際に使用してみるとその便利さがやみつきになります。かゆい所に手が届くって、こういうことを言うんだ…。としみじみと感じてしまいました。
私は普段単焦点レンズばかり持ち歩いているのですが、そんな方にこそぜひ使っていただきたいのが『TAMRON 10-24mm F3.5-4.5 DiII VC HLD』なのです。
今回使用したのはキヤノン用ですが、キヤノン用の発売日はニコン用より少し後の2017年3月23日(木)予定です。キヤノンユーザーの方、お楽しみに!
これからの季節、満開の桜を撮影したり、ゴールデンウィークにどこかに旅行にいったりと撮影の機会がグッと増えてきます。そんな大事な思い出を丸ごと収めてくれるのが広角レンズの良いところ。ぜひこの機会に手に取ってみてください!
Photo by MAP CAMERA Staff