先日のシグマに続き、タムロンからも最新の高画素カメラにも対応した新世代大口径標準ズームレンズ『SP 24-70mm F2.8 Di VC USD G2』が発売されました。
旧モデルの「SP 24-70mm F2.8 Di VC USD」の登場が2012年5月でしたから、かなりのハイペースでのモデルチェンジになります。デジタルカメラの進化のスピードが著しいとは言え、それに呼応するかのようなG2(ジェネレーション2)の早い登場にビックリ!5年でレンズはどのように進化したのか早速試してみました。
メーカーカタログでも紹介されているように、旧モデルではAF制御、手振れ補正制御を一つのマイコンで制御していたものが、新モデルではデュアルMPUシステムの採用によりそれぞれ個別に制御を行うことで、AFの精度とスピード、手ブレ補正の性能が格段に強化されています。実際にファインダーを覗いてみると、確かに素早いピント合わせが確認できました。サードパーティー製レンズはAF性能が少し見劣りするという印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思いますが、最近リリースされているレンズたちはネガティブな要素を見事に払拭してくれています。
レースのカーテン越しに真夏の日差しが差し込む室内。やや逆光ぎみのシチュエーションでも迷いなくスッと合焦します。手ブレ補正も、望遠レンズ程の喰いついている感じはないものの、些細なブレも許さない高画素機による撮影をしっかりサポートしてくれました。
透明なワイングラスにもすぐにピントが合います。ボケも大きく高画質。落ち着いたトーンの被写体でも個々の質感や色をしっかり再現しており、すぐに優秀なレンズと理解することができました。
頭上に風鈴が並んでいたので、手を伸ばしてライブビューで撮影。不安定なホールディング、かつ被写体が揺れるシーンでは、速いAFと強力な手ブレ補正が重宝します。
被写体に近付けたので、より大きなボケが得られました。手前の短冊をクローズアップしてみると、ボケというよりは部分的にソフトフィルターをかけたかのような柔らかな描写を披露してくれました。単に高画質な写りをするだけではなく、特徴的なボケ味も楽しめます。
フレア・ゴーストを強力に抑制する、高い反射防止性能を発揮するコーティングが施されたレンズは、とてもクリアな描写を披露してくれます。強い日差しの下、涼しい場所を求めて避難した木陰でのカットでも、明暗差に関係なくその場の雰囲気を綺麗に捉えてくれました。
最短撮影距離は38cm。街中で見つけた小さな物にも近寄って素早く撮影できます。大きな大口径ズームながらフットワークの良さを感じるレンズです。
大桟橋まで足を延ばすと、大型客船「飛鳥II」に遭遇。船体を清掃しているスタッフの方を見ればその大きさがよくわかるのではないでしょうか? そしてその大きな船を繋ぎ止める太いロープなど、細部まで細かく捉えているのが分かります。
対岸に回って改めて船の大きさを確認。真夏日の遠景撮影ということで、鮮明さが若干落ちますが、船の内部の様子も分かる高い解像力が確認できます。ジメッとした潮風と波しぶきが飛ぶ港での撮影でも、防汚コートと簡易防滴構造が施されているので水濡れ等の心配は無用。撮影シーンを選ばず思う存分撮影が楽しめるレンズです。
万国旗のように飾られた様々な色の布も色鮮やかに捉えてくれました。日が傾き始め、黄色味がかってきた空の様子など素晴らしい色再現です。
速いAFは水槽内を元気に泳ぎ回る金魚も素早く捉えてくれます。暗い場所のガラス越しでも迷いはありません。
暗い場所で明るい被写体を覗くと、レンズのクリア感をより強く感じることができます。無数の提灯が織りなすグラーデーションも綺麗に捉えてくれました。
全長108.5mmと背丈が小さく抑えられたレンズは収納にも便利。またズーム最短時のロック機能が追加されたので、カバン等から取り出す際レンズが伸びてしまう恐れもありません。重さもニコン純正などライバル視されるレンズが1Kgを超えているのに対し、900gと軽量なのも嬉しいポイント!若干太めに見えるデザインは似合うカメラを選びそうですが、ズーム調整幅も広く扱いやすいレンズと言えます。
そして忘れていけないのが、コストパフォーマンスの高さ。ニコン純正レンズの約半分のお値段で手に入るのです。性能、使い勝手、お値段と三拍子が見事に揃いました。先日、シグマのライバルレンズをおすすめしたばかりですが、こちらのレンズももちろんおすすめ。各メーカーが競うように発売する大口径標準ズームレンズはどれも折り紙つき。どのレンズが自分のスタイルに最適なのか?しばらく楽しい悩みが続きそうです。
Photo by MAP CAMERA Staff