Nikon AF-S NIKKOR 500mm F5.6E PF ED VR
カメラを長く使っていると自然とインプットされてしまう先入観。その代表例が「超望遠レンズは大きくて重い」というイメージではないでしょうか?
最近ではマイクロフォーサーズなど、センサーの小型化により軽量なシステムも増えてきましたが、フルサイズ用の500mmレンズとなると、最低でも2〜3Kgは覚悟しなくてはならないのが現状です。
今回、Kasyapaで紹介するのはそのイメージを払拭するニコンの新レンズ『AF-S NIKKOR 500mm F5.6E PF ED VR』です。
2015年1月に登場した「AF-S NIKKOR 300mm F4E PF ED VR」と同じ、PF(位相フレネル)レンズを採用し、500mmF5.6というスペックながら、約1,460gという軽量化を実現。 軽快な手持ち撮影が可能になり、スポーツシーンなど動きの変化が激しい被写体に威力を発揮します。
まずは以前、カワセミと遭遇したことのある自然観察園に出掛けました。
数カ所のポイントを探し歩きます。今までの超望遠レンズであれば、すぐに音を上げてしまいそうな移動ですが、大幅な軽量化のおかげでフットワーク良く移動できました。
残念ながらカワセミには会うことができず、代わりに遭遇したのはアオサギです。カメラを向けてもピクリとも動かず、「生きてる?」と不安ながらに500mmで引き寄せると、鋭い眼光を確認。野生の生命力を感じることができました。
公園の最寄駅を成田空港へ向かう特急列車が最高速度130Kmで通過します。フォーカス用レンズ群の軽量化によりAFも高速化された新レンズは、列車のスピードにもしっかり対応します。
移動が苦にならない軽量な望遠レンズは、広い動物園でも重宝します。手前の柵など全く気にならず、動物の間合いの外から自然な様子を綺麗に切り取ることができます。
展示スペースの運動場を周回して、奥の小部屋で一息つくレッサーパンダを撮影。覗かれていることに気づいていない様子で、リラックスした表情を捉えることができました。
薄暗い小部屋の内部を狙ったため、シャッタースピードが若干遅くなりましたが、4段分の手ブレ補正機構がこれをしっかりサポートしてくれます。もう三脚座は必要ないのではと思わせるほど、手持ち撮影が便利な超望遠レンズです。
バラが咲く花壇では、花びらの質感を綺麗に捉える高い解像力が確認できました。また単焦点レンズならではの、大きなボケも味わうことができます。
一般的なカメラバッグにもギリギリ収まる長さ237mmのレンズは、街中でも気軽に撮影することができます。本レンズの最短撮影距離は3mのため、被写体からは離れなくてはなりませんが、望遠ならではの圧縮効果で迫力ある画像が楽しめます。
クリアで抜けの良いナノクリスタルコートレンズは、遠い被写体も距離感を感じさせないほど綺麗に引き寄せてくれます。
東京駅、丸の内行幸通りから八重洲口の工事現場のクレーンを撮影。600m以上離れたビルの屋上の作業現場をこれだけ鮮明に捉えるとは、驚き以外何もありません。
PFレンズは特性上、強い光源があると周辺にフレアが発生しやすいとのことですが、列車のヘッドライトではその様子を確認することはできませんでした。
新開発のPFレンズ素材は回析フレアを大幅に抑制し、光源は本来の色に近い色で再現するとのこと。フレアに対して臆病になる必要はなさそうです。
今回の撮影は、超望遠レンズを持ちながら電車で自然公園、動物園、東京駅へと移動しました。 これまでの超望遠レンズだったら体力的に1日でここまでの距離を移動することは叶いませんでしたが、 軽量化された本レンズのおかげで乗り切ることができました。また、手持ち撮影が容易なレンズは三脚等の準備もいらないため、よりフットワークよく撮影できます。この恩恵は本当に大きく感じます。
ニコンもフルサイズミラーレスに参入し、これまでの資産を活かしつつ機材の軽量化を検討されている方も多いのではないでしょうか?本レンズはまさに打って付け。一眼レフはもちろん、軽量なミラーレス機でもバランスの良い撮影が楽しめることでしょう。
一度このレンズの便利さを知ってしまったら、もう重いレンズには戻れません。ご注意ください。
Photo by MAP CAMERA Staff