FUJIFILMX-T30
今回のKasyapaは富士フイルムから発売された「X-T30」を紹介いたします。
昨年9月に発売されたX-Tシリーズのフラッグシップ機である「X-T3」と同じ、新開発の第4世代の新イメージセンサーと画像処理エンジンを小型軽量ボディに搭載。携帯性に優れ高画質が楽しめるという、なんとも欲張りなモデル。
筆者は現在「X-T20」を愛用しており、CP+から始まる新製品ラッシュの中で一番気になっているモデルでした。念願の対面を果たした私は台湾へ向かいました。
台湾といえば、夜市や提灯の街並みが有名です。余計な光がない真っ暗な闇の中に黄色い無数の提灯がとても幻想的で、定番と思いつつ思わずシャッターを切った1枚です。
「X-T30」になり進化した部分の1つに明るく高精細になった電子ビューファインダーが挙げられます。一眼スタイルのカメラにとってファインダーの見やすさはやはり重要で、ファインダー越しにでも感動の風景がしっかり伝わります。
台北でも有名なパワースポットの龍山寺。まさにその名の通り龍や仏像の細かい造形が楽しめます。キットレンズの「XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS」は、ボディとのバランスもよくとても使いやすいレンズで、旅のお供には最適な1本です。
イメージ通りの画角に瞬時に切り替えられるズームレンズは、屋根の鳳凰や龍のうろこ1枚1枚まで細かいところまで鮮明に切り取ることができます。
旅の際、必ず持ち出すお気に入りレンズが「 XF35mm F1.4 R」です。約383gという軽量ボディには若干大きめレンズですが、グリップ部の突起が増したことで、より持ちやすくなった事にも触れておきます。
写真は夜市内のお店のおみくじを入れている棚で、小さな引き出しが無数に並んでいます。1つだけおみくじが飛び出した引き出しが気になり思わずカメラを向けました。上位モデルではおなじみの”8方向レバー”によりピント合わせもよりスムーズになっています。
私が富士フイルムのカメラを愛用する最大の理由は、優れた色再現性です。様々な照明が織りなす夜市では、多彩な彩があります。そんな日本では味わえない不思議な色を1枚の絵画のように仕上げてくれます。
ランチに立ち寄った小籠包のお店。作っている職人さんの躍動感も見事に映し出してくれています。
アウトフォーカスのボケの美しさも追求した「XF35mm F1.4 R」は、テーブルフォトでも活躍。あの時味わった美味しさが、思わず脳裏をよぎる高い質感描写です。
街を散策中、古き良き台湾の街並みに遭遇しましたので富士フイルムの十八番、フィルムシミュレーションの「ACROSS」モードで撮影しました。黒の締まりと豊かな階調で高精細感が引き立つ一方でノスタルジー感も。
フィルムシミュレーションは、その場の雰囲気に新たなスパイスを加える楽しい機能です。
古い中国的なビルの脇に西洋風の建物が建っている風景を見ると、色々な国に統治されていた台湾の歴史と深みを感じさせてくれます。そんな歴史感を残すにはシネマフィルム調の雰囲気が得られる「ETERNA」モードが合います。落ち着いた発色と豊かなシャドウトーンが古き良き台湾の街並みにしっくりくるのです。
小さな巨人
ハードなスケジュールでの撮影でしたが、使い慣れた富士フイルムのカメラということもあり、快適な撮影が楽しめました。そして優れた操作性を実現した”フォーカスレバー”や”タッチパネルディスプレイ”が、確実に使い勝手を向上させていたのが実感できました。「X-T20」で愛用していたハンドグリップがそのまま使えるのも嬉しいポイントです。
もちろん、X-T3譲りの高画質に加え、多彩な写真表現を可能にする”フィルムシミュレーション”など、最新モデルならではの充実の機能も見逃せません。ラインアップの位置付けこそ「中級機」とされていますが、秘めた実力は上位モデルに匹敵。まさに「小さな巨人」という言葉がピッタリです。
Photo by MAP CAMERA Staff