マクロ撮影からスナップ、テーブルフォトまで楽しめるZマウント用標準レンズ『Nikon NIKKOR Z MC 50mm F2.8』をご紹介します。当レンズの一番の特徴は「マイクロレンズ」であること。他社がマクロレンズと称するところを、ニコンは「マイクロレンズ」という言葉を使っています。これは本来マクロレンズは顕微鏡のような拡大光学系レンズを指す用語なので、言葉の正確性にこだわったニコンは「マイクロレンズ」を使うことを選択したというものです。Zマウントのマイクロレンズはこれまで存在しなかったので、首を長くして待っていた方も多いはずです。50mmという長さは使いやすいですが、もし最短撮影距離が長かったら表現の幅が狭くなってしまいます。当レンズは最短撮影距離が16cmと短く、最大撮影倍率は1.0倍。それに加えて小型・軽量で携帯性にも優れるので、幅広く便利に使うことができるのです。もちろんニコンらしい高い解像力と美しいボケ味も持ち合わせています。そんな注目の当レンズで撮影してきましたのでぜひご覧ください。
年季の入った飛行機のコクピット。太陽光が反射して輝いていました。計器類は最新のものも勿論かっこいいですが、このノスタルジックな風貌にも惹かれるのです。
当レンズの用途について、ニコンは「マクロ撮影からスナップ、テーブルフォトまで」と表現しました。さっそく大人も注文可能なキッズプレートをオーダー。飛行機のクッキーがついているのがポイントです。子どもの好きなものばかりが詰まった夢のようなプレートを、わかりやすいよう俯瞰で撮影しました。
飛行機の格納庫の一角に、車やバイクのコレクションがありました。すべての横顔が見えるよう少しずつずらすという駐車方法にこだわりを感じます。窓から入った外光が床で反射している様が、写真から静寂を感じさせます。
歴史的建造物の前にカラフルなすべり台があるのがミスマッチだと感じていたのですが、子どもが通りかかったことでうまくバランスが取れた一枚になりました。
嵐の前といった風情の雲がどんよりとしています。嫌な風が吹いているのが写真からでも伝わってきます。花が咲いた丘と老夫婦がまるで嵐が来るのを待っているかのよう。
マクロ撮影ができるということで、ゴマ団子をアップで撮りました。『Nikon Z 6II』のDXフォーマットという機能を使うことで、35mm換算75mm相当で撮影することができます。最短撮影距離まで近づくと、小さなゴマも一粒一粒がよく見える大きさになりました。
街路樹がしなるほどの嵐が過ぎると、久しぶりの青い空を見ることができました。わずかにフレームインさせたグリーンが爽やかな空気を引き立ててくれています。
石でできたベンチにその空と雲が反射していました。直接空を撮った方がクリアではありますが、あえてリフレクションを大きく写します。晴れた日ならではの一枚です。
街へ戻ると空が今度はビルに映っていました。太陽の強い光をなるべく残すべく、アンダーに補正して撮りました。影ができることで雲の質感がよく伝わってきます。
撮影を終えて帰宅しようかというところに、道路に書かれた文字が目に入りました。丁寧に1レーンずつ書かれているのが並んでいるのが、50mmの画角で切り取るとちょうどよく収まりました。
Zマウント用標準マイクロレンズ、遂に登場。
どんなレンズにおいてもまず最短撮影距離をチェックする筆者にとって、当レンズはとても使い心地がよかったです。よく見たいと思ったときに顔を近づけるのは人間の本能ですから、それが当たり前にできないと不便だと感じるからです。ショートフランジバックのおかげで高い解像性能をもち、その描写は抜けがよくクリアー。また徐々に溶けていくようなボケ味も美しかったです。みなさまが楽しみにしているのも納得の一本です。ぜひお手にとっていただきたいです。
Photo by MAP CAMERA Staff