-機能美- 実用性と美しいデザインの同居。古来、カメラは撮影の道具という側面だけでなく「価値ある所有物」として様々な人に愛好されています。それには、写真を撮る楽しみに加え、手に持つ喜びやルックスへのこだわりがあるからでしょう。ことフィルムカメラ黎明期には、各社が様々な発想を落とし込んだ多種多様なデザインのカメラが市場をにぎわせたそうです。それから時を経て、フィルムからデジタル、一眼レフからミラーレス一眼へと技術の進歩に伴ってカメラのデザインはコンパクトに、シンプルに、というバイアスで成長を遂げてきました。そんな2021年、ニコンが発表した「Nikon Z fc」は業界に大きな話題を呼びます。最新のミラーレス機らしい高い機能を内包しながら、フィルム時代の名機「Nikon FM2」を彷彿とさせるクラシカルなデザイン。一眼レフ機の「Nikon Df」から続くスピリットを継承した一台。たくさんの方が「こんなカメラを待っていた」と心躍らせたことでしょう。
今回は、そんな「Nikon Z fc」をよりディープに愉しめるレンズ『Nikon NIKKOR Z 28mm F2.8 Special Edition』をご紹介します。フィルム全盛期のマニュアルレンズにインスパイアを受けて開発された本レンズ。ローレット加工が施され、デザイン性とホールド性能を同時に手に入れることが出来たまさに機能美のレンズ。フルサイズZシリーズでは広角単焦点として楽しめますが、「Nikon Z fc」に取り付ければフルサイズ換算42mm相当とスナップ撮影にピッタリの使いやすい画角に。そんな世界観を感じられる組み合わせで撮影を行ってきました。ぜひご覧ください。
街を散策していると、大正ロマンを感じるステンドグラスに出会いました。美しい光の演出と重厚感のある木の扉で、この扉を開くとどの様な世界が広がっているのだろうと想像力を働かせながらこの1枚を撮影しました。
浅草といえば多くの老舗料理店が点在していますが、そのひとつに「どぜう鍋」があります。創業1801年ということは今から200年以上も前のこと。江戸時代から続く料理手法でどじょうをお酒に酔わせ、お味噌で煮込んだらお店独自のタレで味付けをする。老舗の味が楽しめると人気のお店で、横断歩道からその長きに渡る歴史を感じながらシャッターを切りました。
少し街を散策していると、コンクリートで囲まれたデザインの建築物の中で、美しいテールデザインを強調するかのように光が当たっているのが目に留まりました。1963年に登場して以来、多くの車好きを魅了し続けてきたポルシェ911。この伝統的なスタイリングは今なお大きくデザインを変更されることなく継承されていて、「Nikon Z fc」にも通づる魅力を感じた瞬間でした。
大手町の洗練された商業施設のショーウィンドーを眺めていると、この街らしい瞬間に出会い首からぶら下げた「Nikon Z fc」を手に取り、ファインダーを覗いて瞬時にシャッターを切りました。撮りたい!と思った瞬間をありのままに再現してくれるとても素晴らしい相棒です。
スナップの醍醐味を存分に。
今までさまざまな機材でスナップ撮影を楽しんできた筆者。その中で、やはり良いカメラというのは「いくらでも撮りたくなる」というワクワク感を与えてくれるものだと考えています。『Nikon Z fc + NIKKOR Z 28mm F2.8 Special Edition』の組み合わせは、まさにそんな魅力を感じられました。目に入った情景はもちろん、記憶の中にある「あの場所に行ったらこんな写真が撮れるんじゃないか」「あそこならこんな風景に出会えるかも」といった作品へのあくなき探求心が刺激されるのです。結局、早朝から日が暮れて夜のとばりが下りるまで歩む足もシャッターを切る手も止めることが出来ず、たくさんのカットを残すことが出来ました。機能美を体現した素敵な組み合わせで、ぜひ写真の魔法にかかっていただきたいです。
Photo by MAP CAMERA Staff