渾身のフラッグシップモデル「Nikon Z9」の登場で大きな盛り上がりを見せているニコンのミラーレスZシリーズ。多様なニーズに対応するべくレンズ群もかなり揃ってきています。今までは、まだ出ていなかった焦点距離を埋めるように新しいレンズが追加されている印象でしたが、今回紹介するのは選択のバリエーションを豊かにしてくれる一本です。
本日発売の『Nikon NIKKOR Z 28-75mm F2.8』を早速ご紹介します。開放F2.8を持つ標準域のズームレンズには、大三元に数えられる「Nikon NIKKOR Z 24-70mm F2.8 S」があり、また開放F値の違う「Nikon NIKKOR Z 24-70mm F4 S」も存在します。それを踏まえたうえで『Nikon NIKKOR Z 28-75mm F2.8』の長所を端的にまとめると「大口径F2.8の明るさを持ちながら、F4ズームに近いコンパクトさと価格」と言えるでしょう。これだけでも非常に期待できますが、では肝心の写りはどうでしょうか。今回はZシリーズのスタンダードモデルである『Nikon Z6II』に装着して撮影に行ってきました。ぜひご覧ください。
晴天ながら風の強い日でした。こんな日に飛行機に乗ったら機体は揺れるのだろうか…などと取り留めもないことを考えながら離陸準備を進めるさまを見つめていました。よく見ると整備士の方々でしょうか、作業を終えて談笑されているようです。風が強くても、雨が降っていても、さまざまなスタッフの方々のたゆまぬ努力によって安全は保たれているのでしょう。
金に輝くビーズ大の玉が、無数に並べられている装飾を見つけました。奥が鏡になっているので、無限の空間が広がっているように見えます。開放の描写はどうでしょう。ピントが合った部分ははっきりと見え、前ボケ・後ボケはナチュラルに溶けています。そして、全体的に硬くならず柔らかい印象になっています。
イルミネーションというとクリスマスの風物詩な印象がありますが、綺麗なものは通年見ても良いモノです。飾りの一つにピントを合わせて背景の電飾を大きな玉ボケにするのが狙いです。まるで無数の星の中に浮かんでいるようなカットを撮ることが出来ました。
苔の瑞々しさや水面のツヤなど、質感の画き分けが見事です。少し絞ることで解像感も増し、枝の模様などがより緻密に見ることが出来ます。
飼育員さんからお昼ご飯がふるまわれ、すっかり満腹になって岩上でくつろいでいる一羽のペンギン。お腹がいっぱいになったら眠くなるのは生物の共通点なのでしょうか、少しとろんとした目をしています。そんな姿がくっきりと浮かび上がっていて、中距離での『Nikon NIKKOR Z 28-75mm F2.8』の立体感ある写りが味わえました。
身軽×高画質、標準の新しい選択肢
「S-Line」には属さない当レンズ。「軽量で手にしやすい価格」という魅力がある一方で、画質はトレードオフなのではというのが撮影前の印象でした。持ち前の機動力を活かして様々なカットを積み重ねましたが、そのどれもがくっきりと抜け感の良い「NIKKORの写り」を見せてくれていて、画質面で劣ることがまるでないと驚かされました。もちろん、「Nikon NIKKOR Z 24-70mm F2.8 S」にはより拘った光学設計やFnボタンの搭載など強みもあります。どちらが良いか、というよりも撮影者のニーズやスタイルに合わせて選ぶことの出来るレンズの幅が増えた事が非常に喜ばしいです。いつでもどこへでも連れていける携行性と、ニコンらしい描写力を両立した相棒をお探しの方に是非お試しいただきたいレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff