981:広角大口径を日常に『Voigtlander NOKTON 28mm F1.5 Aspherical E-mount』
2025年01月20日
本日はフォクトレンダーから発売される 『Voigtlander NOKTON 28mm F1.5 Aspherical E-mount』をご紹介いたします。フォクトレンダーのレンズの中ではF1.5より明るい開放F値を持つ大口径レンズに与えられる「NOKTON」の称号。8群10枚の構成と大口径広角レンズでありながら質量320g、全長55mmのコンパクトさを実現しました。電子接点が搭載されているので、撮影データのExif情報や周辺光量、倍率色収差、歪曲収差の電子的な補正、ボディ内手ブレ補正機能にも対応します。絞りクリック切替え機構も搭載されているので動画撮影時のクリック音も心配いらず、それだけでなく絞りリングを微調整することでシビアな深度コントロールも可能です。今回はトータルバランスの良い「SONY α1」に装着して撮影を行ってきました。ぜひご覧ください。
無限遠に合わせて開放絞りで撮影しました。絞って撮ったものと見比べると奥の輝度の高いところはややフリンジが出ていますが、開放絞りでここまで抑えられているというのもとても優れていると思います。ちなみにこのカットではボディ内の周辺光量、倍率色収差の電子補正をONにしています。周辺光量OFFと比較するとかなりの違いを感じることが出来ました。私個人も周辺光量補正はあまりしない派だったりするのですが、これは補正してもいいかもしれない、と思うくらいの自然な感じなのでオススメです。
直射日光というよりは高層ビルに反射した光が降ってきているような感じで、少し柔らかめな光です。影のコントラストやグラデーションを非常に繊細に描いてくれました。
非球面レンズの採用により絞り開放から優れた描写をしますが、F2.8に絞ることで手前側の舗道のザラっとした質感やひび割れなど細かなところまでさらにシャープに写してくれます。
大きなシダの木の下を通りがかったタイミングで雲間から光が射してきたので撮影しました。背景にもワサワサと葉があったのですが開放絞りだと溶けて見えなくなったりと広角レンズながらボケ味、量ともにたっぷり楽しむことが出来ます。こういう表現が正しいかは分かりませんが、ボケの柔らかさにノクトンらしさを感じました。どこかアナログさが残るような感じに惹かれます。ちなみにここからのカットはすべて電子補正OFFで撮影を行っております。
最短撮影距離は0.28m。広角ながらボケ感を活かして主題を引き立てることが出来ます。
ユニークなオブジェだったので少し絞って金属などの質感描写を確かめてみました。さきほどのカットと見比べても質感の硬度がしっかり再現されています。特に金ざるは見ているだけで目が痛くなるほど。扇風機の前ガードは開放絞りでは反射した光がやや滲むようになっていましたが、それも無くなりシャープになりました。ボディ内の周辺光量機能がOFFでも絞ることで四隅の減光はかなり改善されます。
昼下がり、ときどきの日差しに一喜一憂するも分厚い雲が空を覆っていきます。屋外ながら実際にはかなり暗いシーンでしたが、ISO感度を上げずに水面から顔を出した瞬間の鯉を捉えることが出来たのはレンズの明るさのおかげです。F1.8に絞るだけでもかなりシャープになりました。
夕暮れ前になってやっと厚い雲を抜けて太陽が顔を出してきたところです。千切れ雲に遮られ直射というわけではなかったかもしれませんが、この状況でフレアもゴーストも出なかったことに驚きました。被写体としては小さなバーですが背景に埋もれずに、しっかり立体的に写ってくれました。こんなシーンもちゃんと撮れてくれるのでますます信頼の置ける存在になっていきます。
せっかくの「ノクトン」なので暗くなってからのカットも増やしてみました。ガラスの曲面を撮っているのでボケの形状が細長く見えますが、円形状のボケが見れます。遠めではありますが周辺部も綺麗な丸ボケになっていることに驚きました。
電子接点を搭載し、5軸ボディ内手ブレ補正機能にも対応しているのでスローシャッターで撮るのも問題なく、感度を上げすぎずにシャッタースピードを確保することも出来るので「夜のスナップシューター」として活躍すること間違いないです。
広角大口径を日常に
やはりF1.5の明るさがある一番のメリットは「日が落ちてからもまだ撮れる、むしろここから」とシャッターを切るつもりにさせてくれるということではないでしょうか。夜の街や景色を撮れるというのはスナップ撮影においては非常に大きなポイントであり無限遠に合わせてパシャパシャと撮れる、28mmの画角もちょうどよく、とても楽しいです。普段使いの常用レンズにするのはもちろん、カバンに忍ばせる「夜のスナップシューター」的な使い方も楽しいと思います。このコンパクトな広角大口径をぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff