Zマウントの400mmというと、わずか半年足らず前に『NIKKOR Z 400mm F2.8 TC VR S』と『NIKKOR Z 100-400mm F4.5-5.6 VR S』が発売されたことが記憶に新しいですが、この度さらに『NIKKOR Z 400mm F4.5 VR S』が登場したのでご紹介します。この発売間隔からしても、ニコンがいかに精力的に注力しているかをうかがい知ることができます。そんな中現れた『NIKKOR Z 400mm F4.5 VR S』の特長は、圧倒的な軽さと類まれなる描写力。1160gというのはただでさえクラス最軽量で、また重心位置をボディー側に寄せることにより、より軽く感じられるよう設計されているのです。そしてニコンならではのレンズ群の効果的な組み合わせにより、圧倒的にクリアで解像感のある描写を実現しました。使い勝手のよさと描写性能の高さから得られる快適さは誰もを虜にし、さまざまな被写体を「このレンズで撮りたい」と思わせてくれます。今回はファーストインプレッションとして当レンズ第一弾のフォトプレビューをご覧ください。
撮影に出た日は生憎の雨。風も強く、ビーチに打ち寄せる波がうねっています。海の中には誰もいませんでした。それでも乗れる波はないかと左の方から長い距離を探し歩いていたサーファーも、いよいよ店じまいのようです。
この浜には何度か来ているのですが、遠くに工場のような施設があることに初めて気が付きました。彩度の低い空間にそれがあるのが似つかわしく、手前にあるスピーカーを前ボケで脇役に添え、奥にある要塞に焦点を当てます。
葉についた水滴がコロコロと転がって集まり、小さな水たまりを作っていました。写真では静かに佇んでいるように見えるかもしれませんが、風で揺れる葉に合わせて水たまりも右へ左へと動き、大揺れすると葉から雨がこぼれ落ちてしまったりもして、実はなかなか撮らせてもらえなかった一枚です。
せっかくなので雨を活かした写真を撮ろうと思い、大きな雨粒が池に落ちて水しぶきが上がった瞬間を捉えました。蓮の花のリフレクションや泳ぐ鯉も、水面が穏やかな日であればクリアに写ったでしょうが、広がる波紋に風情を感じる仕上がりになりました。
7月といえば七夕。軒下に並ぶ七夕飾りに注目してみます。手前から奥にかけてピントが徐々に合っていき、また徐々にボケていく様が美しいです。飾りが風で揺れるのを見ていると時間を忘れてしまいそうです。七夕の飾りである吹き流しはなんだかクラゲを連想させますが、裁縫技術の上達の願いが込められているのだそうです。
動物園にやってきました。ちょこまかと動き回るコツメカワウソ。写真では木にムニュッと顔を押し付けてリラックスしているように見えるかもしれませんが、実は違うのです。一瞬この体勢になっただけで常時動き続けていました。写真の印象と実際のギャップが面白いと感じます。
動き続けるといえば、レッサーパンダも同じです。前足を手のように器用に使って茎を手繰り寄せ、匂いを嗅いでいるような瞬間を捉えました。横に膨らんだ丸いお腹もなんとも可愛らしく、人気者であることに頷けます。
池の畔の草むらでうつらうつらする鳥。眠そうなのをいいことに、最短撮影距離である2.5m付近まで近寄ってみます。美しい羽の一本一本まで見事に描写されました。
圧倒的な描写性能を、クラス最軽量で。
撮影に出た日は本当に雨風が強く、他の日に変更した方がよいのではないかと実は悩みました。しかしながら、高い堅牢性と防塵・防滴性能、防汚性能を謳う『NIKKOR Z 400mm F4.5 VR S』の実力を試す絶好の機会だとも思えたのです。当レンズはそのほかにも、軽量な上に重心の位置がベストバランスで、さらにはブレ補正効果5.5段という手ブレ補正(VR)機構も備えています。横殴りの雨の中で傘をさしながら超望遠を構える。そんな悪条件でも見事に撮影者の意図に応えてくれました。そして撮れた写真はクリアで立体感がありつつ精細で美しいのです。まさに新世代の超望遠レンズ。ぜひお手にとっていただきたい一本です。
また、次回はより『NIKKOR Z 400mm F4.5 VR S』の特性を活かしたフォトプレビュー第二弾を計画しております。ご期待いただければと思います。
Photo by MAP CAMERA Staff