ラージフォーマットの中判デジタル機をもっと身近に、そんなフジフイルムの想いが詰まった機種がついに登場しました。その名は『FUJIFILM GFX 50S II』。そう、GFXシリーズとして初めて登場した『GFX 50S』の正式な後継機の登場です。
今回の大きなトピックとしては、ボディ内手振れ補正機構を採用し、ボディも『GFX 100S』と共通化が図られたという事。最大6.5段の補正効果は、高解像度ゆえに手振れにシビアな中判デジタル機にとって大きなメリットです。また、ボディベースが変更になったことで対応バッテリーも小型の『NP-W235』に変わりました。先代の『GFX 50S』は中判フィルムカメラのシステムをデジタル化させたような機種でしたが、今回の『GFX 50S II』はよりライトに使えるようミラーレス機として進化したと言ってもいいかもしれません。
初めての中判デジタル機にピッタリだと感じた本機、ぜひその写りをお楽しみください。
長い階段を登り、森の中にある神社への参道を見上げてでのカット。早速ではありますが、強力なボディ内手振れ補正を活かせるシーンになりました。
露出はF8、1/50秒、ISO400。普通に考えて中判カメラの手持ち撮影では必ず手振れを起こすであろうシャッタースピードです。しかしながら「撮影した写真に驚いた」というよりも先に、覗いたファインダー内の像がユラユラと動くことなくシャッターを切れたことに驚きました。撮れた写真は言わずもながら、その解像力と手振れ補正の効果に感動した一枚です。
境内にある祠を撮影した一枚。細かな木目や金属の質感が見事でラージフォーマットの魅力が十分に伝わる描写力です。
そこで忘れてはいけないのが、今回使用したレンズはキットレンズである『GF35-70mmF4.5-5.6 WR』だということ。新たに登場した標準ズームレンズなのですが、描写に一切の妥協を感じない素晴らしい写りです。GFレンズとしては最小・最軽量となる約390gなので、撮影中は本当に軽快。『GFX 50S II』のボディサイズも相まって、本当にフルサイズ一眼レフを持ち歩いているような感覚で撮影ができます。
ガラスの映り込みと神輿の金属感が美しく感じ、よりその質感を高めてくれるフィルムシミュレーション:クラシッククロームでスナップした一枚。こうやって気軽にシャッターを切らせてくれる中判デジタル機は本当に素晴らしいなと感じました。中判フィルムカメラを愛用している方なら共感していただけると思いますが、シャッターを切るまでのプロセスや息を止めてシャッターを切る瞬間など、一枚の写真を撮るために独特の緊張感があります。それがフィルムカメラの魅力とも言える所ではありますが、シャッタースピードや手振れを気にせずにパシャパシャと高画質スナップを撮らせてくれる『GFX 50S II』はやはりカメラとして素敵だなと思います。
苔むした石段の一部に木漏れ日から漏れた光がスポットライトのように照らしていました。濃い色にながら当面感のある緑。フィルムシミュレーション:Velviaがさらにその色の美しさを強調してくれました。
こういう何気ない雰囲気を写真として成立させてくれるのは、全てのカメラが出来ることではありません。レンズの描写力、ボディの解像性能と色表現、それによって生み出させる立体感と空気感。ラージフォーマットのセンサーを積む『GFX 50S II』ならではの表現だと思うのです。
立ち枯れた木々を曇り空と共にスナップ。“写真画質”を目指して開発しているフジフイルム機はやはり一味違うと思いました。精細な解像力や広いダイナミックレンジも写真を構成する一部であって、そこに色や光の表現、質感や空気感が加わり一枚の写真になる。今回の撮影では『GFX 50S II』の画質力を大いに感じることができました。
ラージフォーマットという選択肢を。
今や高画質とスピード、ハイレベルな動画機能まで備わったフルサイズミラーレス機ですが、それらが越えられない絶対的な壁の向こう側を今回の『GFX 50S II』では垣間見れた気がします。感覚的な話になってしまうのですが、ラージフォーマットで撮った写真は何かが違う。それは写真を見たときに受ける立体感や質感、そして写っている被写体の質量まで感じることができる画質なのです。
機能面で言えば何でもこなせるカメラではありません。AFも超高速ではありませんし、動画機能も簡略化された機種になります。しかし、スチルを撮るために十分すぎる機能と小型軽量で強力な手振れ補正、そして絶対的な高画質を持ち合わせている機種です。
一昔前は100〜200万円が当たり前だった憧れの中判デジタル機ですが、フルサイズミラーレス機と同じ価格帯で選べるようになりました。カメラ選びにラージフォーマットという選択肢を。『GFX 50S II』の画質は必ずやあなたの心を掴んでくれるはずです。
Photo by MAP CAMERA Staff