富士フイルムのXFシリーズ標準ズームレンズ「フジノン XF16-55mm F2.8 R LM WR」が数年ぶりにリニューアル。『フジノン XF16-55mm F2.8 R LM WR II』が登場いたしました。レンズ構成はI型が12群17枚だったのに対しII型が非球面レンズ4枚、スーパーEDレンズ1枚、EDレンズ3枚を含む11群16枚の贅沢なレンズ構成。ズーム全域で最短撮影距離0.3mを実現し、テレ端では最大撮影倍率0.21倍の近接撮影が可能となりました。そして最新のレンズ加工技術によって、構成レンズの薄型化に成功しI型から約4割の軽量化を実現。全長で11mmの短縮、体積で約38%の減量化を達成し、フィルターサイズもφ77mmからφ72mmに。コンパクトになった筐体でもAF性能を犠牲にしない専用設計されたリニアモーターによる高速静音AF、防塵・防滴・-10℃の耐低温構造も実現させています。さらに本レンズで初めて採用された「絞りクリックスイッチ」によりクリック無しで明るさの変化を滑らかにでき、自然な動画を撮影することが可能。新生フラッグシップレンズとしてふさわしい性能を備えた一本となりました。「X-H2」に装着してみましたが胴回りがスリム化したことでかなり持ちやすくなりました。
標準域、開放絞りでの撮影です。スチールのマットな質感を忠実に再現しつつも、キリリと締まった素晴らしい一枚。各収差が良く抑えられているおかげか細いサイズのフォントなどもクリアに写ります。
I型がズーム域で最短撮影距離が変動するのに対しII型は全域で最短撮影距離が0.3m、テレ端で最大撮影倍率0.21倍と接写性能がより向上しました。鶴の織布の細部までしっかり解像してくれています。非球面レンズの超微細加工技術の進化により、輪帯模様の発生を抑制し滑らかで美しいボケ味を表現するとのこと。その通り、ズームレンズながらとても美しいボケ味です。
小屋に飾られたクリスマスリース。小屋の中はかなり暗い環境でしたがISO感度を上げることなく撮影できましたし、広角端の開放絞りながらリース全体をシャープに写してくれています。
太めの枝を中央に配置して二分割。広角端で程よく絞って、見上げるような形でバキバキと鋭角に伸びていくように見える大木の枝を撮影しました。一番奥の細枝は、太い枝からするとかなり離れた位置にあるのですが、非常にシャープな線を描いています。周辺減光もほぼ見受けられません。
平日、この寒さということもあり誰もいないベンチ。いい具合に陽光に照らされてたので中間域の開放絞りで撮影してみました。ひび割れやペンキの剥がれ具合がどれだけ写してくれるのか、画面中央部を拡大してみると非常に精細な描写に驚きました。
準広角域で少し絞って撮影。手前側、落葉樹の枝の描き込みの密度の凄まじさ。それだけでなく画面奥の紅葉の色づき、立体感など解像性能の高さを実感させる一枚です。
ガラス製のドリンクサーバーに透ける光の写し方に惹かれた一枚。裏にあるグラスに反射した光が柔らかいフレアになっています。実はこの後水面に反射する光を撮影したのですが、そのときもこんな感じにフィルター効果のようなフレアがかった写りになりました。基本的にクリアに写るのですが、ある一定の条件下で発生するものと思われますが、シンプルに綺麗で魅力的な描写だと思いました。ぜひ反射を見つけて撮ってみてください。
壁面の木製パネルの凸凹やガーデンチェアの網目状のディテールをとてもシャープに描いてくれました。左端の暗いところまでの光の落ち方がとても自然な感じがしますし、右端は周辺部も均一な描写です。絞ったおかけで手前の格子がボケ過ぎず邪魔になりませんでした。
標準域の開放絞りで撮影しました。テレ端だけでなく、標準域のボケ味もとてもきれいです。
まだ空の色が残っているうちに空を彩るライトアップを撮影。ホワイトバランスを蛍光灯にして空の色を調整してみましたが綺麗なグラデーションを描いてくれました。画面奥を歩くシルエットをシャープにしたくピントは奥に、とはいえ手前側もスッキリ見せたかったので少し絞った結果、意図通りの画を見せてくれました。街灯が入り込まないようにやや伸ばします。こういう構図の微調整を行えるのがズームレンズの強みです。
掌(てのひら)のフラッグシップ
まずこの一本があれば、何でも撮れるという安心感はまさにフラッグシップレンズ。「X-H2」と組み合わせた写真をご覧いただいた通り、バランスもとても良いです。I型が極端に大きいとは思いませんが、約200g以上も軽くなるというのは確実に負担が軽くなります。また、X-Hシリーズだけでなく他の小型ボディと組み合わせられるコンパクトさも魅力的。写りに関してはもはや言うことなしです。よりベターな画作りをしてくれるだけでなく、何やら色気を感じさせる描写も時折見せてくれます。新世代センサーを搭載したカメラたちはもちろん、全ての世代の性能を引き出してくれる一本。ぜひ使ってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff