886: ラージフォーマットの魅力を引き出す『FUJIFILM フジノン GF55mm F1.7 R WR』
2023年09月28日
ラージフォーマットの魅力を引き出す大口径標準単焦点レンズ『FUJIFILM フジノン GF55mm F1.7 R WR』が発売されました。 35mm版換算で約44mmと広めの画角とF1.7という明るさでGFレンズの定番レンズとして活躍するであろう一本です。EDレンズ2枚と非球面レンズ2枚を含む10群14枚のレンズ構成で、非球面レンズ1枚とEDレンズ2枚を含む8枚のレンズをフォーカスレンズ群に採用。フォーカスによる各種収差の変動を抑え、柔らかく美しいボケ味と高い解像性能を実現しています。ラージフォーマットならではの画力の強さをぜひご覧ください。
『GFX100 II』のKasyapaではフジノン GF20-35mm F4 R WRと撮影した岩肌のカットをご紹介しましたが、本作では『フジノン GF55mm F1.7 R WR』で撮影したカットをご覧ください。F4に絞りましたが下の隅のほうだけ僅かに緩んでいるだけで全体的にシャープな画になりました。こちらのカットもクリックすると原寸大の画像をご覧いただけます。
この焦点距離と被写体(流木)の位置で立体感を見せることが出来るということにラージフォーマットセンサーとレンズの描写力の凄みを感じます。その場の雰囲気をまるごと取り込みつつも、被写体をしっかりと引き立てられます。
被写体を引き立てるボケ味もクセがなく、少しも引っかからずにピント面に視線が誘導されていきます。そしてまさに「浮き立つ」という表現がピッタリのピント面。強烈ながらも品のある写りに感服しました。
広めの画角を活かして室内の様々な要素を1枚に収めることができます。もちろんラージフォーマットならではの背景ボケと立体感がポートレート撮影やスナップ撮影で活躍してくれることでしょう。
逆光をきれいに捉えてくれます。気持ちよさそうに咲き誇るサルスベリが光を浴びていました。そんな逆光シーンでもフレアとゴーストがよく抑えられています。描写も硬すぎず筆者の期待通りの写りをしてくれました。
ほんの少し、光がきれいに当たっていたのでシャッターを切りました。想像以上のシャープさと、立体感は「こう撮れたらいいな」を実現してくれるレンズだと実感しました。
狙ったとおりのレスポンスを返してくれるのでスナップにはピッタリのレンズです。オートフォーカスはどんな状況でも的確に捉えてくれました。スナップ・ポートレート・ウェディングどんなシーンでも活躍できるでしょう。
フィルムシミュレーション「ACROS」で撮影。豊潤なモノクロトーンでうっとりしてしまいます。暗がりのほうへ落ちていくトーンやとろけるような柔らかいボケ味、ガラスの艶など全体的にとても色気のあるカットになりました。
F4まで絞れば硬い質感がしっかり伝わるキリッとした描写を見せてくれます。周辺減光もばっちり解消されました。最大8段のボディ内手振れ補正のおかげでISO感度を上げすぎることなく撮影出来ました。
このカットのみフィルムシミュレーション「クラシックネガ」で撮影しました。「REALA ACE」をしばらく使っていたので、改めて画作りの違いに驚かされます。少し天気の悪い日でも仕上げてくれる「クラシックネガ」はやはり素晴らしい。フィルムシミュレーション選びはどれも良すぎて悩んでしまいます。
ラージフォーマットの魅力を引き出す
改めて44mm相当の画角の万能性を実感する撮影になりました。広めだけど広すぎない。人間の視野に近い画角のおかげで見える画にギャップがないため非常にテンポよく、自分のアイデアを詰め込みながら撮影できます。GFレンズのラインナップとしてはコンパクトでもあるので、メインのレンズにプラスワンで携帯していたい一本です。明るさに加え最短撮影距離も0.5mと寄れるので本当にこれだけで色んな撮影を行うことが出来ます。GFレンズの新しいベースラインとも言っていいバランスの良い『フジノン GF55mm F1.7 R WR』。ぜひ手に取ってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff