フジフイルムから新しいカメラ『FUJIFILM X-M5』が登場しました。約10年前に発売されたMシリーズ、小型ファインダーレスカメラとして人気を博した「X-M1」の後継機となります。現行Xシリーズのなかでも最軽量となる約355g、ポケットに入るほどのコンパクトさでありながら、画質面でも「FUJIFILM X-S20」と同等のセンサー「X-Trans CMOS4」最新エンジン「X–Processor5」を搭載しています。また軍艦天面に「フィルムシミュレーションダイヤル」を搭載しフィルムシミュレーションを直感的な操作で楽しむことが出来るようになりました。V-log・動画分野においても縦構図の「9:16」ショート動画モードを新規搭載したり、6.2K/30P 4:2:2 10bitでのカメラ内カード記録が可能。全方位・フロント・バック・フロント&バックの4つから選択できる内蔵マイクが3つにノイズ低減機能まで搭載されており、冷却ファン「FAN-001」に対応させたことや、電子式ブレ補正機能の搭載など本格的な撮影まで想定したスペックになっています。今回はキットレンズである「フジノン XC15-45mm F3.5-5.6 OIS PZ」やパンケーキタイプで相性ピッタリの「フジノン XF27mm F2.8 R WR」、非日常的な世界観が味わえる超広角レンズ「フジノン XF8mm F3.5 R WR」で撮影してまいりました。ぜひご覧ください。
秋桜を超広角レンズ「フジノン XF8mm F3.5 R WR」で地上から見上げるように撮影してみましょう。お花畑に足を踏み入れるわけにはいきませんので一杯に手を伸ばしてモニターも見ない状態で撮影しました。ちなみに今回手振れ補正は動画の電子手振れ補正のみ。ただ手振れ補正機構の影響でサイズが大きくなってしまうのだとしたら、個人的には割り切ってこのコンパクトさを支持したいです。実際に持ってみて気付いたんですが、小さいカメラって持ってるだけで嬉しくなってくるのです。
あいにくの曇り日。僅かに青空が見えたタイミングで撮影しました。それでも陽が射すというよりは常に陽が雲に隠れている状態で、そのためか光もふんわりと柔らかい。よくぞここまでクリアに写ってくれたと個人的には健闘ぶりに拍手を贈りたいです。ブルーの色合いを爽やかにしたかったのでフィルムシミュレーションに「ASTIA」を選びました。余談にはなりますが、たとえばこのシーンでフィルムシミュレーションを「REAL ACE」にすると秋桜のピンクのハイライト部が強調されて白っぽくなります。フィルムを変えることで印象に大きな違いがあって色々と試したくなるので「フィルムシミュレーションダイヤル」は実際にとても重宝すると思います。
麻袋の編み目をしっかり解像してくれています。パンケーキレンズ「フジノン XF27mm F2.8 R WR」を装着すると理想の『X-M5』が完成。焦点距離も35mm判換算41mm相当でスナップにピッタリです。
「クラシックネガ」はどんな天候の日でも安定した仕上がりになるので大好きなフィルムシミュレーションです。約2610万画素の解像力は十分すぎるほど、レンガやガラスの質感もしっかり描写してくれました。
被写体を見たそのときの感動を記憶色で再現してくれるフィルムシミュレーション「Velvia」。透明なガラスケースいっぱいに詰められた鞠を色鮮やかに写してくれました。もちろんRAW/JPEG記録も出来ます。ボディはこんなに小さいのに中身(性能)はぎっしり詰まっているのです、そうまさにこの鞠のように。
「REAL ACE」は「PROVIA」や「ASTIA」と同じくらい使いやすく、メリハリの効いた画で撮って出しにも向いているのでベースに選ぶことが多いです。逆光を浴びるススキの色味が淡くなりすぎず濃すぎずというところで仕上げたかったので「REAL ACE」にしました。「フジノン XC15-45mm F3.5-5.6 OIS PZ」の柔らかいフレアも好感が持てますし、立体感とボケ感もしっかりあってキットレンズで手に入れておけば色んなシーンで重宝するレンズだと思いました。
綺麗に空が焼けることを願って向かった先で待っていたのは少し残念な空。でも同じように空を見ていた人達の会話のなかで聞こえてきた「綺麗だね」という声に意識を改めました。名シーンとまでは言いませんが、こういうのも大事な日々の記録です。
画面中央から下部分は水面になっていて、ネオンの光をぐねぐねと曲げているのが面白くて撮影しました。ISO2000ですがノイズは気になりません。そしてカメラが小さいおかげであらゆるアクションが楽です。水面が水平にところまでしゃがんでギリギリのところまで近づいて撮るのも負担なく行えました。楽っていうところは大事なポイントです。色んな視点で撮影していけば日常に隠れた「名作」との出会いがきっとあるはずですから。
写真はもっと自由に
撮影して体験したたくさんの新鮮なこと、快適だったことを次々話したくなるようなカメラでした。「フジノン XC15-45mm F3.5-5.6 OIS PZ」は写真・動画どちらでも使いやすくレンズキットとしてピッタリなのですが、「フジノン XF27mm F2.8 R WR」を装着したときの「コレだ!」感がすごかったです。カメラはリュックに入れて撮影時にストラップで首掛け、が普段の撮影スタイルなのですが、『X-M5』はサイドバッグに入れて撮影時だけ出して、のスタイルで撮影していました。この自由な感じがたまりません。最近大きめなカメラ使っていた筆者にとって、写真ってこんな風に気楽に楽しむものだったな・・・としみじみもしてしまいました。カメラを首から掛けないということにはもう一つメリットがあります。それは別のカメラを首から掛けられる、です。何を言っているんだと思われるかもしれませんが、今回「XF 500mm F5.6 R LM OIS WR」と併せて撮影を行っていたので時には「XF 500mm F5.6 R LM OIS WR」を首から掛けつつ、『X-M5』で撮りたくなったらカメラバッグからサッと取り出して撮る。となんだか面白いことが出来ているのではないかと個人的にテンションが上がっていました。初めてのカメラとしてもサブカメラとしても老若男女どの世代にもおススメしやすいカメラになっています。
「小さい」「軽い」は正義。どんなシャッターチャンスも、カメラを持ち出さなければ出会えない。いや、本当にこのカメラを持つとその言葉がザクザクと刺さります。本当になんでもない日常の瞬間から名シーンまでシームレスに繋がることができる『X-M5』。ぜひそのポケットに。
Photo by MAP CAMERA Staff