多くの映像制作者から支持を受ける、ソニーのCinema Lineシリーズに新たな仲間が加わりました。その名も『SONY FX30』。同シリーズとしては初めて、APS-Cサイズ(Super 35mm)のセンサーを搭載、基本的なスペックは「SONY FX3」を踏襲する一方、APS-C専用の「E PZ 10-20mm F4 G」「E PZ 18-105mm F4 G OSS」など動画制作に最適なパワーズームを始めとする豊富なレンズラインアップをフルで活かすことが可能となりました。この辺りは機動力を求めるユーザーは特に気になるポイントかと思います。早速ですが、そのポイントも踏まえて撮影してきました。まずは、『FX30』が描き出す高精細な4K映像をお楽しみください。
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東京の最北西端「奥多摩」駅から歩くこと10分ほど。下調べをしたうえで向かいましたが、曇天のなか同じ道を歩く人は見当たりません。この道で合っているのかという不安を抱えつつ進んでいると、山の中を無人トロッコが走る場所に辿り着きました。特にベルが鳴るわけでもなくとも停止し、またしばらくすると動き出す。一帯にガタンゴトンと音を響かせながら走る無人トロッコ、道中はかなり坂を登ることになりますが、ぜひ一度は訪れてみてください。
手ブレ補正機構をカメラ内に搭載してくれたおかげで『FE 135mm F1.8 GM』など大きめで手ブレ補正のないレンズも動画で積極的に使えるようになりました。APS-C機で使えば約200mm相当の望遠レンズとして使えるのですが、さすがはG master。動画でも素晴らしい解像力です。
都内に住んでいると山に雲がかかる画というのはなかなか見る機会がないので嬉しい体験です。あの雲の中にいたら、どんな景色が見えるのでしょうか。
このカットは4K/120Pの「スロー&クイックモーション撮影」で撮影しています。画質を損なうことなく2倍のスロー撮影が出来るのはすごいことだと思いました。
周りを見渡しても筆者1人。晴れていればどんどんと先に進みたくなるような橋もこの日ばかりは妖しい雰囲気。熊除けの鈴も持っていなかった筆者は一度橋を渡って引き返してきました。「登山道は灯りがないので、計画を立てて行動しましょう」と注意がありましたがまさにその通りでした。
今年の初夏頃に発売された「E PZ 10-20mm F4 G」は『SONY FX30』を想定して作られたのかと思うほどフィットしました。解像力も高く、Gレンズの冠がつくのも納得。『SONY FX30』の常用レンズとして持っておきたい一本です。
小型設計の「FE 24mm F1.4 GM」も『SONY FX30』との相性が抜群です。鬱蒼とした山のなかでも明るく、使いやすい画角で大活躍の一本でした。全編「S-Cinetone」で撮影をおこないグレーディングを行いましたが、エメラルドグリーンの水の色も鮮やかに表現してくれました。
帰りの電車内で少しウトウトしていたら空が見たことない色に。タイミング良く「御嶽駅」に止まったので慌てて飛び出しました。見たままを伝えたくてホワイトバランスを「太陽光」にしています。雲に覆われ、雨も降り始めていましたがきっとどこかの空は綺麗に夕焼けているのでしょう。これから薄紫や紺へと色が変わっていく数分間、一日灰色の空と過ごした筆者にとっては忘れられない出来事になりました。
より自由な映像表現を。
APS-Cセンサーでもこれだけの高画質で撮れるということをお伝えてできていれば幸いです。「E PZ 10-20mm F4 G」を筆頭に小型なAPS-C専用レンズも揃った今、単独の撮影でも最小のシステムで作品作りができる『SONY FX30』はこれから映像制作を始めてみようという方にとっても心強いパートナーになってくれるでしょう。
Movie by MAP CAMERA Staff