

ニコンとREDのシナジーによって生まれた「Z CINEMA」シリーズ『 Nikon Z R 』のフォトプレビューをご紹介いたします。『 Nikon Z R 』はREDのカラーサイエンスに基づく「R3D NE」の内部収録や「シネマティック動画」モードを初搭載。6K 59.94p、4K 119.88pの12bit RAWでの内部収録、最大15+ストップのダイナミックレンジ、ISO800/6400の2つのベースISO感度、ED監修による9種類のシネマティックな「イメージングレシピ」など充実の機能が盛り沢山。他にも「N-RAW」や「Apple ProRes RAW HQ」など、高画質な動画の撮影も可能です。そして世界初、内蔵マイク(Nokia社製OZO Audio技術を採用)、外部マイク入力における32bit Float収録に対応。さらにニコン初のデジタルアクセサリーシューを搭載。タリーランプやマイクのLED制御など新しいアクセサリーの使用も可能で拡張性にも優れています。
これだけのプロフェッショナルの機能を約630gの軽量ボディーで実現し、ニコン初の新しいUIは動画と静止画を撮影するハイブリッドユーザーの使用も想定した設計に。あらゆるワークフローに対応する『 Nikon Z R 』。キットレンズである「NIKKOR Z 24-70mm F4 S」で写真と動画を撮影してきました。ぜひご覧ください。
まず今回外観で最も特徴的な4.0インチの大型モニター。数値だけではあまりピンとこないかもしれませんが実物を見るとその見やすさに感動しました。DCI-P3、100%カバー、307万ドットの高解像度と1000cd/m2の高輝度に対応しており、このカットのようなローアングルからの撮影も非常に快適です。動画撮影においては外部モニターが不要になるというのは大きなメリット。ピント拡大もさらに見やすくなっており、静止画撮影においてもその恩恵は十分に感じられます。 HDMI端子がマイクロになっているのは小型化やコストの面もあるかもしれませんが、何よりも内蔵モニターに自信があるからだと思いました。それくらい使いやすく、見やすいモニターです。
『 Z R 』ではニコン初の新しいUIを採用。「カスタムボタンの機能」でカメラのボタンやコマンドダイヤルなどによく使う機能や設定を割り当てることができ、スムーズに機能や設定を適用できます。今回、動画撮影と静止画撮影を交互に行いましたが、 それぞれ独立した設定を維持できるので切り替えも非常にスムーズでした。

「Z6III」の静止画性能と同等の2450万画素フルサイズセンサーを搭載。ボディー内5軸手ブレ補正はレンズとの組み合わせ次第で7.5段分の手ブレ補正効果が得られます。フラットな見た目からは想像できないほどしっかりとしたグリップ感で、「NIKKOR Z 24-70mm F4 S」を装着しての手持ち撮影でしたが、写真はもちろん動画でも目立つ手ブレもあまりありませんでした。

9種類の被写体検出に対応していますが、まず被写体検出の「オート」機能が非常に優秀で的確に検出してピントを合わせてくれます。別シーンでの撮影では複数人をモニター内で認識して、その中の1人の両目まで即座に検出してくれました。コンティニュアスAFサーボ(AF-C)とフルタイムAF(AF-F)で前後の被写体にそれぞれフォーカスしてみたところ、AF-Cでは自然な速度で、AF-Fでは即座にフォーカスしてくれました。

今回キットレンズに採用されている「NIKKOR Z 24-70mm F4 S」。S-Lineで描写性能が優れているのはもちろん、「フォーカスブリージング」がほぼなく、静粛なレンズ操作にAF駆動など、動画撮影用レンズとしても優れています。「Z7」「Z6」が発売された当時からのズームレンズですが、Zシリーズが生まれたその当時から、すでに動画撮影への数々の配慮が施されていたことが分かります。

写真でも「CineBias_RED」というカスタムピクチャーコントロールを選択でき、RED監修のシネマチックなカラーモードで撮影することが可能です。また[R3D NE 12-bit(R3D)]での動画撮影に限りますが、カメラに読み込んでおいたLUTを用いたグレーディング後のイメージを画像モニターで確認可能です。外部モニターやプレビューツールを用意する必要がなく、すぐにその場で仕上がりを確認できる柔軟性も備えています。また動画撮影時の「縦横位置情報の記録」に対応。ONに設定するとカメラの縦横位置情報が映像に記録されるので、縦型動画のプラットフォーム向けのコンテンツ製作も手間なく撮影できます。ボタン1つでフルHD29.97p 4倍スローの「スローモーション動画」も撮影が可能です。


このように明暗差が激しいシーンでも「CineBias_RED」なら白飛び黒潰れせずに撮影が可能です。公式の「Nikon Imaging Cloud」では今後も様々な「イメージングレシピ」や「クラウドピクチャーコントロール」が追加されていきます。

「R3D NE」のRAW動画内部収録は256GBでは合計約8分弱の収録。約10秒ほどの動画撮影でRAW+JPEG約100枚分ほどです。写真・動画合わせて撮ったということも理由ですが、メディア2枚分約700GBにもなりました。撮影を終えたあとに「シネマティック動画」モードで撮ればよかったかもしれないと思ったりもしましたが、映像業界で名高いRED品質のRAW動画内部収録をカメラ1台で撮れてしまうという良い体験が出来ました。
ニュー・シネマカメラ
Nikon | RED 。このニュースは映像業界に関係が深い方であるほど衝撃的なものだったと思います。今回ついに「R3D NE」RAW収録が可能なシネマカメラ『 Z R 』が誕生したわけですが、「R3D NE」だけでなく「N-RAW」や「Apple ProRes RAW HQ」など多様なコーデックを搭載していたり、32bit float収録、ファンレス構造、外部モニター要らずの大型モニターなど、これでもかという内容を詰め込んできた1台となりました。記録媒体がCFexpressBとmicroカード、HDMIがマイクロ端子と大胆に割り切った箇所はありますが、ワンオぺや小規模な撮影においてもREDのRAW動画を扱えるようになるというのは、動画業界に1つとても大きな影響を与える存在になったのではないでしょうか。シネマカメラとしてだけではなく、カメラ業界の新たな1歩を踏み出したカメラといっても過言ではないでしょう。REDのルックとNikonの技術が合わさったシネマカメラの新しい姿。本格的な動画を「まず撮ってみたい」から始められる『Nikon Z R』。その進化をぜひ体験してみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff