幅広い焦点距離をカバーしつつ軽くて持ちやすい超望遠ズームレンズ『Nikon NIKKOR Z 180-600mm F5.6-6.3 VR』が登場しました。ベストセラーレンズのFマウント用『AF-S 200-500mm F5.6E ED VR』からさらに焦点距離が広がり、かつ軽量化されたという注目度の高いレンズです。Zマウントならではの高画質に加えボディとの高い連携も見込める本レンズの性能は如何に。さっそく撮影に行ってまいりましたのでぜひご覧ください。
飛行機撮影を趣味にしている筆者。自然と足は空港の方へ向いていました。駐機場の側を歩いていると道に面した箇所に停められた機体を発見。柵がかからないよう、カメラのチルト液晶を使いながら頭上にカメラを構えます。モニターに表示させた水準器だけを頼りに収めたカットです。600mmから描かれる迫力ある画に驚きました。そして頭上まで持ち上げても苦にならない重さも嬉しいポイントです。個人的に待ち望んでいた超望遠ズームレンズは期待を裏切りませんでした。
頭上を飛び越え着陸体制に入る飛行機を連写で捉えた1コマです。正面、機体のお腹、そして後ろ姿と飛行機の動きに合わせてレンズをほぼ180度振り回しました。ボディに搭載された被写体検知の恩恵を受け、コックピットが影になったタイミングで一瞬ピントを見失いましたがすぐに機体を再認識。カメラ任せでシャッターを切り続けても失敗カットはほとんど無く頼もしい限りです。秒20コマの高速連写がフルに使えるので高速かつ大容量のメモリカードが欲しくなります。もちろん写りも素晴らしいの一言。白い機体にうっすら当たる光から生まれたグラデーションも綺麗に描いてくれました。
『Z TELECONVERTER TC-2.0x』を併用すれば1200mm相当に。離陸シーンの迫力をそのままに切り取ることができました。またここでもAFは機体をしっかり捕捉。テレコンを介しても動きの速い被写体を捉え続けるAF性能に驚きました。AFがここまで優秀だと動画でも安心して使うことができます。
空港の展望デッキから離れた滑走路の方へ目をやると丁度スカイツリーを横切る機体を見つけました。羽田空港からスカイツリーまで20kmほどでしょうか。望遠ならではの圧縮効果でグッと引き寄せることができました。空がもう少し澄んでいたらと悔やまれます。
少し撮影場所を変更して、別の被写体を撮影してみます。望遠端の開放絞りで背景ボケがシンプルになるように公園の花を狙いました。お昼ごろなのでトップライトがかなり強めですが立体感もしっかり出てくれました。
バードゲージ内を悠々自適に歩き回るキジを撮影。鮮やかな色合いの羽根も見事に再現してくれています。「S-Line」ではありませんが、それに匹敵する解像力を持ったレンズだと思います。開放絞りから十分解像力がありますが、F8くらいまで絞ることでさらに解像してくれます。
広角端の開放絞りでトンネル奥、出口のほうにピントを合わせてみました。ピクチャースタイル「ビビッド」で撮影はしましたが、トンネル内から撮影したにも関わらず撮って出しでここまでハッキリとした色と光を出してくれたことに驚きました。画面手前から奥に向けてのボケ感も良い没入感を演出してくれます。
別日に海のほうへ行ってきました。雲の多い日で陽射しはあったりなかったり。広角端で絞って撮影しましたが周辺減光もなく、画面全体スッキリと写してくれました。
薄い雲が伸びる空の色を反射して海もまるでモノクロームのようなシンプルな色味。光が反射する波のしぶきが神秘的な美しさです。
少し荒れた波の日。波に乗るサーファーをAFが捉えてくれました。少しフレームアウトしそうになってもまたガッシリと掴んでくれるので構図だけを考えることが出来て非常に助かりました。『Z TELECONVERTER TC-1.4x』を装着して撮影しましたが追従性能も解像感も損なうことなく撮影できました。
最後にもう一度『Z TELECONVERTER TC-2.0x』を装着して月を撮影。クレーターや表面の模様も分かる解像力です。手持ちで1200mmの超望遠をここまでブレずに撮れたのは驚きでした。余談ですが『Z TELECONVERTER TC-2.0x』装着時にはF72まで絞ることが出来ました。
気軽に持ち出せる超望遠ズームレンズ
「AF-S 200-500mm F5.6E ED VR」も愛用していてた筆者。手持ちできる超望遠ズームとして重宝していましたが、望遠端が600mmまで使えてかつ軽量化された恩恵は大きく、全長が少し伸びていますが確実に機動力は向上することでしょう。 テレコンバーター装着で最大1200mmまでの幅広い焦点距離を一本で対応できるカバー力。紹介には漏れましたが、海面スレスレから空高くまで飛んでいくカモメを最後までしっかり捉えるなど高速で動く被写体も追従できるAF性能。三脚座リングを含めても約2140gと一日中持ち歩いても疲れない携帯性などトータルのバランスがとても良く、モータースポーツ撮影や野鳥撮影など超望遠かつAF性能が求められる撮影で活躍するレンズだと思いました。超望遠でオールジャンルを撮影したい方にもおすすめできる一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff