銘玉が揃うニコンの標準単焦点レンズに新たなラインナップが加わりました。『Nikon NIKKOR Z 50mm F1.4』は先日発売となった「Nikon NIKKOR Z 35mm F1.4」と同じく、明るくコンパクトならがお手頃な価格帯を実現したコストパフォーマンスに優れる逸品。
絞りの開放値は「F1.4」ととても明るく、それを活かした大きく柔らかなボケ味が特長です。長さ約86.5mm、重さ約420gと軽量・コンパクトに仕上がっているので、大きく重いレンズでないと得られなっかったような描写を手軽に楽しむことができます。Zシリーズ用の50mmというと「NIKKOR Z 50mm F1.2 S」がありますが、長さ約150mm、重さ約1090gであることを考えると、同じ焦点距離でありながら用途にあった好みのレンズを選択することができるのです。50mmという人の目に近い画角や、惹かれたらすぐに近寄って撮れる37cmの最短撮影距離など、使用シーンが幅広い魅力的な大口径標準単焦点レンズです。さっそく「Nikon Z6III」につけて撮影してきましたので、フォトプレビューをどうぞご覧ください。
ボケのなだらかさを見てみたいと思い、少し被写体に寄って撮影してみました。右目にピントを合わせたところ、とても自然にボケが広がっていきドリーミーな雰囲気となりました。ボケの柔らかさとピント面のキレの良さが両立されていてSラインのレンズではないことが信じられません。
前ボケと組み合わせて手元のアクセサリーを撮影してみました。花のピンク色がとてもナチュラルに馴染んでくれました。開放F値1.4から生み出される大胆なボケ感は表現の幅を大きくしてくれます。ポートレート撮影は勿論、アクセサリー撮影にも非常に使いやすいと感じられました。
今度は手に持った花を撮影してみました。花のもつ湿っぽさが良く表現されているかと思います。ボケを活かした明るい写真だけでなくアンダーな写真にも幅広く対応できるレンズでした。
深夜に降った雨でしっとりと濡れた草原。朝日が強く差し込むその光景を絞り開放で撮影いたしました。大口径レンズならではの優しいボケ味は太陽の暖かさをも写真から感じ取ることができ、癖のないボケ味がとても好印象です。
緑に囲まれたアップダウンの激しいランニングロード。ひとりの女性が朝日に照らされながら颯爽と走っていく姿を捉えた1枚です。中央部分の木々にピントを合わせることでとても自然な前ボケもご覧いただけると思います。自然なボケ味だからこそ被写体が活きることを実感できる1枚に仕上がりました。
このように様々な被写体を撮影して感じる事。それは「自然な印象で被写体を切り取れる」レンズであるということ。メーカー謳い文句のひとつに「従来のFマウントを上回るピント面のシャープな解像力」とありますが、この1枚をみるとその立体感と木の質感に納得することができます。
ファインダーを覗きながら「ああ、こう撮りたかったんだ」を思い通りに表現してくれる本レンズ。せっかくなので最短撮影距離での撮影をしてみました。お抹茶を立てる茶筅にピントを合わせましたが、なだらかにボケていく穂先の形も上手に表現してくれています。
開放からシャープかつ、豊かなディティール表現に定評のある「NIKKOR Z 50mm F1.8 S」と全くと言っていいほど性格の異なる本レンズ。光の使い方次第で輝くような透明感のあるボケ味が被写体を引き立たせてくれます。表現力、色滲みも少なくくっきりとした描写は日常の慣れ親しんだ構成すらどこか幻想的に描いてくれるのです。
“ニコン50mm”の伝統を継承
その美しいボケ味で、絞り開放値F1.4の恩恵を実感できました。画質の良さという魅力がありつつも、大きさや重さ、そして最短撮影距離の短さがいずれも優秀で快適に撮影することができました。例えるなら、キットレンズしか使ったことのない方のステップアップ用レンズとして最適だと思いました。それは幅広い方が撮影を楽しめるおすすめのレンズであることを意味します。ぜひ大口径単焦点レンズの撮影を味わってください。
Photo by MAP CAMERA Staff