カメラマン・写真家。一言にそう言っても撮影ジャンルは千差万別。写真・動画の垣根はとうになくなりカメラに求められる能力は数年前と比較すれば劇的な変化を遂げました。2021年12月に発売された『Nikon Z9』のあらゆる要求に応えるフラッグシップ機としての存在感は今も変わらず。そして今回その『Nikon Z9』の性能をほぼ引継ぎつつ、よりアクティブな撮影を実現する『Nikon Z8』が発表されました。
体積比で約30%小型化、縦位置のウエストレベルでの撮影もできる縦横4軸チルト式画像モニター、-10℃の環境でも耐える堅牢性。オートフォーカスや連写性能はそのままに飛行機の検出に特化した[飛行機]モードの追加や人物の肌を滑らかに描写する「美肌効果」、滑らかなグラデーションを再現できるHEIF形式も採用。動画性能も『Nikon Z9』譲りで小型化による高い機動力はとても大きなメリットです。「通信専用」と「充給電専用」としてUSB-C端子を2つに分けることで、モバイルバッテリーで給電しながらの撮影も可能になったことや、記録メディアのダブルスロットにCFexpress Type B / XQDとSDXC(UHS-II規格に対応)を採用したことで、現場での柔軟な対応もできるようになりました。今回は動画でのロケ撮影に併せて別のシチュエーションでのスチール撮影も行いました。どちらもぜひご覧ください。
高感度ISO6400&高速シャッターで水しぶきを捉えました。ISO6400でもノイズはほとんど目立たず、躊躇することなく使うことができます。
大人より子供が好きなようで、近くに子供がいる時はずっと目で追いかけていたシロテテナガザル。二人きりになってようやくこちらも見つめてくれました。動物園の厚いガラス越しでも毛一本一本まで分かる高精細な画を見せてくれました。
使い込まれた革表紙のメニュー表。まるで手に取って触れるような素材の質感描写と立体感。世界最高輝度のQuad-VGAパネルを搭載したファインダーで『NIKKOR Z 50mm F1.2 S』の世界を覗くのは極上の体験です。
『NIKKOR Z 24-120mm F4 S』で寄って撮影しました。きめ細かい泡がしっかりと描かれています。どのレンズ、どのシチュエーションでも満足のいく画が撮れる安心感。普段のカメラバッグを圧迫しないサイズというのは非常に扱いやすく、肩にかけて持ち歩く際の負担が少ないのも魅力的です。さらにどこに持ち歩いていても存在感の主張が薄いのも個人的にはとても助かります。『Z9』のより確実な堅牢性やスタジオ撮影などでシンクロターミナルが必要ということもあるので適材適所で使い分けていくのではないでしょうか。
高速連写+3Dトラッキングでムクドリを追いかけ、追い続けたカットの中から理想の位置にいた一枚を。最初は日陰にいたムクドリでしたが正確に捉え続けてくれました。
写真だけ見て『NIKKOR Z 50mm F1.2 S』で撮ったものだと思い込んでいたらレンズは『NIKKOR Z 24-120mm F4 S』でした。しかも開放絞りでの撮影。Zレンズの描写性能の高さはもちろん、その性能を引き出す『Nikon Z8』。まずはこの組み合わせからでも最高の撮影体験を得られるはずです。
今回ピクチャースタイルを「オート」に設定しています。[スタンダード]をもとに色合いや階調をカメラが自動的に調整してくれるのですが、パっと見で良いと思える納得のある仕上がりにしてくれます。『NIKKOR Z 50mm F1.2 S』で撮る夜はとても魅力的です。いずれたっぷりと堪能したいものです。
最後に撮って出しの高感度ISO32000の雨の日のカットをご紹介いたします。ノイズはやはり出るのですが、よくここまで綺麗に写るものだなと感心させられます。大雨の中もがむしゃらに撮れるというわけではないのですが、カメラが小さくなったぶん撮影者でカバーできることもあります。色んな撮影で色んな画にチャレンジしたくなるカメラでした。
全ての瞬間をその手に
まさに『小さなZ9』という呼び名がピッタリの『Nikon Z8』。やはりなんといってもこの扱いやすさが魅力です。『Nikon Z9』のスペックには惹かれつつもサイズや重さがネックで選びきれなかったという方もいると思いますが、今回の『Nikon Z8』はそんな方達にとって「まさにこれを待っていた」というようなカメラだと思います。『Nikon Z8』の敏捷性があるからこそ撮れる瞬間は必ずあります。写真・動画そのどちらも必要な方にとって理想的な『Nikon Z8』。ぜひこのカメラで全ての瞬間をその手に。同時掲載の動画ではここで使っていないレンズで撮影した写真やAF性能をテストしていますのでそちらもぜひご覧ください。
Photo by MAP CAMERA Staff