SIGMA Contemporary 56mm F1.4 DC DN
まずは56mmをチョイス。満開のツツジに目を向けると、花や葉の隙間から奥にある枝へ一筋の光が届いていることに気づき、グッと寄ってシャッターを切りました。木の皮の質感の描写や花びらの前ボケの美しさに「なるほど、これはいい」と頷きます。
モザイクタイルが施されたビルを発見。見上げれば窓ガラスがマジックミラーのように景色を映しています。もうワンポイント通行人がほしいと思っていたところに白い犬までやって来て、よいタイミングでシャッターを切れました。ですからどちらかというと撮影時には写真の下半分に意識がいっていたのですが、あとから写真を見て窓ガラスの描写やその隙間のシャープさに驚きました。とてもシグマらしいと感じた一枚です。
SIGMA Contemporary 30mm F1.4 DC DN
続いて30mmに付け替えて歩き出します。細い鉄製の柵越しに、味わい深い窓がありました。柵にはニオイバンマツリの鉢植えが掛けられており、それが影となり窓や壁に存在を示しています。手前の柵にある鉢植え、窓と壁、すりガラスの向こうにある荷物、とレイヤーが重ねられているのが面白く感じられました。
見つけるとつい撮ってしまうチェーン。惹かれるのはプラスチック製ではなくやはり金属のもので、このように錆びているのは一番好みです。ピントが合っている部分の錆びの描写に唸ります。絞り開放で撮ったので、大口径ならではの大きなボケ味を得ることができました。
少し高い場所から撮ると、適度に地面が写って奥行をより強調することができます。線路や枕木の光の反射やホームにできた柵の影のある世界と、蔦の絡まる橋げたを挟んだ道路側では、別世界のよう。
SIGMA Contemporary 16mm F1.4 DC DN
最後に16mmに付け替えます。道路が重なる都会らしい景色。一見何の変哲もありませんが、橋の下面に光が反射していることが不思議に思いシャッターを切りました。道路のアスファルトは暗いままなので、照り返しのようにも見えません。中央に不思議な光があるからこそ成り立つ写真です。
色付いた光が筆者の横顔を照らす中、橋を渡る足をしばし止め、16mmらしいダイナミックな構図で夕刻の空気を写真に収めます。夕陽がちょうどマンションの上のあたりにあり、屋上の給水タンクが小さいながら存在感を放っています。あのタイプの給水タンクがあるということはビンテージマンション。画作りに一役買ってくれました。
すっかり日が落ちてしまったので、交通量の多いバス通りで長時間露光を。歩道橋の手すりにカメラを置けたので、30秒開けたままにしていてもブレることなく撮れました。ある程度の数の車が流れていないと寂しくなってしまいますが、運よくたくさん走っていたので狙い通りの表現ができました。撮影を終えたタイミングで左端に留まっていたタクシーが出発。撮影とは縁次第だと改めて感じます。
日常に、大口径単焦点を。
すでに発売されていた他マウントのユーザーから聞こえる好評の声のおかげで、「Z」の皆さまも心待ちにしていたことと思います。携行性を考慮しているからと侮るなかれ。高い精度と堅牢性を兼ね備えた真鍮製マウント、少々雨が降っても安心の簡易防塵防滴構造といった、常に持ち歩くためのテクノロジーも詰まっています。さまざまな要素を高い位置でまとめあげた、写りに定評があり常に持ち歩ける大口径単焦点。ぜひ3本セットでお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff