コンパクトカメラのサイズに、ミラーレス機に比肩する性能を詰め込んだ人気のRXシリーズから『SONY Cyber-shot RX100M5A』を紹介します。
第5世代に数えられるモデルで、後続の「RX100M6」や「RX100M7」が焦点距離が望遠側に伸びた高倍率を搭載しているのに比べて、開放F値の明るい標準ズームレンズを搭載しているため背景ボケで被写体を強調したり、暗所での撮影性能も優れているなどシーンで使い分けも出来る仕様となっています。スペック上はRX100M5のアップデートモデルと言える性能で、本体サイズやレンズの焦点距離などはそのままに、画像処理エンジン「BIONZ X」の大幅なパワーアップにより画像処理性能が約1.8倍も上昇。解像性能が向上し、高感度耐性も従来機より上がっています。その他、痒い所に手が届く細かいアップデートは「5→6」の間に挟む必要があったのか?という疑問を払拭させる使い心地の良さに貢献しています。今回の撮影は、そのコンパクトさに全幅の信頼を寄せてカメラとお財布だけを持って軽装で行って参りましたので、ぜひその写真をご覧ください。
秋の終わりを感じさせる落ち葉たち。集まっている場所から、太陽を見上げた逆光の構図で撮影。光に透ける葉脈のきらめきが、落ち葉にもまだ生命が宿っているんだと強く主張しているように感じます。大きなカメラだとしゃがむのも一苦労ですが、『SONY Cyber-shot RX100M5A』ならばチルト液晶を活用してスッと手を伸ばすだけでローアングルに挑戦することが出来、非常に便利です。
天高く突き上げるアイコニックな看板。印象的なフォルムはギブソンのレスポール クラシックを彷彿とさせます。夜、ネオンが煌々と輝く時間も美しいのですが、昼間だと青空との気持ちの良い対比が非常に「ロック」だと感じます。やや絞り気味にしたことで細かいディティールまで実にしっかりと解像し、説得力のある描写となっています。
ユニークなデザインのビルを見つけました。実際には平面なのですが、まるで木枠が飛び出してきているかの様に見えています。その造形の面白さと、窓にリフレクションしている空の青さが気持ちの良い一枚です。変わったものがあるな、と気軽にレンズを向けられるのもコンパクトの醍醐味。自然と撮影枚数も普段より増えてしまいます。
小柄で可愛らしいRXシリーズですが、出てくる画を見るとやはりソニーらしさを感じます。緻密な描写とこってりとした色乗りはαシリーズのミラーレス一眼と遜色ありません。この円形の建造物の照明の演出も相まって近未来的な雰囲気を閉じ込めることが出来ました。
会話を楽しめるようにと、等間隔に机が設置されています。上から俯瞰で眺めると、色々な人たちの存在が記号化して面白く感じたので一枚残してみました。まるで絵本の見開き1ページのようです。夜の時間のスナップは手振れが怖いですが、ISO感度を400に設定することでブレを防いでいます。向上したというだけあって、パッと見た分にはノイズはまったく気になりません。1インチセンサーにも関わらずここまで高感度が実用的であることは驚異的です。
筆者が、ソニーの好きな部分を聞かれるとまず上げるのが「夜の光の美しさ」です。潔い階調の中に、流麗に表れるレーザーの線。また、昼間は麓から見上げた東京タワーを遠くから見つめることで時間の経過に今日の撮影の思い出が刻まれます。クールで、淡いソニーらしい光、やはり『SONY Cyber-shot RX100M5A』はその血脈の中に存在しているのです。
ポケットから世界へ
ミラーレス一眼の台頭によって、一眼レフ全盛期と比べて最近の機材は軽量化の波が来ていることを感じます。しかし大口径のレンズにも描写や明るさの面で優位性があるのも確か。ここぞという撮影には思い描く最高の状態のシステムで、撮影者の方々は挑まれている事でしょう。でも、ちょっとした旅のお供に。あるいは、出先の未知なる出会いに思いを馳せて。たまの息抜きに、それでも写真には妥協したくないという方に本当にオススメできる一台です。一回一回の旅行や撮影機会が貴重になっている今だからこそ、その価値を再確認したい一台。今日もカバンに入れてお出掛けしてみたいと思います。
Photo by MAP CAMERA Staff