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646:『SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN E-Mount』

2020年12月15日

絞り:F4 / シャッタースピード:1/640秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

シグマが掲げるミラーレスレンズの新提案「Iシリーズ」から、先日のContemporary 35mm F2に続いて、『SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN』も撮影機会に恵まれましたので、実写レビューをご覧いただければと思います。

まず、気になるのは65mmという焦点距離。標準からやや望遠に伸びた画角は、使い始めると絶妙な使いやすさであることが分かります。以前より写真愛好家から評判も高く、映画撮影用レンズではおなじみとなっているだけあって当レンズで撮影した一枚一枚の写真には、なにかストーリー性が内包されている感じがします。また、Iシリーズ全般に言えることですが硝材への熱いこだわりが凄い。軸上色収差を取り除くSLDガラスや、その他各収差を2枚のグラスモールド非球面レンズの採用で抑えつつ、レンズ構成を小型軽量にまとめ上げています。高い光学性能を実現させる熟練のガラス加工技術を、覗くほどに実感できる確かな写り。ソニーEマウント用を『SONY α7 III』に装着し、手軽ながら本格的な描写を楽しんで参りましたので、ご覧ください。

 

絞り:F4 / シャッタースピード:1/30秒 / ISO:400 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

階段に敷かれたレッドカーペット、実に優雅なものです。非常に好みの赤色が出ていて、レンズへの信頼が最初から上がっていきます。窓から差し込む柔らかな光が作り出すコントラストを、思う存分愉しむことが出来る一枚です。ピントの合っている部分を拡大してみると繊維の粒立ちを感じることができ、その解像力にも驚かされます。

 

絞り:F4 / シャッタースピード:1/50秒 / ISO:200 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

開放から確かにシャープネスな写りも、ひとつ、またひとつと絞ることで見え方が変わっていきます。据えられた調度品などにはF4まで絞ると明るさと描写のバランスが取れ、とても雰囲気のある写真となります。ふわりと差し込む陽光を受けながら、読書にいそしむような場面が想起されます。

 

絞り:F4 / シャッタースピード:1/50秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/50秒 / ISO:400 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/500秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

  明るいF値と中望遠レンズということで、開放での被写界深度は浅めになりますが、不思議とピントの山はつかみやすいです。上部にフォーカスを持っていき、そこから目線を下げるほどに穏やかにボケていく様をご覧いただけるでしょう。ステンドグラスというと豪奢な色使いと様々なモチーフが組み合わさったものを思い浮かべますが、今回撮影に訪れた洋館では、非常に落ち着いた印象を受けるステンドグラスに好感が持てました。イチョウの葉や鱗のようにも見えるシンプルな模様。この場所で生活なさっていた方々の奥ゆかしさに胸を打たれながらシャッターを切ったのでした。

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/1250秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

控えめな「CLOSE」の看板、白い壁やベンチがあたかも国内ではないかのように振る舞っています。開放での撮影、隠し味程度に背景をぼかしつつ、ピントの合った看板は木の質感やインクの剥がれた風合いなどを緻密に写し取っています。『SONY α7 III』は使い慣れたボディで、やはりファインダーの視認性の高さはマニュアルフォーカスを大いに支えます。じっくりとピントを合わせるのもまた良いものです。

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

冒頭にも赤色が好きという話をしましたが、無意識に赤を捉え続けていたようです。Volkswagen Polo GTIの流麗なレッドライン。艶やかな質感も素晴らしいです。メーカーロゴと燦然と輝く「GTI」バッジ。車の顔は見れば見るほど格好良い部分が見つかります。

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/640秒 / ISO:125 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/50秒 / ISO:400 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

美しい駅舎に鉄塊の車両が乗り込んでくる。国内鉄道の乗降率は世界でもトップクラスだと聞いたことがあります。それだけに、駅には様々なストーリーを抱えた人々が集まってきます。金属と光源の描写はソニーとシグマの相性の良さを物語っています。夕刻を過ぎたころの、冷え冷えとした空気感をこのカットに含めることが出来ました。

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/40秒 / ISO:400 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

 

絞り:F4 / シャッタースピード:1/150秒 / ISO:400 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

 

「SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN」の階調表現の良さは、モノクロにも合うのでは、と思い撮影した一枚。シャドウ部の濃淡が全体の雰囲気を締めています。照らされた車両の天井部分は思わず身震いしてしまうくらいに良く写っています。ISO感度を400に設定しましたが、ノイズも目立たずディティールを保っているのも見事です。

 

絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/50秒 / ISO:320 / 使用機材:SONY α7 III + SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN

  空のニュアンスを出したく、アンダーめの露出設定で撮影した1枚ですが驚きました。立ち並ぶビルや走っている車、シャドウの中に息づいている物がまったく物怖じしていません。シャドウ表現の素晴らしさはまさにArtラインクラス。これぞシグマの本腰、という写りに感動しました。もうじき陽が沈もうという冬の空気感が、眼前に広がっているようです。  

撮影表現に自由を与える

  複合的な意味合いを持たせて命名された「Iシリーズ」に込められたシグマの想い。スマートフォンのカメラ機能等の進化によって写真撮影のハードルが下がった一方で、改めて「カメラを持つ意味」が問われています。そんな中でもこのレンズを「私」は選ぶ。そんな撮影者に寄り添いたいという願いの「I」なのでしょう。美しく高品位な金属鏡筒のビルドクオリティ。そして頼もしい写りながらContemporaryラインとしての携行性の高さは健在。自由に動き、自由に被写体を追い求める。撮影の幅を広げ撮影者のインスピレーションに訴えかける『SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN』は、65mmという焦点距離で世界を切り開くことでしょう。筆者も、一日の中で大好きになってしまった今回の組み合わせ。是非、お試しいただきたい一本です。

 

Photo by MAP CAMERA Staff

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