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756:玲瓏たる描写。『Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount』

756:玲瓏たる描写。『Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount』

2022年03月15日

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:PROVIA 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

昨年、専用設計された『NOKTON 35mm F1.2 X-mount』と共にXマウントへ本格参戦した名門光学ブランド・フォクトレンダー。発売以来多くのXユーザーを虜にし、新たなマウントでも「MFレンズならフォクトレンダー」という絶対的な地位を築き上げました。そしてCP+2022に登場した“二本目の矢”がついに正式発表。今回のKasyapaは世界に先駆け『NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount』のフォトプレビューをご紹介いたします。

前作の35mmは「オールドレンズのような味わい」という印象が強いレンズだったのに対し、今回の23mmを一言でいうならば「オールドレンズの皮を被った最新レンズ」。名前でお気付きになった方もいらっしゃると思いますが、この『NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount』には両面非球面レンズを採用し、絞り開放から先鋭感のある解像を楽しめるレンズなのです。

冒頭に載せたヨットの写真はなんと開放F1.2での描写。ピントを合わせた船名はしっかりと解像し、桟橋の前後になだらかなボケ味が確認できます。そしてF2.8で撮影した砂浜を俯瞰(ふかん)で撮った写真は、砂の一粒一粒まで確認できる高解像力。『NOKTON 35mm F1.2 X-mount』と同じシリーズだろうと思って臨んだ今回の撮影ですが、本レンズの全く違う描写に「そうきたか」と思わず声に出してしまいました。

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/10000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:PROVIA 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

マリーナ内での一枚。絞り開放の描写は「線が細い」というのが第一印象です。カメラにはピント面を色で表すピーキング機能があるのですが、その色の中にある本当の芯に当てるまで少し苦労しました。

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/16000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:ASTIA 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

真鯛ではなく甘鯛が描かれた珍しい大漁旗。光を浴び風にたなびく姿を数カット撮影しました。絞り環を少しだけ回しF2で撮ったのですが、生地の質感まで伝わる描写です。冒頭で「オールドレンズの皮を被った最新レンズ」と語ったように、この23mmは本当に良く写るレンズです。

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/32000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:Classic Neg. 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:Classic Neg. 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/10000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:ACROS 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

解像感の高い描写は少し硬調なモノクロームでも◎。うねるように細く伸びる枝ぶりや幹の質感が見事です。

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

草が茂る空き地に佇む古いメルセデス。しっかりとした描写なので金属やガラスなど硬質で光沢のある被写体も美しく撮れるレンズです。

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:PRO Neg. Hi 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:Classic Neg. 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

浜辺に並ぶボートをクラシックネガで。解像力とボケ味のバランスが良く、各フィルムシミュレーションとの相性も抜群です。

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/16000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:ACROS 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

 

絞り:F1.2 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:Velvia 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

外を歩くと花が彩る季節になってきました。撮影したのは淡い紫が美しいハマダイコンの花。『NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount』の最短撮影距離は18cmと短く、少し軟調な描写へと変化します。

 

絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:PROVIA 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

幾重に地層が重なる崖をF5.6で撮影。先ほどの柔らかな近接写真とは違い、カリカリとした解像感と硬さを感じる描写です。

フォクトレンダーのレンズを使用していつも感じるのが絞りの意味。絞っても描写が変わらず被写界深度だけが深くなる近年の最新レンズに比べ、フォクトレンダーのレンズは絞ることで写真の印象が大きく変わるのです。この『NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount』もそうですが、いくつもの表情を見せてくれる描写は純粋に面白いし、撮影して楽しい。そのようなレンズ作りを続けているメーカーは本当に素晴らしいです。

 

絞り:F2 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:PROVIA 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:160 / フィルムシミュレーション:ASTIA 使用機材:FUJIFILM X-T4 + Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount

 

日中にF1.2を使用する今回の撮影では1/8000秒より早く切れる電子シャッターに助けられました。カメラも進化し続ける現代だからこそ『NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount』を存分に楽しめると思います。

 

『NOKTON 35mm F1.2 X-mount』と共通の意匠とサイズ感。最新光学を取り入れた明るい広角レンズとなれば大きな鏡筒になるイメージですが、これには驚きです。AFモーターなどを組み込まないマニュアルフォーカスレンズだから実現できたフォルムと大きさだと言えるかもしれません。

上面から見たときに気づく指標類のカッコ良さ。アナログな操作系を取り入れているXシリーズだからこそ、この完成されたルックスが成立するのだと思います。

玲瓏たる描写。

細い線で結ぶ美しいピント面。現代のレンズは絞り開放から解像性能とコントラストの高いレンズが多いですが、この『NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount』はそれらよりもっと繊細な印象と言えばいいでしょうか。硬質鉛筆でデッサンしたような線描写を感じられる写り味なのです。

そして『NOKTON 35mm F1.2 X-mount』と差別化された本レンズのキャラクターについて使用しながら「なるほど」と納得してしまいました。仮に同じ描写だった場合、35mm(換算約50mm)と23mm(換算約35mm)の違いは焦点距離の差のみ。単焦点レンズの愛用者には分かるかと思いますが、この換算15mm差はレンズ交換するのではなく、どちらかのレンズのまま自分が動いて撮影すると思うのです。しかし本レンズのように描写がこれほど違うと、それは焦点距離の違いではなくて撮れる写真の違い。今日は軟調なポートレートを撮りたいから35mm、今日は硬調なストリートスナップを撮りたいから23mmと、その日、その場面で使い分けができます。

玲瓏(玉などが透き通るように美しいさま。玉などの触れ合って美しく鳴るさま。)

『NOKTON 23mm F1.2 Aspherical X-mount』の澄み切って透き通るような描写から、このような言葉を思い浮かべました。すでに35mmをお持ちの方だけでなく、全てのXユーザーにおすすめできる本レンズ。カメラに付ける悦び、写真を撮る喜びを感じられる一本です。

 

Photo by MAP CAMERA Staff

 

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