ニコンZマウントF1.2シリーズ2本目となる『Nikon NIKKOR Z 85mm F1.2 S』が登場しました。極上のボケ味と目の覚める解像感。ポートレートをメインとした写真撮影だけでなくSTM(ステッピングモーター)による静かで滑らかなAFで動画でも活躍する一本。EDレンズ1枚、非球面レンズ2枚にナノクリスタルコートを採用した、Zマウントだからこそ実現できた開放F1.2の中望遠レンズです。フードまで装着すると全長はそれなりに長く感じますが、見た目ほどの重さはありません。スナップ中心で『Nikon Z7II』と併せて撮影してきました。
パッと見では分からない窪みや割れ、表面に付いた砂か埃か、粉っぽさまで見事に解像しています。ぜひ拡大してご覧ください。
春になり少しずつ色付いてきた水路の傍に咲く花々。中間のポイントにフォーカスを置いて開放絞りで撮影してみました。中望遠らしいピントの立体感。そして色ノリ、コントラストが開放からハッキリ出ています。
まるで浮き出ているような写りです。午前中の光を開放絞りで撮影したくて限界までシャッタースピードを上げる形になりましたがハイライトが思った以上の粘りを見せてくれました。
こんなに大勢の人がいる中でもメインの被写体だけを浮かび上がらせるリッチなボケ、中望遠レンズならではの表現です。AF性能など含めて『Nikon Z9』との組み合わせこそベストマッチだと思いますが、もしスナップや風景でこのレンズを使うのであれば『Nikon Z7II』との運用もオススメです。
今回の紹介では唯一の絞ったカットです。面を意識してのカットでしたが線が太くなることもなく周辺までスッキリと解像できています。
今回『Nikon NIKKOR Z 85mm F1.2 S』を使ってみて、何よりも魅かれたのはやはりこのボケ描写。前ボケを強調するだけでも作品として成立するのではと思うほどの幻想的で芸術的なボケです。
画像サイズはリサイズされていますが、それでもなおピント面のシャープさはハッキリと分かります。使い込まれ年季のこもった木の質感がとても素晴らしいです。というより肉眼で見た画よりもより精細な描写になっていて改めてこのレンズの「眼」の良さに驚かされました。
このレンズが描いた目の前の光景に引き込まれるようにシャッターを切っていました。桜で遮っているとはいえ、日暮れ時の逆光を受けてもコントラストが低下することもありません。桜の枝の隙間から漏れて入ってくる光も色混じりのない美しい光です。
髪の毛一本一本まで解像する繊細さ。ポートレートで使えば被写体の魅力を最大限引き出してくれるレンズだと思います。
スマートフォンなどの小さな画面では分かりにくいのですが、良かったら画面中央にいる細い木にフォーカスして見てみてください。このレンズの被写界深度の浅さや立体感、ボケ描写の美しさなどちょっとした感動ものです。
極上のボケ味、目の覚める解像感
撮った写真を選んで気づいたらほぼ開放絞りのカットばかりになっていました。むしろもっと開放絞りを遠景で中間にピントを置いた写真を紹介したかったのですが、通行人の顔も判別できるほどの「ありすぎる解像力」で断念したほどです。中望遠というキャラクターの強みもありますが、ほぼ一日だけのの撮影でここまで手応えを感じることが出来たことにも驚きました。とにかくレンズのパワーが凄まじい。イメージした画をさらに上回る解像力や描写力はもちろん、ファインダーで覗くこのレンズの世界の美しさには何度も魅了させられました。ポートレートでの活躍はもちろん、今回のようにスナップ撮影で使っても極上の体験が出来ること間違いありません。『Nikon NIKKOR Z 85mm F1.2 S』の極上のボケ味、目の覚める解像感をぜひ体験していただきたいです。
Photo by MAP CAMERA Staff
マップカメラ公式YouTubeチャンネルでは動画でも本レンズを紹介しています!是非併せてご覧ください。