ニコンZマウントシステムの登場から約3年、待望のフラッグシップモデルとなる『Z9』が登場しました。メカシャッターレスという、これまでのカメラとは一線を画す革新的なボディは、一体どんな世界を見せてくれるのでしょうか。気になる性能・機能は沢山ありますが、今回は「プロフェッショナルの実用レベルに合わせて開発された8K」という部分に着目し、動画撮影の視点から「Z9」の魅力を探って行きたいと思います。全編8Kで撮影された映像作品を、ぜひお楽しみください。
8K MOVIE
今回の撮影の舞台は、東京の北方、栃木県にある山に囲まれた小さな都市「日光」。中禅寺湖や戦場ヶ原など自然豊かな冬の景色を「Nikon Z9」と共に8K撮影しました。撮影のセッティングは8K/30p、10bit。『Z9』では「N-Log」の内部収録も可能となっていますが、今回はピクチャーコントロール「ニュートラル」をベースに調整を行いました。編集時に簡単なカラーコレクションを行いましたが、10bitの情報量があるので、無理なく思い通りのルックに仕上げることが出来ました。
SHOT ON Z9
8K(7680×4320)の解像度はまるで動く写真。奥の山肌も木々の形状までよく分かる写りです。4Kでも遠景のディテールなどは潰れてしまいがちでしたが、8Kともなると表現力が違います。目で見たままと言うより、目で認識した以上の膨大な情報量に圧倒されます。編集の最中に撮影時に気付かなかった瞬間を発見することも。
歴史を感じさせる風化の具合が、きめ細かく捉えられていています。表面の凹凸や立体感、リアリティある描写によって現場で感じた静寂さ、空気感まで蘇ってきます。
ここまで緻密に風景を捉えると、レンズ性能も相当高いものが求められます。持ち運びの利便性を優先して選んだ「NIKKOR Z 50mm F1.8 S」でしたが、キレのある解像感、ボケ味も素晴らしく、8Kとの相性も抜群、期待以上のパフォーマンスを見せてくれました。厳しい基準を満たす「S-Line」だけあって、F1.8標準レンズのイメージを変えてくれる実力を持ってます。
『Z9』の魅力はボディを支える豊富なレンズ群にもあります。最新設計のZマウントレンズに加えて、マウントアダプター「FTZ」を使えば約360種のFマウントレンズにまで選択肢が広がります。Zマウントレンズに銘玉が多いのもFマウントで蓄積した技術があってこそでしょう。次はどのレンズと共に8K撮影に臨むか、考えるだけでもワクワクさせてくれます。
ボディの寒冷地での耐性も強く、雪の降るシーンでの気温は-4℃。Z9は「D6を上回る信頼性」を謳うだけあって、動作環境は-10°C~40°C(D6/0°C~40°C)。プロ機として過酷な条件で使用されることが予想されますが、これまで諦めていたシーンにも挑戦したくなります。また、センサーシールドによって野外でのレンズ交換も安心してスピーディーに行えました。
想像を超える映像の世界へ
『Z9』の圧倒的な描写力、リアリティあふれる8K映像の世界は、ぜひ一度ご自身の目でお確かめください。このカメラでなければ写せない瞬間、世界が貴方を待っています。プロフェッショナル用途はもちろん、ハイアマチュアの方々にとっても魅力的な一台になるはずです。
今後のバージョンアップによって、8K/60pのRAW動画内部記録への対応も発表されており、動画性能に対する『Z9』の革新的な動向に今後も注目です。
Movie by MAP CAMERA Staff