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…ここまで来たら、仕上がりの長さをチェックし、作業もいよいよ最終段階。
ストラップの中心に、“T・MBH”の刻印が刻まれます。
刻印自体は落ち着いて目を凝らすと読めるほどのサイズ。
かつ、なめらかなブッテーロの表面に深めに刻まれるため、程よいクラス感が演出されているように感じます。
…こうして長い時間をかけ、ようやく「1本」のブッテーロが誕生しました。
—作業の後お話を伺った際に印象的だったことがあります。
筆者が工程中「面白い」「楽しそうですね」と呟いてたときにいただいたお返事でした。
「楽しいですよ。作るともっと楽しいですよ。
楽しくて仕方ないんだよ、あの人たちも(作業中の職人の方を指して)」
職人さんも、照れたような笑みをうかべていらっしゃいました。
岡本さんが作品のアイデアを生む原動力はやはりお客様との対話とのこと。
他製品を研究するというよりは「こういうものできませんか?」という
お客様からのご要望を実現する為に、技術的なことを岡本さんが編み出す…といった形だそうです。
試作もかなりの数にのぼるとのこと。
根付、金属、木、絵画等、異業種の職人とのコラボレーションを行っている新ブランド「T・KLM」とともに、
今後の新製品がますます楽しみな「T・MBH」。
魅力ある製品は、当社下記専門店でも取り扱っています。
>>> 筆記具専門店 KINGDOM NOTE
>>> 時計専門店 GMT
―—こだわり。贅沢。プレミアム。
こんな言葉を「ありふれている」と感じている方。
当フェアを機会にぜひ、ライカ M9に、T・MBH カメラストラップに、出会ってみて下さい。
お手にしていただければ、現代でもここまで人の手をかけ、しかも
確かな技術とすばらしいアイデアをもって作られている「もの」があるということに
新鮮な喜びを感じていただけるに違いない、そう確信しています。
TAKUYA Okamoto
1970年生まれ 明治大学卒
2006年 TAKUYA MADE BY HAND スタート
2008年 タイ発ブランドMAISON TAKUYA 立ち上げ
(現在岡本拓也とは一切関係ありません)
2010年 新ブランド【T・MBH】(エム ビー エイチ)で国内産に回帰し、再スタート
2010年 【T・KLM】(タクラミ)立ち上げ、職人のプロデュースを開始
現在、蔵前工房にて革製品のデザイン・作成を行う
★★本文で紹介できなかった匠のこだわり、ご紹介しましょう★★
●コバ磨きに使う蝋
本文中では「蝋」と表記しましたが、厳密には蝋だけでなく、様々な成分をブレンドして作られたものとのこと。
独自に開発された、岡本さん秘伝の大切な蝋です。
●革包丁
革包丁は予備も含め3本ほどお持ちだそうですが、お気に入りの1本を研いで使うことが多いとのこと。
部品の切り出しの前に包丁研ぎも披露していただきましたが、撮影をするのも焦る程、かなりスピーディー!
…職人は道具の手入れも手際よく、です。
●T・MBHのステッチ糸
すべて麻糸を自家染色し、蝋引きまで行ったオリジナルの糸を使用しています。
これも革と色のバランスをとことん追求するがゆえ。
この日工房で見かけたのはおよそ10種類ほどのカラフルな色。絡まぬよう、糸は色別に分けてまっすぐ壁に掛けてありました。
取材協力:岡本拓也氏
T・MBH(エムビーエイチ)蔵前工房の皆様
(了)