LEICA Sシステムの交換レンズとして『Summarit S 75mm/f2.5』『Elmarit S 30mm/f2.8』と試写を行い、その描写力の高さはもはや折り紙付きですが、絶妙な焦点距離と最短撮影距離の短さ、取り回しの良さから個人的に一押しなのがこの『APO-Macro Summarit S 120mm/f2.5』です。35mm判換算で96mm、開放2.5と十分に明るいながら単体での撮影倍率が1:2と近接撮影にも大きな力を発揮してくれます。開放でのボケ味も良く、シャープネスとのバランスから浮き立つ様な描写が期待できます。この写真も、葉の細やかな描写と前後ボケの美しさが際立っている1枚です。
シャープネスはしっかりとありながら、実にバランスの良い描写です。
この位の焦点距離ともなると前後のボケは非常に大きく、中判ならではの浮かび上がる様な描写が得られます。距離感も、焦点距離のバランスも、ポートレートレンズとしては最適な仕上がりですね。描写も『Elmarit S 30mm/f2.8』ほどシャープネスとコントラストが強い訳ではなく、繊細さを感じさせる線の細い描写のレンズなので雰囲気作りにも良いでしょう。
高輝度のガラス食器が前後にある、という厳しい条件ですがやはりボケは素直。これくらいしっかりと輪郭を崩してぼけてくれればシチュエーションを選ばず活躍させられそうです。
柔らかいですね…トーンも美しく、被写体の柔らかい印象をしっかりと写し留めてくれています。個人的にはライカMビゾフレックス用のマクロエルマー65mm以来、LEICAマクロレンズには全幅の信頼をおいていますが、このレンズも期待通りの実に良い仕上がりです。
もちろん、『マクロ』とはいえ遠景の描写も良好。タイル1枚1枚の光の反射迄、ぜひご覧下さい
木目の光の反射が美しいです。『LEICA S2』でのISO 1250での撮影ですが、想像以上にしっかりした描写に驚きました。中判デジタルは素子が大きいために高感度は苦手、といった印象が有りましたがそんな心配は無用の様です。
マクロレンズゆえ、レンズは鏡筒のかなり奥に存在しています。ピントの立ちが良く、ピントリングも太いためマニュアルフォーカスも実にしやすい仕上がりでした。これにしっかりとした外着けバヨネットフードもあり、さすがの仕上がりの良さです。AFをして、ピントリングを動かせば自動的にマニュアルフォーカスでピントを微調整できるのも実に便利な仕様です。これ1本で、かなりの応用範囲をカバーする本レンズ。ライカSシステムの中でもおすすめの1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff
Leicalens-Report.