フォクトレンダーブランドのMマウント互換レンズ「NOKTON 50mm F1.5 Aspherical VM」がいよいよ発売です。
夜を意味する「Nokt」から由来するとおり開放F値1.5の大口径で、薄明かりの撮影はもちろん、美しい大きなボケが期待できる1本です。
さっそく絞り開放での撮影を。
歩道脇に置かれた初夏の花に近づいて撮影すると手前から大きなボケが楽しめ、浮き上がるような立体感のある美しい描写をみせてくれました。
一方で奧に停まっていたスクーターには二線ボケ傾向も。
復刻が望まれていた1999年発売の「NOKTON 50mm F1.5Aspherical」の光学設計をそのまま引き継いだという再生産レンズは、少しだけクラシック感を残したという感じでしょうか。
このレンズは外観からもクラシック感を感じることができます。
ヴィンテージラインというシリーズでリリースされた本レンズは、1951年頃に発売されたレンズの雰囲気が忠実に再現。最近では珍しい総金属製の鏡筒に贅沢さを感じます。さらにシルバーカラーとブラックカラーで素材が異なるというのだから驚きます。
クロームメッキの輝きが美しい真鍮製のシルバーレンズは1951年を想像させるのに十分なレトロ感があり、ブラックアルマイト加工されたブラックレンズはアルミ製の特徴が生きた軽くて扱いやすいレンズです。
非球面レンズを使用し、最新カメラでの使用を考慮してコーティングも強化したというレンズは、クラシックな外観からは想像できないクリアでシャープな描写でデジタルカメラが持つ精細感を十分に引き出してくれます。
さらに驚いたのが色再現性の素晴らしさ。PCで開いた画を見たときホワイトバランスを調整する必要を感じないほどの忠実感でカメラとの相性の良さを感じました。
少し絞れば鮮鋭感がさらに向上。細かい装飾の細部までしっかり撮りきっているのがわかります。
色鮮やかな部分に目が奪われがちですが、暗部の装飾や屋根の木組みまで拡大するとこのレンズの凄さが更に伝わってきます。
手になじむクラシカルなデザインは操作性がよく、初めて手にしたとは思えない快適さがあります。
石段のザラザラとした質感が奧の方までしっかり感じとることができます。絞り開放の大きなボケの中でも質感を残す力強い解像力です。
深い木々の隙間から若葉に注ぐ強い光が織りなすハイライトも綺麗に再現しています。
デジタルカメラの高精細化に伴い、最近発売されるレンズはどれもクリアでシャープな描写でよく写ります。逆に言えばレンズの特徴が無くなってきているとも言えます。
そんな中、クラシックレンズをベースに最新設計を融合させたレンズは写りもさることながら、所有感を刺激する格好良さがあります。
優れた描写に美しい外観と使い勝手の良さ。長い歴史を重ねて進化してきたレンズに新旧の良さを併せ持つレンズの完成形のようなものを感じました。
Photo by MAP CAMERA Staff