■撮影機材:LEICA M8.2/ズミルックス M35mm F1.4 ASPH
■耳元でささやく静かなシャッター音
レンジファインダーの最高峰として名高いライカ「M8」をマイナーチェンジした機体「M8.2」。シャッタースピード1/8000を犠牲にしてまでもシャッターの静音性を重視したライカのカメラ造りへのこだわりは他機種には無い気概を感じさせます。
実際にそのシャッター音は耳元でささやくように静かです。チャージの振動もM8よりもさらに小さくなっています。また分離シャッターモードに切り替えれば、シャッターから指を離すまでチャージが行われません。シャッターを切った後コートの下などで指を離したり、工夫すれば静かな室内でも穏やかに撮影することができます。また、静音シャッターは赤ちゃんや動物などを撮影する際にも被写体を驚かさずに自然な表情を捉えることができます。
■「自分の目で撮る」レンジファインダーの魅力
最近はますますカメラ任せで簡単、綺麗に撮れる時代。しかし、カメラ任せになればなるほどカメラの性能に写真自体が依存してしまう傾向があるのではないでしょうか。ことにファインダーに関してはオートフォーカスの精度に不満をもったり、ファインダースクリーンの性能によってはピントの山のつかみにくさを感じることもあるかと思います。しかし、二重像の合致でピントを合わせるレンジファインダーは自分の目だけが頼り。カメラ任せではない、ひいては高速連写も動体予測もない「自分の目で撮る」その撮影スタイルは1枚1枚にそれなりの集中力が必要とされます。しかしその分シャッターを切るその1枚ごとに撮影者の「想い」を込める時間が生まれるのです。
ファインダー内にあるフレームで構図を決めるレンジファインダーはそのフレームの外まで確認できる広い視野をもっています。動きのある被写体などフレーム内に入る瞬間を予測しやすくなります。さらに一眼レフとは違いミラーが無いのでシャッターを切っている瞬間もファインダーの視野が途切れません。シャッターチャンスの一瞬を被写体を見ながらシャッターを切ることができるのもレンジファインダーならではです。
■描写性能に表れたライカの実力
「ズミルックス M35mm F1.4 ASPH」。非球面レンズを搭載したこの高級レンズの描写力にはただ驚かされるばかりです。撮像素子や映像エンジンが画質を大きく左右するデジタルカメラにおいて、ここまでレンズ性能というものを実感するとは思ってもいませんでした。開放F1.4からは極めてシャープ。かつふわっとした素直なやわらかいぼけ味。周辺部まで十分な光量がいきわたり、画面全体から伝わってくる透き通る空気感はライカならでは。この繊細な写真を作り出すライカレンズ、そしてその描写性能を素直に描ききったM8の実力はまさに「すばらしい」の一言に尽きます。さまざまなライカレンズが使えるM8は他機種では味わえないデジタル写真の新しい魅力と可能性を秘めています。
■作例
(元画像を50%に縮小)