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【Leica】Leica M11「オンライン発表会レポート」

【Leica】Leica M11「オンライン発表会レポート」

2022年01月14日

2022年 1月14日(金曜日)13:30

ライカカメラジャパン株式会社による「新製品 オンライン発表会」が行われ、伝統的なレンジファインダーカメラの要素と最先端のカメラ技術が融合した最新機種『Leica M11』がお披露目されました。
ライカカメラ社主 アンドレアス・カウフマン氏による『Leica M11』の概要紹介やステファン・ダニエル氏への製品Q&Aなどイベントの様子をお届けいたします。

・Keynote Presentation

ライカ本社 兼 博物館である「ライツパーク」

ライカカメラ社主 アンドレアス・カウフマン氏

世界のライカ愛好家の皆さん、ライカの本社へようこそ。ここウェッツラーでライカの歴史に新たな章が刻まれます。
新製品ライカM11が発表されます。まさに新たなマイルストーンであり、目指してきたものです。ステファン・ダニエルより説明してもらいましょう。

ステファン・ダニエル氏

これからご説明するのは、まったく新しいライカM11です。重要な役割を果たしてきました。

本日 ライカM11の発表をとても誇りに思うと同時に謙虚な気持ちになります。これまでのM型ライカが評価されてきた点を振り返り、何を改善すべきかに注意深く耳を傾けました。
そして技術革新に投資してきた結果、そのすべてを集約した新しいカメラが完成しました。これからその舞台裏へと皆様をご案内しましょう。

Leica M11

今からクリーンルーム用の服に着替えます。ライカM11がどの様に製造されているかをお見せします。
着替えの間、マーク・シェパードにライカM11の新しいデザインについて特筆すべき点を語らってもらいましょう。

デザイナーのマーク・シェパード氏

ミュンヘンのデザインスタジオへようこそ。ここはライカの未来が生み出される場所です。
ライカのデザインアプローチは100年以上前の創業者から続くものです。まず基本となるのは無駄をそぎ落としたシンプルさ。素材の品質、ディテールの完成度、そしてユーザー重視のアプローチです。

アイコニックなデザインが最新世代に落とし込まれ、ライカM11のデザインと機能性がライカの進化の理念を体現し、ディテールに至るまで完璧さを追求しています。
本質を見極めることを軸として、高付加価値の製品づくりにより、見た目が素晴らしいだけでなく現代的なシンプルさと使う喜びが共存した感性を刺激する製品を生み出すことです。

全体のボディ形状は、新型M型ライカにおいてもデザインの核となっています。モダンなプロポーションに進化し、すっきりとしたトップカバーの輪郭とともに、レンジファインダーの要素をより強調しています。
ディスプレイとユーザーインターフェイスの構成要素をシームレスに配置。デジタルデザインは工業デザインと同様に、シンプルでわかりやすくユーザービリティも大きく向上しました。例えばカメラの下部ですが、ボトムプレートをデザインしバッテリーやUSB Type-Cポートに直接アクセスできます。

Leica M11用アクセサリー開発の様子

アクセサリーのデザインと製造には、本物への情熱と最高品質を追求するクラフトマンシップが反映されています。
ブラックのライカM11は前機種から20%の軽量化に成功しました。シンプルに自信をもってお届けできるデザインです。

新しいM型ライカのデザインを気に入っていただけたかと思います。20%の軽量化はまさに快挙です。まずは実際に体感していただきたいです。ライカM11はM10と比べて40以上もの改良が与えられています。
そのひとつが新しいイメージセンサーとプロセッサーのイメージボードです。背後のコンピューターで行われていることは、いわゆる”融合”でありセンサーと電子部品が互いを認識することで完璧な機能を実現します。

技術革新チームは努力を重ねてすべての機能をこの見事な本体に収めました。チーム同士がうまく連携し、どの様に完成へと導いたのか。

プロジェクト・マネージャーのフロリアン氏(左) / 画像処理エンジニアのマーレン氏(右)

彼女はマーレン。画像処理のエンジニアです。彼はフロリアン。ライカM11のプロジェクトマネージャーです。

ライカM11のプロジェクトを率いて完成へと導く仕事は素晴らしい経験となりました。約2年前のことです。M型史上最高の最初の試作品を既に手にしていました。
それからが長い道のりでした。ビューファインダーまで試作済みだったところへ、突然の世界的なコロナ渦に見舞われ、技術革新チーム全員が在宅勤務となったため大幅な調整が必要となりました。

大変でしたがイメージクオリティのチームリーダーとしてテストは常に重要です。リモートインストールの助けを借りて、フルスピードで作業を続けることができました。

約40名のソフトウェアエンジニアがスケジュール厳守で頑張ってくれました。全く新しいセンサーボードを自社で設計開発し、テストを重ねました。多くの人が画質はセンサーのみによって決まると思われているかもしれませんが、それだけではありません。

最新画像処理エンジンである「LEICA MAESTRO III」

「LEICA MAESTRO III」を画像処理エンジンとして採用しました。こうした部品を合わせてイメージパイプラインと呼んでいます。
ハードウェアとソフトウェアの両方が協力して動作する必要があるからです。最後に注力したのがセンサーの開発です。今までにない可能性を持った優れた品質のものです。その通りライカはドイツのクラフトマンシップの象徴であり、最高品質をお届けしたいと考えています。

そのために、試作品の段階から品質テストを繰り返しています。そのひとつが全ボタンの耐久テストです。カメラを40度まで加熱してからマイナス20度まで冷却します。
ESDテストも行っています。すべての電子機器にとって重要な検証です。カメラに静電気が発生してもすべての電子部品が正常に動作するかどうかを検証します。基本的に本体とシステムのテストはこれで終了です。

プロジェクトマネージャーとしては、すべての関係者の足並みをそろえることも重要で、社内外の人々と何度も話し合い全員が共通の認識を持つようにしました。
素材やユーザーインターフェイス等様々な点について意見を聞く必要があります。もちろん土気を高めるために大小関わらず節目を祝う事も大切にしています。例えば可能なときには、みんなで朝食を楽しむ時間を設けています。

ステファンが今立っているのは製造ラインの前です。ライカM11はここで作られています。求められているのは、過酷な環境下でも機能する製品です。ゆえに伝統的なドイツのクラフトマンシップがライカにとって重要なのです。
ご想像の通り、M型カメラは数多くの部品で構成されています。完璧に機能させるためには、すべての部品がとても重要です。”フィッシュボーン”体制と呼ばれ、透明性と有効性を最大限に確保できるようにしています。これは私たちが製造において熟練したエキスパートを必要する理由でもあります。

タニア あなたはライカM11担当ですよね。ライカM11の組み立てで最も好きな点を教えてください。
私の仕事で好きなのは「さまざまな部品の組み立てに関わることができるところ」です。カメラに命を与えることができます。
ありがとうタニア、よくわかりました。

ライカM11の新機能や特徴、改良点などを深く掘り下げてご紹介します。

イェスコ・フォン・エーンハウゼン氏

ライカのM型デジタルカメラとしては5代目となりました。各モデルとも最新技術を駆使し、アイコニックなライカM型カメラのアイディアに近づけています。
デジタル写真でも新境地を開拓しました。この新世代のカメラでもお客様からのご要望の多くを実現することができました。新たな素晴らしい方法で決定的瞬間を最高品質で撮影できるようになりました。詳しくご紹介しましょう。

全てのM型カメラの要となるのは、伝説的なレンジファインダー。そして過去67年間のライカMレンズが使用できる優れた互換性です。
高精度の光学部品と機械部品で構成されるこのシステムは独自の方法でマニュアルで素早くピントを合わせることができます。操作部のレイアウトは昔から変わりなく、理想の形として何世代にもわたり受け継がれています。
撮像に関するすべてのパラメーターは操作ダイアルを使って設定や変更ができます。今回はじめて3つのファンクションキーを採用し、自由に割り当てが可能で設定も素早く変更できます。
人差し指用のボタン、クリック操作可能なサムホイール、背面モニター横のファンクションキー。外観はほとんど変わっていませんが、内部のシステムは大きく変わっています。

お客様の希望を可能な限り実現するためにあらゆる手段を講じています。新しい主要部品を採用したことで画像電子部品のレイアウトを一新し、最大限の性能を超小型カメラボディで実現しました。

6000万画素になったこの画像センサーによって、細部までより繊細な描写が可能になり、ライカMレンズならではのシャープさを向上させます。裏面照射技術の採用により、ベース感度のISO64だけでなく、高感度設定時でも広いダイナミックレンジを実現します。
今回初めてRAWデータで60MP、36MP、18MPのどのサイズで撮影するのかを自由に選ぶことができるようになりました。画質も向上しており、処理性能も高速化しています。

センサーの前面には独自のデュアルレイヤーフィルターを配置。画像全域にわたりシャープかつ鮮やかで忠実な色再現を反射を抑えて美しく描写できます。

このような描写は、このセンサーとコンパクトなMレンズの組み合わせ以外では実現できません。画像処理エンジンには「LEICA MAESTRO III」を採用。最大記録画素数でも画像データを高速処理します。画像データの記録には、SDカードと64GBの内蔵メモリーを選べます。これらは併用もできます。
レンジファインダーを使用した通常撮影時でもセンサーで測光することが可能になりました。これにより撮影前でも正しい露出を確認できるようになりました。また、難しい光の状況下においても適正な露出で撮影できます。これを可能にするために、容量を64%アップさせた新しいバッテリーを開発。一度の充電による撮影時間が大幅に増加しています。

MacやPCへの画像転送はもちろんバッテリーへの充電も可能です。iPhoneやiPadと直接繋ぐことも可能です。ライカM11は「Made for iPhone/iPad」として、認定されているカメラで高度な接続性を備えています。ワークフローを大幅に改善したライカM11は写真を追求し、自分のヴィジョンを世界に伝えたいと思うすべての人に柔軟で快適な写真体験を提供します。

このカメラはライカ・ホール・オブ・フェイム・アワードに輝いたラルフ・ギブソンや、ゴンサロ・フォンセカのような新進気鋭の写真家も手にしています。多くの知見を持つ彼らのM型カメラの使い方を見てみましょう。

写真家 ラルフ・ギブソン氏

私は以前から光で表現をするためには繊細なツールが必要だと考えていました。私が長年レンジファインダーのライカを使い続ける本当の理由は、このカメラなら私の求めていることを何でもできること。早くから気づいていたからです。なぜこんなに長く愛用しているのか考えてみると人間工学的バランス リズム 光学系の高い性能が理由として挙げられます。レンジファインダーは私の世界観が合致する場所です。フレームの内側を見て、そのふたつの間に自らを置きます。

写真家 ゴンサロ・フォンセカ氏

M型カメラで撮影したことは今までありませんでしたが、ライカM11を手にしたことは素晴らしい経験であり挑戦でもありました。カメラ制御がすべてマニュアルになれば、操作が遅くなるのではと思っていました。でもうまく使えば状況を予測したりあるいは、光を予測したりするのを助けてくれます。
集中してその場に身を置くことも可能になります。私にとって低輝度でもしっかり対応するカメラであることがとても重要です。ライカM11では非常に厳しい条件下で撮影しても素晴らしい結果が得られます。

ラルフ氏、ゴンサロ氏 ご協力ありがとうございました。さあ、今度は世界中のお客様。ライカ愛好家 そして写真家の皆さんの番です。ライカのベイビーにぜひご注目ください。
生まれたばかりでも侮れません。新たなマイルストーンライカM11です。ご参加ありがとうございました。近いうちにまたお会いしましょう。

こちらのプロモーションムービーは「Leica Camera オフィシャルYouTubeチャンネル」からどなたでも見て頂くことが出来ます。気になった方は併せてご覧ください。

・製品Q&A

続いては『leica M11』に関して、より踏み込んだ魅力をライカカメラ社のステファン・ダニエル氏にQ&A方式で聞いていくコーナー。ドイツへ中継を繋ぐと現地時間は朝の6時。早朝ですが「コーヒーがあるから大丈夫」とお茶目に返してくださいました。

ステファン・ダニエル氏(左) / 杢中薫氏(右)

ここからは実際のQ&Aの内容をご覧ください。

―― 『Leica M11』は新しい世代のMデジタルになったように思います。開発コンセプトについてお聞かせください。

ダニエル氏:
M11は先程の映像にもあった通り、2006年の「leica M8」から数えて5世代目のデジタルMになります。開発の大きなコンセプトというのは、Mの伝統をしっかり守りながら技術的に現代のニーズに合わせたものにするというもの。それは、例えば画質(イメージクオリティ)であったりパワーやスピードであったり、またはスマートフォン等とのコネクティビティを含めて現代に合ったものを作るという事です。

―― 6000万画素という画素数の大幅な向上について、理由をお聞かせください。

ダニエル氏:
60MPという高解像度のセンサーを選んだ一つの大きな理由は、我々のラインナップの中にある「アポ・ズミクロン シリーズ」など高解像度のレンズの性能を最大限活かして撮影を楽しんでもらうためです。ただ、今回のセンサーは60MPというだけではなく36MP・18MPを選べる仕様(後述するトリプルレゾリューションテクノロジー)になっています。JPEGとDNG(LAW)両方を記録できますし、副作用なく画質変更を行うことが出来ます。むしろ画素数を落とした時特有の広いダイナミクスレンジを得ることが出来るなどそれぞれの画質にメリットがあるという形にまとめることが出来ました。

―― 新機能である「トリプルレゾリューションテクノロジー」や「デュアルレイヤーフィルターテクノロジー」について教えてください。また、これによって得られるメリットはどのようなものがありますか?

ダニエル氏:
まず、「トリプルレゾリューションテクノロジー」に関してですが『Leica M11』は60MPのセンサーを使っていますが、36MP・18MPの画像は撮影後にダウンサイズするというやり方ではなく、撮影時にいくつかのピクセルをひとつのピクセルにまとめて記録するというインテリジェントで新しいアルゴリズムで行っています。それによって、大きなセンサーから小さなファイルを作る際に従来のやり方だと発生してしまう副作用を心配せずにそれを行うことが出来ます。まるで本当の36MPや18MPのセンサーを使った時のように記録が出来る仕組みになっています。

また「デュアルレイヤーフィルターテクノロジー」は、特にデジタルMのカメラはアナログ時代(1954年~)の頃の古いMレンズとのコンバーチブルを気にしているので、なるべくイメージセンサーの前に厚いガラスを置かないという事に気を付けています。今回は特に色収差や色再現などをより完璧に近付けるために、非常に薄いUV(紫外線)/IR(赤外線)カットのフィルターを張り合わせてセンサーの前に置いています。フィルムで撮った時と変わらない描写を実現しています。

36MP・18MPモードを使うにあたって、特におすすめしたいのが1950~60年代頃の古いMレンズを使う時です。当時のレンズは現代の物ほど解像度が高くないからです。

―― このLeica M11の開発にあたって、最も難しかったのはどのような点でしょうか?

ダニエル氏:
今回最初に目指したのが、「Leica M10」のバッテリー持続時間に大きな満足が得られていなかった為、『Leica M11』ではより大きなバッテリーを積んで一回の充電で多くの枚数を撮れるようにしたいという点。しかしM型カメラは簡単に厚みを持たせたり大きくするという事はできません。ボディサイズを保ちながら大型のバッテリーを積むためにカメラ内部の構造を見直したのが難しい部分でした。その結果、今回はベースプレートに直接バッテリーを挿入するという方式に落ち着きました。

また、構造を見直したことで重量がアップする事も避けたいため、新しいマテリアル(アルミ材をトップに使うなど)にも挑戦しました。特にブラックバージョンに関してはアナログフィルムカメラの「Leica M6」とほぼ同じ重量にすることが出来ました。

―― 最後に、Leica M11はどんな方に使ってほしいですか?またどんな方におすすめされますか?

ダニエル氏:
よく聞かれる質問です。2つのケースについてお答えします。
まず、過去のデジタルMシリーズをいままでに使ったことがある方には是非手に取ってお試しいただきたいです。当時のモデルに比べて格段に進歩していますし、現代的に使いやすくなっています。当時不満に思ったことも解消されているはずです。「Leica M10」を使っていた方は大きな差は感じないかもしれませんが、お客様の声を積み上げて非常に細かい使い勝手をアップグレードしていますのでお試しください。

また、今までM型ライカだけでなくレンジファインダーカメラ等を使ったことがない方も沢山おられると思いますが、ぜひお店に足を運んで触っていただきたいです。お使いのカメラと全く違う性質のものになりますので、自分の写真や被写体へのアプローチが『Leica M11』を使うことで新しい局面を迎えることになるでしょう。ぜひ一度トライしていただきたいです。

伝統的なM型ライカの最新機種ということで、写真機として非常にアトラクティブな存在であるM11。
その魅力の一端に触れ、今後ライカが紡いでいくであろうカメラの在り方が大変楽しみになりました。

『Leica M11』の発売日は2022年の1月21日を予定しています。ぜひマップカメラでのご予約をお待ちしております。

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