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【SIGMA】 山木和人社長 スペシャルインタビュー <Part2>

[ Category:SIGMA|掲載日時:2017年11月09日 16時11分]


マップカメラ×シグマ 社長対談インタビュー

 

レンズに込めた 哲学と想い

マップカメラ×シグマ 社長対談インタビュー

シュッピン株・小野社長 近年、カメラ・レンズの高精細、高解像化(光学性能の向上)が非常に顕著だと思っています。かつては レンズの味といった点が議論されていましたが、今はとにかく解像度が重要視される傾向にあると思います。こうした風潮をどう感じられているでしょうか。異なる別の部分で勝負していきたいという考えもあるのでしょうか。


株シグマ・山木社長 メーカーとしては性能を上げていくための技術開発を行っていくことが使命であると考えています。
当社のレンズは性能の良いものは大きかったり重かったりすることもありますが、昔の技術のままだとしたら、それよりももっと大きく重くなってしまいます。そこを日々技術開発を行い、今のサイズに抑えています。高性能で軽量化を図ったものを作るというのは、技術発展の拠り所なので、今後も絶対に行わなければなりません。より難しいことにチャレンジすることも使命であると認識しています。

私はかつての大判フィルムカメラ、8x10で撮影したような高精細な写真が好みなのですが、今のデジタルカメラがいくら高精細になったとしても、それに追いついていないところがあると感じています。ですが、より高性能なものを追及すれば、さらに豊かな表現や、奥行き、立体感といったものが実現できるだろうと思います。

ただ、解像力とは違うレンズの味などといったものは、様々なお客様の意見があり、無視することはできません。常に研究し続け、常に考えていなければなりません。その上で、ボケ味については特にこだわりを持って取り組んでいます。
しかし、レンズの味というテーマに関しては非常に難しいと感じています。お客様一人一人の好みも異なり、定義づけが難しいためです。単純に性能が悪ければよい、ということにもなりかねませんので、現代のメーカーとしては取り組むハードルは高いという認識です。しかし、『モノづくりの哲学』として、お客様が感じているレンズの味というものを定義化するとどうなるのか、数値化するとどうなるのか、という議論を社内で進めています。


シュッピン株・小野社長 今のお話の中に、哲学という言葉がありましたが、貴社のホームページやカタログを拝見すると、『写真を愛するすべてのアーティストのために。』 『「最高画質」を謳(うた)えるただひとつのカメラ。』 『唯一無二の最高画質を実現するために。シグマの思想のすべてが収斂(しゅうれん)した、あるべき姿。』といった、哲学的な表現が多く発せられていることに気づきました。

このような表現はどなたが、どのようにして生みだしているのでしょうか。もしかすると山木社長ご自身ですか?


株シグマ・山木社長 キャッチコピーについては弊社のマーケティング部が考えています。これらを考えたスタッフは私の中学校の後輩でもあるのですが、こういうことを考えるのが上手いのです。


マップカメラ×シグマ 社長対談インタビュー

株シグマ・山木社長 キャッチコピーは主に新規リリースやWEBのコンテンツを作成するときに考えます。お客様にハードウエアを購入していただいた時に、製品だけではなくバックグラウンドにいる私たちの思いも含めて評価していただきたいという気持ちがあるので、その背景も含めた全てが商品の価値であると考えています。

現代はモノが溢れていて、高いものは性能が良くて当たり前になっています。そうなると、人々は何をよいと思うのかという共感軸が重要で、どういう姿勢で、どういう考え方でモノづくりをしているのか、あるいはどういうパーソナリティがあるのか、という部分に重きを置いています。スペックを並べて手ブレ補正の有無などの比較は、それよりも下位の次元の話だと思います。
この会社のモノの考え方が好きだと思っていただけるよう、設計者にどういう思いがあるかを表現してほしいとは社内ではいつも話しています。

今後、世の中はどんどんそういった形になっていくのだと思います。
モノを買うという行為は自己実現、自己表現のひとつなので、どういう会社、どういうブランドから、どういうモノを買うかについては、その方の生き方と一致するものを提供することでお選びいただけるのではないか、と考えています。

高価でラグジュアリーなものが好きな人がいても良いですし、すごく安価だけど性能が良いものを買う人がいても良い。「この会社が好きだな」というような選択が、イコール(=)生活になっていると思う部分があるので、単純にモノを作ればよい時代ではないのかなと思います。


シュッピン株・小野社長 そうした貴社の想いが詰まっている製品ラインの『Art』『Sports』『Contemporary』のコンセプトから見ても、商品毎の強い個性を感じます。


株シグマ・山木社長 商品企画には私も参加します。気をつけていることはやはりコンセプトです。この商品はお客様のどういった問題を解決して、どういうソリューションを提供するのかというコンセプトを提示するようにしています。

もちろん、商品企画からある程度のスペックは出すのですが、技術者には「価格とかコストとか、重量とかは、ある程度無視していい、その代わりに商品のコンセプトを実現することが出来るソリューションを考えてほしい。と伝えます。自由度を与えた上で提案させると設計者の想いみたいなものが相まって、1本1本のレンズに細かい思想が入るのです。


シグマが他のメーカーと 決定的に違う点

マップカメラ×シグマ 社長対談インタビュー

シュッピン株・小野社長 シグマという会社が他社と決定的に違う点、そして強みは何でしょうか?


株シグマ・山木社長 いま巷でこのスペックの製品が売れているから作る、というよりも、お客様が今何を望んでいるのかということを考え、それをスペックに落とし込んで製品作りを行っています。やはり他社さんと同じことをやってもなかなか選んでいただけないですし、面白くないですから。あえて違うことを行うようにしています。

その点に関しては役割の違いだと思っています。大手メーカーさんは多くのユーザーが満足できる商品を作らなければいけない、じゃあ我々は少数だけど、こだわりのある方たちにバシッと伝わる商品を届ける。大手メーカーさんに出来ないようなことも出来る強みはあると思います。
思想というと、『Art』『Sports』『Contemporary』という3つのレンズカテゴリーがありますが、それぞれ違う設計思想とターゲットを絞った商品作りをしています。

レンズはある程度シェアもありますし、お客様の幅も広いですが、それに比べるとカメラは少ないので絶対的に違いを出そうとしています。カメラにしても画作りにしても絶対に他社とは違うもの、という思想の基で作られています。 最終的には1人1人のお客様にとって、ある問題を解決するかけがえのない商品をどのように作るかということが基本的な考え方です。


シュッピン株・小野社長 最も興味深い点なのですが、お話に上がった『Art』『Sports』『Contemporary』という3ラインの誕生前と後で、社内の考え方や、実績、反響などは変わりましたか?


株シグマ・山木社長 正直、成功するか分かりませんでしたので、導入時は不安でした。今はお客様からご支持をいただけて、嬉しいと同時に、当社にとっても自信になりました。また、社員も自信と誇りを持って仕事ができるようになりましたから、お客様には本当に感謝しています。 何より仕事が楽しくなりました。

例えば、ある商品を作るとき、多くの人の意見を取り入れた平均値の商品を作るよりも、ある所はダメだけど、ここだけは絶対に負けないとか、ここはこうだ、という明確なメッセージを伝えられる商品を作る方が面白いと考えています。その方が我々の方向性も誤解もされにくいですし、理解されやすいと思います。なにより取り組むことが楽しいのです。

やはり仕事をする上で、日々の仕事にやりがいを持って楽しく取り組んでもらいたいというのが希望なので、社員もそのような気持ちでいてもらえれば嬉しいなと思います。


シュッピン株・小野社長 働いている社員に仕事にやりがいを持って取り組んでもらいたいというのは私も同じ気持ちです。

今回のビジョンを打ち出さなかったらこのレンズは作らなかっただろう、という商品はありますか?例えば『SIGMA 50mm F1.4 DG HSM | Art』は前モデルから価格もコンセプトも大きく変わったレンズだと感じました。


マップカメラ×シグマ 社長対談インタビュー

株シグマ・山木社長 商品化をするに当たり、試行錯誤を重ねました。
新しいコンセプトを打ち出す、という社内への意識の浸透にもはじめは時間がかかったことを覚えています。

『Art』や『Contemporary』というカテゴリーごとに製品作りの明確なコンセプトの違いがありますので、50mmを『Art』で作るのであれば思い切って作ろう、となりました。お客様がこれを手に入れれば、カメラが高性能化しても後10年は使えます、と自信を持って言えるものを作ろうとしました。それぞれのカテゴリーがあったからこそ商品化できたのではと思っています。


シュッピン株・小野社長 今までのシグマも、お客様からの支持がとてもあったと思うのですが、3ラインとして生まれ変わらせることによって、よりお客様のいろいろな期待に応えられる製品を作れるようになったということでしょうか。


株シグマ・山木社長 結果としてはそうなります。元々のきっかけは商品のコンセプトをはっきり伝えようというのがありました。なぜ、こんなに大きくて重いの?と聞かれた時に、性能は絶対に負けませんと言える商品であったり、これはトラベルズームなので小さくて軽いものを作りましたとお伝えできたり、と当初はお客様とのコミュニケーションとして考えていました。

また、エンジニアがコンセプトを明確にするとすごくいい仕事をするのです。例えばこのレンズの大きさはある程度大きくていい、コストもいくらでもかけていい、だけど絶対性能では負けるな、他のレンズより2桁以上性能の差をつけろと伝えます。

そうすると、すごくいい仕事をしてくれます。これがもっと小さくとか、コストを抑えろとか言うと結局つまらないものしか出来てこないのです。お客様に分かりやすく商品を伝えられると同時に、エンジニアが迷いなく仕事が出来るようになったという効果はありました。

一方でラインアップが増えていくとコンセプトが曖昧になっていないか、コンセプト自体が古くならないかという点が発生します。それを適宜確認し、時代とちゃんと向き合いながら整備をおこなったり、場合によっては見直しを行ったりすることも必要になるかもしれません。
そうしたことはしっかりと行いながら、お客様にとって分かりやすく整備していくことが重要であると考えています。


  
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