これは筆者がLeica M3を購入し、のんびりと歩いていくお話です。
Kentmere Pan100,Leica M3,Leica Summicron L50mm F2
海辺が好きです。
以前述べたように、私が海無し県出身で今は山の麓に住んでいるからでしょう。
M3を手にしてから早1年、東西南北様々な海を見に行きました。
英虞湾のリアス式海岸、千里浜、外房、氣比の松原、ほかにも色々。
ここで「1年でやっと水平の出た写真を撮れるようになりました」なんて言えればよいのですが、まだまだ鍛錬が足りないようです。
秋田のウユニ塩湖とも呼ばれる遠浅の海岸で、長い間波に曝された岩の模様が素敵です。
しっかりと絞り込み、抜けの良い描写を愉しみます。
Kentmere Pan100,Leica M3,Leica Summicron L50mm F2
夕暮れの海岸線をのんびりと走っていましたが、この風景を見て車を停めました。
水平線に反射する太陽と、その光を受ける防風林というには少し心許ない並木が美しいです。
M3を手にした当初は絞りを変えて何枚か同じ構図で撮影していました。
しかし、ようやくどの絞りでどう映るのかが分かるようになり最近ではそういったことはしなくなりました。
少し太陽の位置が低かったので、手でハレ切りしつつ1枚だけシャッターを切ります。
少しフレアが出てしまいましたが、やさしい雰囲気になっています。
Kentmere Pan100,Leica M3,Leica Summicron L50mm F2
ズミクロンはただただ質感描写に優れています。
モノクロと一口に言ってもコントラストの強弱、粒状感、ハイライトからシャドーまでの階調、様々な要素があります。
筆者はモノクロと言えば中間階調に優れ粒状感の細かいある種”眠たい”写真が好みですが、人によってはコントラストが高くメリハリがあり、暗部の粒状感が目立つようなモノクロが好きな方も多くいらっしゃるかと思います。
自分好みのフィルム、現像方法、それに合うレンズ、構図や被写体。
たった数年ではモノクロのモの字も理解したことにはならないのでしょう。先は長いです。
Kentmere Pan100,Leica M3,Leica Summicron L50mm F2
季節外れの菜の花畑へ。
しっかりと絞りつつも判の大きさから被写界深度から出てしまう手前の花々。
カラーならボカしきってしまいますが、色情報がないので輪郭を伴った前ボケを愉しんでみます。
Kentmere Pan100,Leica M3,Leica Summicron L50mm F2
恐山に来ました。人は多くいるものの皆どこか神妙な面持ちをしています。
青緑の大きな湖があり、真っ白な地面と相まってこの世ではないようです。
風が強く吹いており、風車が一輪だけ回っていました。
この動きを残したいと絞り込みシャッタースピードを限界まで落とします。
Kentmere Pan100,Leica M3,Leica Summicron L50mm F2
最後はどこまでも続くような地平線、水平線を。
細波と西日の反射を美しく描いてくれました。
やっと1年、まだ1年。
この1年で様々なことが変わりましたが、M3を首から提げてふらふらと歩みを進めていることは変わりませんでした。
この先も同じように歩んでいけることを願って。