皆様は、50mm、好きですか。
50mmとは、もっともポピュラーな焦点距離のひとつで、36×24mmのフルサイズ・135フォーマットにおける、いわゆる標準レンズです。
銀塩時代の50mmといえば、メーカーが展開するレンズラインナップにおいて、もっとも標準的な性能が求められていました。
現代のデジタルカメラの50mmも、基本的な要素は変わっていませんが、最新の技術を用いて、より高画質化を求める動きも出てきました。
以前、SIGMAからArtレンズシリーズが発表された時、ユーザーは大きな衝撃を受けました。
「軽い」「コンパクト」といったスペックを押すことが大半であった、いままでの50mmや35mmというレンズを大きく凌駕するサイズ。
例えばSIGMAのArt 50mm F1.4 DG HSMでは、815gという重量、77mmというフィルターサイズです。
当時、「実用的なサイズではない」という意見もあったことをよく覚えていますが、その端正な描写、美しいボケ味は多くのユーザーを魅了し、今日におけるArtレンズの評価、その礎を築きました。
それ以降、各種主要メーカー、サードパーティーメーカーを問わず、よりユニークなスペックのレンズが世の中で多く発売されるようになりました。
携帯性などを度外視しても、ストイックに描写能力を追及するレンズが現れたことで、ユーザーである私たちも、多様性に富んだレンズ選択を享受することができます。
そのような潮流が起こる市場の中で、昨年、Tokinaより発売されたレンズがあります。
その名も、Opera 50mm F1.4 FF。
いま、デジタルカメラの技術の著しい進化に伴い、撮像素子も高画素化をたどっています。
Operaはそうした高性能化するデジタルカメラに対応する新ブランド群です。
今回はそのOpera 50mm F1.4 FFで撮影してまいりましたので、どうぞご覧ください。
例年より気温が高い日本海側。
まずは開放付近でスナップショットで”ならし運転”です。
(F2 IS200 SS1/400)
まず驚いたのは、そのボケの自然さです。
アウトフォーカス部は不自然にボケが際立つことなく、
まるで無段階のようになだらかにボケが広がっていくような感覚を覚えます。
開放付近ですと、周辺減光が起こりますが、
それがよりドラマチックな雰囲気を醸し出します。
伝統的な建物が多く存在する日本海側の地域です。
一つ一つの神社仏閣が、荘厳な佇まいをしています。
(F1.4 ISO100 SS1/50)
(F1.4 ISO100 SS1/160)
町のはずれで見かけた空き地を、絞り込んで撮影。
50mmという焦点距離は、感覚的にもすっと体の中へ入ってくる印象があります。
開放から適度にシャープな描写をする本レンズですが、
絞り込むとより一層の解像感を感じます。
(F8 ISO100 SS1/400)
古い鉱山跡にて。
この季節、日本海側の空は重たく、鉄さびた風景との組み合わせでは、
盛者必衰、あるいはそれに似たような風情を感じさせます。
Opera 50mm と組み合わせれば、それらを見た目の感覚で、そのまま写真に焼き付ける事ができます。
(F1.4 ISO2000 SS1/125)
ピントを画面中央部に配置し、少々ローアングルで、奥行きを演出します。
アウトフォーカス部に点光源があっても、恐れる事は何もありません。
(F1.4 ISO100 SS1/500)
プロファイル補正などは行っていませんが、この歪曲の少なさです。
壁面のディテールを見事に写し取る事ができました。
(F1.4 ISO200 SS1/50)
近接撮影もお手の物です。
しかし、ここまで開放からの良く写ってくれると、
開放ばかり使ってしまうのは悪い癖です。
(F8 ISO100 SS1/250)
お気に入りの一枚です。
シャドー部の粘りもレンズによる恩恵を感じます。
普段からこのような職に携わらせていただいてるので、
まだまだ短いカメラ人生の中でも、様々なレンズを試してまいりました。
そのような曲りなりの私の感覚の中でも、このレンズはある種の50mmレンズの完成系だという認識を抱きました。
開放から程よいシャープネスで、コントラストは現代的ですが、こってりはしすぎない。色のりもボディを大きく限定する事は無く、歪曲は少ない。そして、絞れば遠景も問題なく対応できる・・・
多くの写真家の方にとって、50mmは写真の始まりでもある基本の焦点距離です。
いま、Opera 50mm F1.4 FFを手にして、あなたの写真原点へ回帰してみませんか。
★先んじて他のスタッフがキヤノン用のOpera 50mm F1.4 FFの記事を掲載しております。よろしければこちらもご覧ください。
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