【PENTAX】徹底インタビュー!『K-3 Mark III』圧倒的人気の秘密に迫る!~開発のこだわりとペンタックスの決意~
ペンタックス 渾身のAPS-C一眼レフ機『K-3 Mark III』
情報解禁時から大きな話題を呼び、発売から一ヶ月たった今なおセンセーションを巻き起こしています。
その勢いはすさまじく、4月の新品デジタルカメラ人気ランキングではベスト10にひしめき合うミラーレス一眼をおさえて、堂々の1位を獲得しました。一眼レフ機がトップを飾るのはなんと14か月ぶりという事からも、その熱量が尋常ではないことが伺えます。
では、そんな『K-3 Mark III』はいったいどんな部分がファンの心を射止めているのでしょうか。
「APS-Cモデルながらフルサイズ機に匹敵する見やすい光学ファインダーや描写性能」
「強力な手ブレ補正、高速かつ確かな精度のAF性能や防塵防滴などのポテンシャルの高さ」
「シャッターを切った時にカメラから伝わってくる心地の良い感触」などなど枚挙に暇がありません。
そこで、今回は『K-3 Mark III』をより深彫りするべく、メーカー全面協力の元インタビューを実施。
その魅力を徹底的に解明していきたいと思います。是非、最後までご覧ください。
■ K-3 Mark III 開発のこだわり
ご回答 : 開発統括部 商品企画部 若代 滋 氏
―― まず「K-3 Mark III」とは、どのようなカメラでしょうか。従来モデルと比較してどのようなアドバンテージがありますか。
若代氏:
K-3 Mark IIIのコンセプトは、撮影するのが気持ち良く、撮った写真に感動するAPS-C最強一眼レフカメラです。
従来モデルのK-3 IIからはあらゆる面で進化していますが、特に光学ファインダー、機動性・信頼性、操作性、動体性能、描写力にこだわって開発しました。
―― 「K-3 Mark III」の開発を始めるにあたり、製品のコンセプトはどのように確立されたのでしょうか。
また、貴社に寄せられたユーザーの声はどのように反映されているのでしょうか。
若代氏:
ユーザーの方からは、ミラーレスを出してほしいという声が多くありましたが、一方で、一眼レフを作り続けてほしいという声もたくさん頂いておりました。ミラーレスに本格的に参入すれば、最終的には一眼レフを作り続けることができなくなると考えていました。一眼レフを作り続けてほしいという声に応えるためにも、ブランド名がペンタプリズムに由来するPENTAXとしては、一眼レフにこだわりたいという思いがどんどん強くなっていきました。
一眼レフカメラで撮影する魅力をあらためて見つめなおし、撮影プロセスを愉しめるカメラ、被写体に没頭できるカメラがどんなものかを再認識しコンセプトを固めていきました。
―― 公式ページを見ていると、ひと際強い光学ビューファインダーへの想いが伝わってきます。一方で、全体的なトレンドとしては電子ビュ―ファインダー搭載機種が大半を占め、その性能も確実に進歩しているのも事実です。ユーザーの視点で、光学ビューファインダーが電子ビューファインダーに対してどのような優位性があるとお考えですか。
若代氏:
電子ビューファインダーではカメラが作り出した映像を予め確認して撮影するのに対して、光学ファインダーでは実際の光を感じて、どのような写真に仕上げるか想像して撮影するということで、撮影プロセスが異なります。電子ビューファインダーの方が予め確認できるために失敗することが少ないですが、光学ファインダーは自らが作り出すという意識が強くなり、頭の中で表現した写真と実際に撮影された写真が一致すれば高い満足が得られる反面、失敗することもあります。逆に、想像していた以上に良い写真に仕上がることもあって、撮影プロセスそのものをより愉しんで頂けると思っています。
また、電子ビューファインダーでは見続けると目の疲れを感じる方もいますが、光学ファインダーでは自然の光を見ているわけですので、被写体をじっくりと観察してシャッターを切るということができるのも光学ファインダーの優位な点かなと思います。
―― 実際の光を活かして、レンズとファインダーから得られる情報を眼で感じながら撮影を行うというのは
昔からカメラを使われている方にとっては慣れ親しんだ経験、スマートフォンやミラーレス機から写真を始めた方にとっては未知の体験です。
それぞれのユーザーの方へメッセージをお願い致します。
若代氏:
昔から一眼レフに慣れ親しんでいる方の中には、時代の流れでミラーレスに移行せざるを得ないのかなと思われている方も多くいらっしゃると思いますが、PENTAXは一眼レフの未来を信じています。画像認識を使った自動化技術などは一眼レフでもできる未来が見えていますが、万人受けする写真を簡単に綺麗に撮れるよりも、撮影者の個性や創造力を最大限に発揮できるカメラこそ、趣味として写真を愉しむカメラの理想と思っています。そこに共感して頂ける方にはぜひPENTAXをお使い頂きたいと思います。
スマートフォンやミラーレス機から 写真を始めた方にとっては、光学ファインダーでの撮影は難しそうで取っ付き難く感じられる方も多いと思いますが、まずはお店などでファインダーを覗いて被写体を観察してシャッターを切ってみてください。シャッターを切る瞬間にカメラからいろんな反応がありますが、それらを感じて心地よいと感じた方には、ぜひ一眼レフで撮影プロセスを愉しむとはどういうことか探索して頂きたいと思います。
―― 本機は”K-1 Mark II”、”645Z”等の上位機種に採用されている「リーフスイッチ」を取り入れていますが、これによりどの様なメリットが期待できますか?
若代氏:
シャッターボタンを押す瞬間もカメラを安定させることができ、手ブレの発生や、狙っていた構図からずれることを防ぎます。また、連続撮影を維持するために強くシャッターボタンを押し続けるのではなく、自然にシャッターボタンを押し続けることができます。
―― 新しいイメージセンサー、新開発の画像処理エンジンPRIME VとアクセラレーターユニットIIと気になる機能が盛り沢山ですが、
今回のブラッシュアップによってどの様な作品作りが期待できますか?開発におけるエピソードも教えてください。
若代氏:
APS-C一眼レフは、フルサイズ一眼レフよりも、交換レンズを含めた機動性で優れていますが、光学ファインダーと画質の面で劣ると一般的に考えられています。この既成概念を打ち破るために、APS-C一眼レフでありながら、フルサイズ一眼レフに匹敵する光学ファインダーと感動するような高画質を実現したいと考えていました。
K-3 Mark IIIでは、新しく裏面照射型CMOSイメージセンサー、新開発の画像処理エンジンPRIME VとアクセラレーターユニットIIを採用して画質設計を行った結果、繊細でディテール再現に優れた描写による低感度域を含めた画質向上と高感度域での優れた質感描写と色再現など、飛躍的に画質を向上しました。
画素数が異なるので比較するのは難しいですが、超高感度域での色再現性に関してであれば、高感度性能に優れたK-1 Mark IIよりも更に優れた結果が得られます。ISO3200や6400、シーンによっては12800でもディテール再現に優れた写真が撮影出来るようになり、絞りやシャッタースピードを今まで以上に自由に設定できるようになりましたので、写真表現の幅が広がったと思います。絞り・シャッタースピードを自分で設定してISO感度をオートで撮影するTAvモードを暗いシーンでも積極的にお使い頂けるようになったと思います。
■ PENTAXの新たなる決意とこれから
ご回答 : マーケティングコミュニケーション部 三宅 譲 氏 / 川内 拓 氏
―― 『PENTAX STATEMENT ~私たちが私たちであるための、5つの決意。』において、これからも<敢えて一眼レフカメラ>を作ることを宣言されました。ここ数年間で大きく市場が様変わりする中で、「敢えて一眼レフ」というコンセプトを作り上げた理由を教えてください。
三宅氏・川内氏:
現在の市場を鑑みて、一眼レフカメラなのか、ミラーレス一眼なのか、単純に優劣を検討したわけではありません。
私たちが今のカメラ事業に至るまで、カメラを通じて提供したかったことは何かを、あらためて社内でも問いました。
その結果、一眼レフカメラを通じた撮影プロセスの愉しみは、写真の出来栄えとともに写真を撮るモチベーションを支える大切なものであると結論づけました。
撮影の醍醐味を五感で感じながら自身の創造力を存分に発揮して写真を撮るという体験は、必ず私たちの心を豊かにしてくれる。そんな一眼レフカメラを通じてこそ得られる体験的な価値があると信じています。
―― 同様に『貴社の5つの決意』の一つには、「数値では測れない領域まで挑む。」という項目もあります。
車やバイク、ファッションなどもそうですが、この「数値では表せない魅力」についてこだわりや想いを教えてください。
三宅氏・川内氏:
カメラ製品にはスペックシートと呼ばれる仕様一覧があり、多くのカメラの性能はここで一瞥することができます。
ですが、本当に良いカメラを手にしたときに感じられる「シャッターフィーリングの良さ」「ファインダーのクリアさ」「体の一部のように感じられるグリップ感・操作性」それらの要素は残念ながらスペックシートには表しきれません。
私たちが大切にしてきたのは、カメラを手に取って撮影をして初めて実感できる、こうした悦びです。
レンズにおいては、長きにわたってご支持をいただいております「Limitedレンズ」群の質感、指ざわりに至るまでこだわったアルミ削り出しの鏡筒などにも同様のことが言えます。
「Limitedレンズ」はその描写についても、まさに数値では測れない領域を大切にしたレンズです。収差を徹底的に抑え込むのではなく、あえて収差を残しそれをコントロールすることで得られるそういった“味わい”を大切にしています。
誤解しないでいただきたいのは、数値性能をおろそかにしているわけではありません。その先にあるものを目指しているということです。Limitedレンズを通した世界が肉眼よりも美しく見えたとき、それは計算された収差によって演出された、写真ならではの美しい世界であると言えます。
―― 他のメーカーのカメラでは味わえない「ペンタックスだからこそ得られる最高の魅力」を教えてください。
三宅氏・川内氏:
PENTAXならではの“写真”画質です。
一例ではありますが、深い空の青や活き活きとした森林の緑などの色再現にこだわり続けています。一見鮮やかに見えながらも、階調性が損なわれないようにチューニングを行っているのがポイントです。
デジタルカメラの画質というと、撮像素子の解像度や優れたS/N比も大切ですが、写真的な味わいのある自然な描写であることを大切にしています。例えば、ノイズを徹底的に抑えることでS/N比を高めることはできます。ですが、それだけを狙ったノイズ処理を行うことで、被写体の輪郭がなだらかにボケゆく様や、背景ボケのトーンという一眼の写真表現で欠かしてはならない風合いまでも失ってはなりません。
そういった写真ならではの表現の機微を大切にしているのが、PENTAXの“写真”画質です。
画像仕上げ設定のカスタムイメージについても、ご自身でパラメーターを変えて追い込んでいただくことで表現を広げることができ、大きく設定を変えても画質に破綻が起きないように繊細にチューニングをしています。
これまでもお話ししてきたように、写真を撮る時間が愉しいものであること、そして存分に自分らしく表現ができて納得感が得られること、これらがまた次の撮影に向かうモチベーションとなると考えています。
―― 『K-3 Mark III』とは、『一眼レフ』とはそれぞれなんでしょうか。一言で表現してください。
三宅氏・川内氏:
『PENTAX K-3 Mark III』とは、『PENTAX STATEMENT』であらためて言語化した、私たちが大切にしてきたカメラづくりの想いをこれまでのモデル以上に感じていただける製品を目指して一切妥協なく作り上げたモデルです。
『一眼レフ』とは、日本で初めて一眼レフを開発した我々にとってカメラづくりの原点であるとともに、写真を趣味とされている皆様が、結果はもちろん撮影するプロセスまで愉しめる表現手段の一つとして、これからも大切にしていくべき存在であると考えます。
―― 最後に、『K-3 Mark III』『一眼レフ』を待ち望んでいた方や、
今はミラーレス機やスマートフォンを使っているけれど『一眼レフ』に興味のある方へ、メッセージをお願い致します。
三宅氏・川内氏:
K-3・K-5・KPといったAPS-C一眼レフをお使いの方には、ありとあらゆる面で進化したK-3 Mark IIIでより一層写真を愉しんで頂きたいと思います。また、フルサイズ一眼レフのK-1シリーズは、三脚撮影など一写入魂の撮影に長けたカメラですが、それとはコンセプトが異なるカメラであり、使用するカメラが違えば撮りたくなる被写体も変わってくると思います。ぜひ、その時の気分や目的で使い分けて頂きたいと思います。
ミラーレス機やスマートフォンを使っているけれど『一眼レフ』に興味のある方には、作られた映像ではなく実際の光を感じながら創造力を働かせて写真を撮る一眼レフの愉しみを知って頂きたいと思います。交換レンズを含めコンパクトなAPS-C一眼レフでありながら、フルサイズのような光学ファインダーを備えたK-3 Mark IIIで、新たな写真体験をして頂きたいと思います。
いかがでしたでしょうか。
何より伝わってくるのは、開発に携わってこられた方々の並々ならぬ情熱。
そこには、売れる商品を!流行に乗った商品を!というような思いではなく
「使う愉しみを詰め込んだカメラで、写真を撮ってほしい」というユーザーへのメッセージが秘められています。
これからも、『K-3 Mark III』のような写真愛好家の1番の相棒になる銘機・銘玉の数々がペンタックスから登場することを切に願っております。
ありがとうございました。
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