FUJIFILMから「X-Pro1」用の純正Mマウントアダプターが発売されました。さすがメーカー純正と思わせる高級感ある仕上がりはボディと同じ素材が採用されており、統一感ある見た目でスッキリ見えます。
さらにこのマウントアダプターにはメニューボタンがあり、カメラ側がマウントアダプターの装着を認識することで装着するレンズに対し湾曲収差や周辺光量などの各種補正が出来るという優れもの。今まで数多くのマウントアダプタを見てきましたが、ここまでカメラの性能を引き出すアダプターは見たことがありません。メーカーが本気を出すとマウントアダプターもここまで進化するのかと感動すら覚えました。
特に超広角レンズで周辺にグリーンやパープルの色滲みが生じる場合も、補正が可能なのはなかなか嬉しい機能です。
”レンズ交換式カメラを買って貰ったら、次にレンズを買って貰う”というのがメーカー的な考え方なのでしょうが、「他社のレンズもお使いください」とアピールするかのような販売戦略は、裏を返せばそれだけカメラの性能に自信があるからだと容易に想像できます。
実際に数種類の交換レンズを試してみましたが、どれもレンズの個性を反映した美しい仕上がり。大柄ながら見た目より軽いX-Pro1ボディは、コンパクトなMマウントレンズを装着してもウェイトバランスが良く、軽快にシャッターを切ることができます。また123万ドットの高精細液晶モニターは視認性も良く、コマンドダイヤルをプッシュするだけで瞬時に拡大表示するのでピント合わせに悩まされる事もありませんでした。
雨上がり、湿度が高いながらも少し涼しい日中の空気感も捉える恐るべき解像感はさすが、ライカ ズミクロン。光学ローパスフィルターを持たないX-Pro1はレンズの本来の解像力を最大限に取り込みます。心配されるモアレも新開発のカラーフィルター配列のおかげか全く気になりません。
最新レンズとの組み合わせはどれも驚きの解像力。絞り開放からシャープで美しい描写です。X-Pro1の優れた色再現と合わせて見た目通りの鮮やかな画を切りとってくれました。
今度は逆にレアなオールドレンズとの組み合わせ。
Thambarはライカレンズの中でも唯一のソフトフォーカスレンズ。センターフィルターを使用する事でソフトの具合を調節でき、木村伊兵衛氏も愛用した事で有名なレンズです。ただしその個性は強烈で、前ボケは非常に美しくとろけるようでありながら後ろボケは荒れ放題。一眼として使えるX-Pro1のビューファインダーであれば、後ろのボケの整理も考えて撮影に臨めます。心配だったピントの見えも想像以上に良く、こうしたクセの強いオールドレンズにも心強い組み合わせになりました。
続いてはオールドFUJINONレンズ。「Fuji Photo Film」銘ですが、富士フィルムもライカLマウントのレンズを少数ながら販売していました。時を超えたレンズとボディの組み合わせ。こうした事が楽しめるのも今回のアダプターのおかげでしょう!
柔らかいボケと落ち着いた発色で今のXマウントFUJINONレンズとは全く異なる描写は、時代が変わるとここまで変わるのかと再認識させられました。
シャッタースピードや露出補正など各種ダイヤルで直感的操作を可能とするX-Pro1は、アナログライクな部分を多く残しておりオールドレンズとの組み合わせも格好いいです。
カメラの性能を充分に引き出すマウントアダプターは、レンズの魅力も充分に引き出してくれます。
今まで気がつかなかった発見があり、写真が撮るのが楽しくなる。そんな気分にさせてくれるマウントアダプターでした。
Photo by MAP CAMERA Staff