マップカメラ”Kasyapa”チームに面白いレンズが送られてきました。『SPEEDMASTER 50mm F0.95』と刻印されたレンズはSONY マウントを採用したフルサイズ対応レンズ。
中一光学というあまり聞き慣れないメーカー名に若干の不安を感じつつも、ライカのノクチルックスと同じ50mmF0.95というスペックに魅せられて早速撮影に出掛けてきました。
超高屈折ガラス4枚、高屈折低分散ガラス1枚を含む7群10枚の大口径レンズは、持った瞬間にガラスの重さを感じる720g。
コンパクトなα7Rとの組み合わせでは少々前のめりになるバランスですが、重めのピントリングの感触が良く、ファインダーでじっくりピント合わせをする分にはあまり重さを感じません。
とは言えそのピント合わせが曲者。被写界深度が薄すぎてピントが捉えづらいのです。
幸いカメラ側の拡大アシスト機能のおかげで事なきをえましたが、拡大表示が可能なEVFファインダーのデジタル一眼あってのレンズという印象を受けました。
写りはボケの大きな綺麗な描写です。雨の日の湿度感をしっかり伝えるクリア感も素晴らしいの一言です。
少し絞ればシャープ感が高まり質感描写はさらに良くなります。
絞りリングはクイック感の無い無段階式のため、中間絞り設定も自由自在。自分好みのボケ具合いを探すの楽しくなるレンズです。
ピント面が薄いおかげで、遠景での撮影でもなだらかかな前ボケ効果が得られます。
混雑する場面での撮影では人物に注意を払う必要がありますが、大きなボケがまるでボカシを入れたかのような効果になりました。
独特なボケ味を意識して少しアンダー気味に撮影すると、どことなくオールドレンズに似た味のある表情を見せてくれました。
F0.95と言えば試したくなるのが暗いシーンでの撮影です。
絞り開放にも関わらず光源ボケがレモン型になったものの、蝋の溶ける様子までしっかり捉えています。
光のグラデーションもとても綺麗です。
さすがに0.95の開放の撮影では、全体的にピントの甘さを感じ、山門や五重塔の輪郭にもフリンジが見受けられますが、色乗りはしっとりと落ち着いた印象です。
約50cmの接写も可能ですので、寄って少し絞ればまた違ったボケ味を楽しむことができました。
さすがにライカのノクチルックスと比較するのは酷ですが、10分の1以下の価格でフルサイズ対応のF0.95のレンズが手に入るとは、恐るべきコストパフォーマンスです。
レンズ自体の質感も上々。少し癖のあるボケ味ですが、とろける様なより大きなボケが手軽に楽しめる魅力あるレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff