LAOWA 7.5mm F2 MFT
今回Kasyapaで紹介するレンズは、マイクロフォーサーズ用のマニュアルレンズ『LAOWA 7.5mm F2 MFT』です。
35mm換算で15mm相当の画角をカバーする広角レンズは開放F値2.0の明るさを持ちながら、手のひらに収まるコンパクトさが特徴のレンズです。
撮影の日は生憎の空模様。傘をさしながらの撮影を考慮して、小型軽量で手ブレにも強い「Panasonic LUMIX DC-GX7MK3」をチョイスし、向かった先は、度々訪れている横浜界隈。丁度大桟橋には日本で建造された最大の客船「DIAMOND PRINCESS」が停泊していました。全長290m、18階建ての船は広い15mm相当の広い画角であっても画面に収めるのに苦労する大きさです。
桟橋の上段まで引いての撮影になりましたが、船体の細かな箇所までしっかり描写しているのが分かります。
すでに何本かLAOWAレンズを試したことがあるものの、性能を疑ってしまう低価格な中国製レンズ。今回も良い意味で想像を裏切ってくれました。鏡筒も金属製で質感も上々。ボディとのバランスもベストマッチです。
改めてLAOWAのレンズのラインアップを見てみると、広角レンズやマクロレンズが充実していることに気づきます。つまり近接撮影が得意なレンズが多いのです。本レンズも最短撮影距離が12cm。最大0.11倍の近接撮影が楽しめます。公園に咲いていたユリの花をクローズアップ。花粉の粒まで確認できるもの凄い解像力です。
丁度、雨がピークの時間帯。傘を首と肩に挟みながらの撮影も、少し重めのピントリングは合わせた位置でしっかり止まります。小さいレンズなだけに、ピント合わせはしづらいのかと思っていましたが、重めのピントリングに逆に助けられました。
同様に雨に濡れる紫陽花を撮影。F2の大口径レンズは、広角レンズでも大きなボケ味を楽しむことができます。ピント面はとてもシャープで、メインになる部分をしっかり引き立ててくれます。質感描写にも優れており、花の瑞々しさが伝わります。
桟橋から対岸へ移動し、船の全景を見ることにしました。開放F値では周辺光量が落ちるため、視線は中央に寄りがちですが15mmらしい開放感が感じられます。
コンパクトなミラーレス機でも最近は性能を求めるがため、機材が大型化しつつあります。その中で本レンズの携帯性の良さは一際目立ちます。常にカバンの隅に携帯しておけば、撮りたいと思った風景を綺麗に切りとってくれることでしょう。
雨がさらに強くなったので建物の中に避難。大きな窓があるとはいえ、古い電球照明下だけに光量不足を心配しましたが、F2の明るさのおかげで高感度に頼らず撮影ができます。グラスの透明感もそのままに捉えました。
斜めから被写体を捉えると、ボケが流れるような描写になりました。中央の解像力が高い分、目立ちやすいので、構図を決める際は少し注意した方が良いかもしれません。
大口径広角レンズではカメラの自動露出に頼ると若干暗めな印象に仕上がることがあります。今回も見たままのイメージに合わせようと思うと+1〜+2の補正が必要でした。このシーンでも+1.7段の補正を入れての撮影です。
レーズのカーテンの白とびを抑えハイライトを壊さず明るい雰囲気に仕上がりました。カメラの優れた階調表現に加え、ボディ内手ぶれ補正の恩恵も大きく、最新のマイクロフォーサーズシステムの凄さを再認識しました。
視界の悪い状況下でも高い解像力のカメラとレンズは、被写体を細部まで捉えてくれます。下から見上げることで生じるパースも歪みなく綺麗な直線です。
最後に定番の屋上からF5.6に絞っての撮影です。周辺減光はまだ若干残りましたが、隅々までシャープに解像しています。
マイクロフォーサーズ機も2000万画素を超えるモデルが増える中で、高い解像力は心強い限りです。これならトリミング前提の撮影にも十分対応してくれることでしょう。
コンパクトで高性能。まさにマイクロフォーサーズのメリットを最大限に活かした組み合わせです。
唯一不便に感じたのは小さいレンズキャップの付け外しくらいで、フードを装着した状態では高い確率で落としそうになります。しかしこのレンズ、広角レンズにありがちな前玉が飛び出た光学設計ではないため、フィルターの装着が可能なのも嬉しいポイント。大切なレンズを保護する意味でもフィルターのご用意をおすすめします。
マイクロフォーサーズ用の超広角レンズとしては、「OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO 」が既に販売されています。
オリンパスレンズはF1.8の明るさや、速いAFを搭載。一方のラオワレンズは、35mm換算で画角が1mm広く、非魚眼というアドバンテージを持っています。どちらのレンズも魅力的で、レンズ選びがますます楽しくなりました。よりワイドな撮影を楽しみたい方、本レンズもぜひ検討ください。
Photo by MAP CAMERA Staff
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