Nikon 1シリーズラインナップに新しいSシリーズが加わった。それぞれのキャラクターは、EVFとハイエンド一眼レフ並の連写性能/バッファを搭載したV1/V2、コンパクトながらVシリーズに匹敵する性能を持つJ1/J2/J3、J1/J2の性能をそのままに初心者でも扱い易いボタンとロータリーマルチセレクター操作を軸とした簡単操作のS1と言った所だろうか。
Vシリーズに対してJシリーズがエントリーモデル的な扱いだったが、ここに来てS1と同時発売となる新製品J3はV2直下のモデルに昇格し、S1は本来のJシリーズのポジションに収まったような格好だ。
エントリーモデルとしてのS1は、少ないボタンとロータリーマルチセレクターのみの操作となるため使い勝手が心配されるところだが、心配ご無用。Jシリーズとは全く違う使いやすいUI(ユーザーインターフェース)に進化し、少ない操作で扱いたい機能へ素早くアクセスできるようになっている。
その特徴が、ロータリーマルチセレクターの上ボタンに割り当てられた「F」(フィーチャー)ボタンだ。これまでは、本体上部にレイアウトされていたが、頻繁に操作するロータリーマルチセレクターに割り当てられたことで、ワンプッシュで機能を呼び出してそのまま項目を選択できるようになった。
設定できる項目も変更され、Fボタンを押すと液晶モニターにはモードダイヤルを模したグラフィックUIが表示され、ロータリーマルチセレクターがモードダイヤルの代わりとなる。さらに、これまではMENUで呼び出す必要があったP/A/S/Mと言った露出モードも、このUIから右ボタンでもうそれぞれのモードに用意されている項目設定をダイレクトに行うことができる。このように進化したUIはこれまでのJシリーズより遙かに使い点が特徴となる。
イメージセンサーは、画素数こそJ1/J2と同じ1011万画素だが新たに光学ローパスフィルターをなくしたCMOSセンサーを搭載している。これによって解像感が向上し、今まで以上により鮮明に風景を映し出すことができる。作例でも、建物の細かい部分まで描写されておりその効果が実感出来た。
このイメージセンサーからの「生」データを記録するRAW形式もサポートしており、画質にこだわりたい人向けにもオススメできる。
また、JPEG(ラージFINE)で18コマ、RAWで17コマのバッファはJ1/J2より引き継いでいるため、テンポ良く撮影しても書き込み待ちが起きない点は嬉しい。
風景やポートレードなどカラーモードを簡単に変更できるピクチャーコントロールや、ミニチュア効果やソフトフォーカス、特定色のみを強調するセレクトカラーなどの遊び心のあるデジタルフィルターも搭載されている。これらの機能は様々な機能から呼び出すのではなく、すべてクリエイティブモード内に収められているため、「あの機能はどこだっけ?」と迷うことなく簡単に呼び出せてすぐ使える点が便利だ。
動画機能は、フルHD(1920×1080ドット)60iの滑らかな動画と超スローモーション動画も撮影できるため、家族の決定的瞬間を自分独自の表現方法で記録できる点も見逃せない機能です。さらに、秒間60コマの連写やシャッターを押した瞬間から約1秒間がスローモーションとなり決定的瞬間でシャッターボタンを押せるスロービューと言った楽しい機能も搭載されています。
S1は、これらの性能を活かす73点の位相差AF機能など、高速AFも受け継いでおり「エントリーモデルだから・・・」と言った妥協点を感じ無い、Nikon 1シリーズの中でも唯一無二の存在であると感じました。これからレンズ交換式カメラを楽しんでみたいと思っている方、サブ機を探している方にもオススメできる小さくて、コストパフォーマンスの高いデジタルカメラです。
Photo by MAP CAMERA Staff