1月末に開催されたCP+2013で発表された新製品「Tokina AT-X 12-28 PRO DX」がいよいよ発売です。
2008年に発売された「AT-X 124 PRO DX II」の後継モデルと位置づけされた本レンズは、望遠側の焦点距離が4mm延長され35mm換算で18-42mm相当(ニコン用の場合)となり、 今までの「あともうちょっと寄りたい」という不満を解消してくれるレンズとなりました。
解像力を試すべくF8まで絞ってのファーストカットは、水面の反射まで綺麗に描写。木々の葉のコントラストも美しく、2000万画素の撮像素子に耐えられるように見直したという新規光学設計が伊達ではないというのがよく伝わってきます。
現在トキナーからは、11-16mmを始め多くの魅力ある広角ズームレンズがリリースされています。
その中で、一番望遠寄りをサポートすることになった本レンズですが、広角レンズならではの強いパースペクティブは損なわれていません。メインの被写体を引き立てる特徴的な描写を見せてくれます。
これに最短ギリギリまで寄って大きなボケ味を加えると、4角に流れるようなボケが演出され、目の前に飛び出してくるような迫力が加わりました。
遠景撮影時は定規を当てたような綺麗な直線描写で、風景撮影時に重宝しそうです。
高画素に対応した描写は後でトリミングする際にも心強く、28mm(35mm換算で42mm)以上の用途でも活躍してくれることでしょう。
ピント面のシャープの凄さに驚きます。解像力も高く最短撮影距離が0.25mとさらに短くなったメリットを活かして、マクロ的な撮影も楽しみたいものです。
広角レンズで注意したいのは、太陽などの強い光源が割り込む場合です。
レンズ構成図に記載された湾曲のきついレンズ見たときは逆光には相当弱そうなイメージを持ちましたが、今まで多くの広角レンズをコーティング技術の高さでカバーしてきたトキナーレンズは、本レンズでも嫌みにならない出方に抑えられています。これなら逆に光を演出するのに楽しめそうです。
周辺光量減はほとんど見られません。隅々まで明るい描写が背景の広がりを抑えることなく、より強いワイド感を演出してくれます。
トキナーレンズの魅力で忘れてはいけないのが高級感ある外装です。梨地に金の帯がアクセントになっているデザインはどのカメラにも似合います。
AF-MFの切り替えのワンタッチフォーカスクラッチも健在で、ファインダーから目を離すことなく切り替えが可能。ピントリングやズームリングの固さも丁度良く、従来モデルの使いやすさをしっかり継承している感じです。
良い物を残しつつ、少しずつ最新のニーズに合わせて改良していく。3代目のデジタル専用広角ズームレンズからはそんな姿勢が伝わってくる製品です。
Photo by MAP CAMERA Staff