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177:『PHASE ONE IQ280』

2013年11月20日

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280

中判デジタルバックと言えば、一昔前まではあくまで業務用途。スタジオ撮影に用いられるものでPCとの常時接続が必要であったり、モニターがそもそも搭載されていなかったりと個人で使用するには非常にハードルの高い機械であった。もちろん今でも非常に高額なモデルが存在するが、リーズナブルなモデルも増え、使用にあたっても屋外撮影に対応出来る使いやすいバックもラインナップされてきている。

今回は『PHASE ONE』の最新機種である『IQ280』を借用し、無謀にも屋外での手持ち撮影に臨んだ。ボディはフィルム時代からおなじみの”Hasselblad V-System”を使用、その使用感と描写をリポートしたい。

『PHASE ONE IQ280』は背面液晶に高解像度のレチナディスプレイを採用し、撮影したデータをその場で確認する事が出来る。更にタッチパネル液晶となっており、操作感はスマートフォンやタブレット端末に非常に近い。拡大や縮小なども画面上のスクイーズで済んでしまうのはとても便利だ。そのため、ボタンも4つのみとシンプルな操作性で、一度撮影の仕方が分かってしまえば迷う事は無いだろう。

“Hasselblad V-System”をボディとして使用する場合は、シンクロケーブルを接続して使用する。露出等はマニュアルになるが、要するにはフィルムバックをデジタルバックに変更しただけの操作系なので、大きな違和感は感じない。全体に見てもスマートな仕上がりで、コンパクトにまとまっている点も魅力的だ。

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 903SWC + PHASE ONE IQ280

そこで、やはり気になるのはその描写だが…どうだろう。こちらのカットは他のカットより大きな画像を掲載しているが、それでも半分に縮小したデータである。元の画像は70MB近いデータ容量なので縮小しているが、それでも『IQ280』の実力はうかがえるのではないだろうか。陰影、トーン、立体感。精細感も十分に有り、何よりダイナミックレンジの広さからくる画像の説得力が素晴らしい。その場の光を余す所無く吸い込む様な膨大なRAWデータはそのままでは眠い感じすら有るが、どんな調整にも耐えうるポテンシャルを持っているのはさすがである。

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280

被写体の精緻さ、存在感と言うのだろうか。静謐さを感じさせる描写である。前後のボケは中判だけあってかなり大きく、被写体を浮かび上がらせてくれる。

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280

陰影、トーンの出方は素晴らしいとしか言えない美しさである。こうした被写体は独壇場だ。

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 903SWC + PHASE ONE IQ280

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280

ハイライトが飛んでしまわないので、かなりの所まで明暗差のあるディティールを描き出す。雲の表情の1つ1つ、黄昏の迫る空の微妙な色彩まで見事に描き出す。

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 903SWC + PHASE ONE IQ280

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 503CW + CF Distagon 50mm f4 FLE + PHASE ONE IQ280

こうしたロートーンで、ハイキーな被写体を描き出す時も、中判デジタルバックの余裕を感じさせるセンサーが活躍するシーンだろう。まるでフィルムネガの様なラチチュードの広さは様々なシチュエーションで活躍してくれるだろう。

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 903SWC + PHASE ONE IQ280

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280

少々手ぶれをしていると解像感はグッと落ちてしまうが、それでも手持ちでスナップにも相当”使える”印象だ。かつてのデジタルバックの様に感度ISO25でしか撮影出来ないものと異なり、ISO400程度までかなり綺麗に描写をしてくれるのが大きなポイントで、大型のセンサーになればなるほど高感度時のノイズは出てきてしまうものだが、それでも驚くほど綺麗に処理してくれるのには驚いた。

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 903SWC + PHASE ONE IQ280

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280

HASSELBLAD 503CW + CF Planar 100mm/f3.5 + PHASE ONE IQ280 使用機材:HASSELBLAD 503CW + CF Distagon 50mm f4 FLE + PHASE ONE IQ280

バックを外すと、そのままセンサーがむき出しの状態なのだから恐れいってしまう。センサーサイズは53cm×40cmと6×6判と比べて少し長方形に近いサイズをしているので、縦位置と横位置の変更はバック自体の取り付け方を変更して行う。しかし大きいセンサーだ、あれだけ写るのにも妙に納得してしまう説得力が有る。今回は屋外での手持ち撮影というかなり無理のある試写だったが、それでもこのクォリティの画を描いてくれるのには驚いた。使い勝手もかなり良く、特に903SWCとの組み合わせではコンパクトで非常に使い勝手が良い。35mm判フルサイズもかなり身近な存在になってきている昨今だが、中判デジタルの世界もしかりなのだろう。中判デジタル機ならではの別格の描写力を楽しむ、その選択肢も身近になってきている様だ。

Photo by MAP CAMERA Staff

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