2013年のCP+で紹介されてからその発売が待たれていた「Tokina AT-X 70-200mm F4 PRO FX VCM-S」がついに登場しました。
トキナーレンズとしては初となるリング式超音波モーターの採用や、手振れ補正機構を搭載するなど、技術面でも大幅な向上が図られている本レンズ。
気になるその性能を試すべく撮影に出掛けてきました。
デジタルカメラの高画素化が進む現在、気になるはその描写力ですがその心配は必要ありませんでした。 美しい羽色の再現性や質感はもちろん、クリアーで立体感ある描写に本レンズの性能の高さを一瞬で感じる事ができました。
特に驚いたのがその美しいボケ味。背景の花をうるさくせず、メインをしっかり引き立てています。
ボケを重視して作られたとは聞いていましたが、予想以上の美しさに感動すら覚えます。
噴水の側でシャボン玉遊びをする子供達のカットでは、細かい水しぶきが強い日差しに反射しノイズぽい表情になりました。
ですが、これも解像力が高いが故で、霧状の水滴までしっかり捉えているのが分かります。
立体感ある描写に、シャボン玉の透明感など本当に良く写っており、解像力の高さを改めて感じました。
高精細カメラで撮影する際に、特に注意したいのが手振れです。特に望遠レンズではなおさらのことですが、本レンズからトキナーレンズにも待望の手振れ補正モジュールが搭載されました。
絞り約3段分の補正のおかげで、光量の少ない場面でも高感度に頼らず安定した撮影をする事ができます。
もう1つの新機構、リング式超音波モーターによるAF駆動も静かに素早く反応してくれました。
マニュアルでの微調整も幅広いフォカースリングは扱いやすく、ホールディング性も含めかなり使いやすくなった印象を受けます。
早いシャッタースピードで捉えた噴水では、水滴の1つ1つまで確認する事ができました。
この精細感はカメラの性能にも依る事が大きいと思いますが、3600万画素のカメラの性能を存分に引き出しているレンズの性能の高さも見逃せません。
過去にも数本トキナーレンズを使ってきましたが、その時気になったのが逆光時のフレア発生率の高さです。
その記憶が頭をよぎったため、意地悪で太陽をファインダー内に入れてみました。
かなり強引な撮影だったためフレアは発生しましたが、逆光で潰れてしまうかと思った各ゴンドラも細部までしっかり確認できる見事な透明感を披露してくれました。
さらにこれだけの明暗差がある中で、フリンジは発生しておらず、色収差もしっかり対応されている事が分かります。
手振れ補正や超音波モーターなど、他メーカーと比較すると若干出遅れた感のあったレンズですが、この高い解像力と美しいボケ味はかなり強力な武器になりそうです。
フィルター口径サイズを67mmに抑えたスリムな鏡筒は携帯性にも優れ、なによりトキナーレンズらしい高級感ある質感も大きな魅力です。
スペックだけでは判断できない魅力がいっぱい詰まったレンズの登場です。
Photo by MAP CAMERA Staff