ポートレートレンズと言えば大口径の85mmがメジャーなところですが、それよりさらに望遠となる135mmレンズも忘れてはならない存在です。今回のKasyapaはXマウントの新レンズ『FUJIFILM XF90mm F2 R LM WR』をご紹介したいと思います。
人物撮影やスポーツ撮影などに適している本レンズは35mm判換算で137mm相当の焦点距離とF2の明るさを持っています。135mmは古くからある単焦点レンズの長さですが、使いどころが難しいイメージがあり実際に使用した事のある方は少ないかもしれません。しかし85mmより強く掛かる圧縮効果と深いボケ味は「135mmじゃないと撮れない表現」があると言われ、一度その魅力にハマってしまうと無くてはならない1本となる画角です。実は私も前者の方で、難しい画角の印象からあまり使用した事がない焦点距離だったのですが、今回『XF90mm F2 R LM WR』の試写をしてそのイメージが変わりました。では早速写真を見ていきましょう。
一枚目、二枚目共に開放からピントの立ちは良好でシャープネスも高いのですが、画に固い印象を受けないのはポートレート撮影を意識した描写傾向にしているのかもしれません。フワフワしすぎないボケ味とのバランスもいいですね。情景の中で被写体が浮き立つ印象を受けます。
街中での一枚。135mmらしい圧縮効果が感じられるストリートショットです。 『XF90mm F2 R LM WR』で撮影をしていて気づいたのは「遠くの物を大きく撮る」のではなく「被写体の要点を絞り、切り抜く」ということ。被写体と程よい距離で撮影ができるのでスナップレンズとして使用しても面白いですね。
キラリと光るピアスにフォーカスしてみました。近距離だとピントの薄さとボケの深さが際立ちます。そして135mmを使用している方はお気づきかもしれませんが、本レンズは結構寄れます。一般的な135mmレンズは最短90cmくらいだと思うのですが、『XF90mm F2 R LM WR』は最短60cmから撮影ができます。これはAPS-C機ならではのメリットですね。寄れる事で本レンズの使いやすさが向上しているとも言えるでしょう。
よく135mmはピント合わせにシビアだと言われますが、今回ボディに使用したX-T1は狙いを外す事無く正確にピントを合わせてくれました。そしてAFも想像以上に早いです。新開発のクアッド・リニアモーターを搭載した事により最速0.14秒というAFスピードを実現。大口径レンズながらキビキビと動くAFはもたつく事無く意のままにピントを合わせてくれます。
開放での無限遠撮影。奥の横断歩道を狙って撮影したのですが、解像力が非常に高いですね。近接撮影時とは違う一面を見せてくれる描写です。
金属部分の艶やかな質感表現が見事。柔らかなボケ味がよりフォーカス部の立体感を際立たせます。
走り去る自転車が日陰の切れ間を通った瞬間をシャッターに納めました。一瞬を逃さないAFスピードはスポーツ撮影にも向いている瞬発力を持ったレンズです。
『XF90mm F2 R LM WR』はフォーカス部の美しさと滑らかなボケ味が絶妙な一本でした。初めは苦手意識のあった画角でしたが、使ってみるとイイですね。XF56mmより一歩踏み込んだ構図が求められるレンズです。540gの重量はX-T1と組み合わせた時のバランスも良く、取り回しも抜群。長過ぎない全長はとてもホールドしやすいので低速シャッター時でもブレずに撮影する事ができました。
本レンズは今まで135mm(35mm判)の画角を使った事の無い方にも是非試していただきたい1本です。中望遠の画角が好きな方でしたらすぐ慣れると思いますよ。しかもXF56mmよりも最短撮影距離が短いので思いのほか撮影シーンの自由度が高いです。
この『XF90mm F2 R LM WR』で素敵な夏の思い出を残してみてはいかがでしょうか。
Photo by MAP CAMERA Staff