高いコストパフォマンスで人気のサムヤンからまた新しいレンズが登場しました。新たに加わった『SAMYANG 100mm F2.8 ED UMC MACRO』は、サムヤン初のマクロレンズ。
100mmマクロと言えばカメラメーカーはもちろん、Carl ZeissやTokinaなど多くのメーカーが魅力的な商品を販売している競争の激しいラインです。
高屈折レンズや低分散レンズなど、高級光学ガラスにも力を入れているサムヤンが一石を投じた新マクロレンズの性能はいかに。さっそく撮影に出掛けてきました。
撮影の日は生憎の雨模様。傘を持ちながらのマニュアルフォーカスに難儀するかと思いきや、適度な重さと大きなピントリングが実に軽快。スムーズな操作で撮影できました。
100mmという中望遠が、少し離れた場所に咲く睡蓮を美しく捉えてくれました。不安定なホールディングのため、アンダーに振りシャッタースピードを稼ぎましたが、雨に濡れるしっとりとした質感を綺麗に描いています。ボケも綺麗でマクロレンズらしい柔らかな描写を披露してくれました。
花畑ではひまわりが見頃を迎えていました。天候に恵まれなかった事が悔やまれます。
しかし水分を含んだ花びらの鮮やかさは綺麗の一言。レンズを通してもしっかりその鮮やかさが伝わります。大きなボケによる立体感もさすがです。
クリアーな描写と柔らかなボケ味を兼ね備えたレンズは、ウエットな質感を綺麗に捉えてくれます。
高い立体表現のなせる技とでも言いましょうか。蜘蛛の巣に溜まった雨は、接写する事でとても不思議な画になりました。
雨の日の撮影は遠慮しがちですが、マクロ撮影なら面白い被写体に出会えるかもしれません。
開放F2.8で最短域(0.307m)まで寄ると驚くほどソフトな写真になります。奥に行くにつれてゆっくり溶け込んでいく柔らかボケ味です。
高級光学ガラスとUMCコーティングによる透明感の高い描写は、マクロだけでなく優秀な中望遠レンズとして様々なシーンでの活躍が見込めます。
霞の中でも拡大画像を見てみると、細かい部分まで描写している高い解像力を確認できます。撮影には不向きな天気でしたが、本レンズの実力を判断するにはうってつけだったようにも思えます。
少しアンダーに振ることで石段の趣がより強調されました。綺麗なボケ味と高い解像力は作品の雰囲気を高めてくれます。
虎の背中みたいな大きな塊は巨大なたわし。柔らかそうに見えてしっかりしている微妙な質感をしっかり捉えています。
F5.6では真円とはいかないまでも、電球も柔らかで綺麗な点光源になりました。
高硬度アルミ合金で造られた鏡筒は高い堅牢性に加え、高級感ある仕上がりになっています。
ライバルの多い100mmマクロは他のレンズと比べると、オートフォーカスも手ブレ補正も無しということで少し割高なイメージがありましたが、撮影から得られた綺麗な描写と雰囲気づくりに、サムヤンらしい高いコストパフォーマンスを感じることができました。
画質を重視するなら、ぜひ試していただきたい1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff